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その3

相変わらず補習三昧の夏休みの二人.また今日も部室からくだらない話をお送りします.

「えっ?! 『わいせつぶつちんれつざい』の『ちんれつ』って『ちん○○に劣情を催す』の略じゃないのっ?!」

「犯人確保ー」

「ノリ悪っ!」

 今日も変わらず熱い仲ご苦労なことで、

「まるで仲良し!」

「私たち仲良しでしょ?!」

 もとい。

 今日も変わらず暑い中ご苦労なことで、私と彼は午前中の補習が終わって、肌が服にべとつく程蒸し暑い部室にて向かい合って座り、お弁当を会食中である。

 今日は彼がだーいぶ夏バテ気味である。元野球部のクセに。

「元野球部だろうが現野球部だろうが、君とこう毎日々々くだらない話を延々とさせられていたら誰だって夏バテになるさ」

「そんな! ひどい!」

 と、いつも通り、二人で冗談を言い合う。

「冗談じゃない!」

「冗談じゃない?!」

 という冗談を言いながら。

「……最近ずっと気になってたんだけどさ」

 と私は弁当箱の包みを開いて、蓋を開ける。

「青少年健全育成条例ってあるじゃん?」

「ああ、あるね」

 彼も同様に弁当箱を開けて、箸を取り出す。

「あれってさ、逮捕されるのってだいたい女子高生やそれ未満に手を出したおっさんだけどさ、日本の法律だと女性は十六歳で結婚できるわけだしさ、女子高生に手を出すのはいいと思うんだよね私は」

 彼は私の話に続きがあるのがだいたい解っているのか、無言で頷いて先を促す。

「対してさ、男性は十八歳まで結婚できないわけじゃん? それなのに全く以て『三十路近くの女性が男子高生やそれ未満に手を出して逮捕』なんてニュース聞かないのはなんでかな?」

 彼は、一定時間フリーズした後。

 かたり、と箸を置いた。

「女子高生やそれ未満におっさんが手を出した場合、両親が心配するんだよ。たとえそれが女子高生の意志だったとしても。それにいくら結婚できるって云っても結局十八歳未満だから、まだ自己決定力が成熟してないっていう世間の判断じゃない? 対して男子の場合は、両親はそんなことなーんも心配していないし、逆に『別にいいんじゃない?』って思っているんじゃないかな?」

 ……予想外のマジレスに失言を禁じ得ない。

「『失言』って『吃驚するなどして言葉が出ない』って意味じゃないからな」

 ……そうなんだ。

 はーあ、と私はむしむし暑い部屋の中一つ溜息を吐いて、弁当に入っていたイカの塩辛に口をつける。……直接ではない。箸で摘んでいる。

「ねえ、塩辛ってやっぱりイカが主流だけどさ」

 と、正面の彼に訊ねる。

「トンボの塩辛ってどんな味なんだろうね」

「……シオカラトンボって、そういう意味じゃないからな」

 ……え?

「この夏一番の衝撃をあなたに!」

「俺に?!」

「この夏一番の衝撃!」

 ……その後延々と、どうやら昆虫マニアであるらしい彼の生物の講義を、夏の長い長い陽が落ちるまで聴かされたのだった。


今書いている別の話が重(主)すぎるので(いろんな意味で),息抜きとして今後も続けていきまする.

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