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第七話「使命。」

前作だしてから結構経ちましたね…

雨が強まってきた。

雨粒が窓をたたく音が今日は妙に大きく聞こえる。

しかし、その音よりも心臓の音の方が大きい。

――あたし…どんだけ緊張してんだ…

(そら)はため息をついた。

先程まで仙希(せんき)と話していた。

終始見せる笑顔に空はドキドキしっぱなしだった。

しかし、一つ引っかかることがあった。

――仙希さん…演技下手だなぁ…格好良いからいいけど。

空はずっとそのことを気にしていた。

どうやら仙希は空と話すのに気を使っているらしい。

しかし、その演技がとても下手。いつもはあまりそう言うことに気付かない空でも分かるほどだった。

しかし、それに口を出すのにも気が引ける。空はそのことを黙っていた。

今、仙希は玄太郎という人に呼び出され、部屋にいない。

かれこれ五分くらいいないだろうか…

ふと、窓の外を見る。その瞬間空は小さく声を上げた。

――窓が…開いてる

先程まで閉まっていた窓が開いていたのだ。空はとりあえず窓を閉めようと立ち上がった。

その瞬間、空の後ろから誰かが声をかけた。

「こんにちはお嬢ちゃん。学校サボって何やってるのかしら?」

空は振り向く。そこにはひとりの女がいた。

「…誰?」

「ふふ…誰かしら。でも私…良い人ではないわ。」

空は半歩後ろに下がる。女は半歩前に出た。

「私ねぇ、犯罪者なの…しかもかなり凶悪な…」

「…人呼ぶぞ」

「ご自由に。でもその瞬間あなたの命は無くってよ?」

女は刃物をどこからともなく取り出す。そしてふふっと笑った。

「あなたも命が惜しいでしょう?じゃあ、おとなしくしてほしいわ。ちょっとお話聞いてなさい。」

空は女を睨む。女は構わず話し始めた。

「十三年前…大きな事件があった。一日にして百人以上の人が亡くなったわ。酷いわよねえ。もちろんその事件の犯人は一人じゃないのよ。グループによる犯行だったわ。」

女はそこでいったん離しを切ると、空を見る。そしてまた話し始める。

「何個もの家族が皆殺しにされた…その事件の被害者は今、この世に一人もいないのよ。」

「そう思われてたのだけどねぇ…」と女はうつむいた。

「ところがどっこい、生き残りがいたじゃない。これじゃあ、事件が解決されちゃうかもしれないじゃない?それはとても困るわ、犯人たちにとっては…だからね…」

女はある物体を取り出す。そして空に笑いかけた。

「この家ごと爆破しちゃおうかと思うの。あら、声は出さないでね。殺すわよ。」

空は立ち尽くす。何をしていいか分からない。女が何を言ってるのかもわからない。

ただ一つだけわかることがある。

――――逃げなきゃ…

逃げなきゃいけない。とにかくここから避難しなきゃいけない。

それだけは確かに分かった。

その時、ガチャリという音と共に女の頭に拳銃が向けられた。

女はクスクス笑う。

「おやまぁ、玄太郎…7.22特殊部隊の隊長…」

「何でも良い。…手前誰だ?」

女はいきなり大声で笑い始めた。そして手に持っていた物体を床に落とす。

その瞬間物体から何やら時計のような音がし始めた。

「手前!何をっ!」

女はそのまま窓から飛び降りる。軽い身のこなしだった。

しかし、感心している場合ではなかった。女は「爆破」と言った。

だとしたら物体は爆弾だ。

「何だぁ?これ…」

玄太郎が物体に触れようとする。空は大声を上げた。

「駄目っっ!それは爆弾だ!」

「はあ!?」

玄太郎は後ろに飛び退く。

その瞬間何が起こったのか玄太郎は咳き込みばたりと倒れこんだ。

物体からは相変わらず時計の音。その音はだんだんと大きくなる。

そして、大きな音と共に火を噴いた。




女は爆破を確認して携帯を取り出した。

ある番号に電話をかける。相手はすぐに出た。

『…俺だ。』

「爆破完了よ。これで生き残りは無し。」

『…なっ!』

「ああ、運が良ければ生きてるかも…いや、きっと生きてるわ。爆発が小さいのにしたから。運が悪ければ腕の一本くらいなくなるかもねぇ…あーあ、私ってお人よし…結局殺せなかったわ。生き残りはまだきっと生きてる。」

『お前っ!あれほどやめろと言っただろ!』

「耳元で怒鳴らないでよ。あなたはさっさと左腕の怪我を直しなさい。」

そこで女は電話を切る。そして爆破したはずのアパートを見た。

しかし、そこで女は絶句する。

アパートは少し焦げた跡がついているだけで、まったく形が変わってなかったのだ。

いくら爆発が弱いもだったと言え、少しくらいは建物が壊れるはずだった。

しかし…まったく壊れていなかった。

――失敗した…?

女は向きを変える。

――まあいいわ。また今度ね…

女は森で拾った十三年前の仲間のもとに帰ろうと足を速めた。




空は床にペタリと座り込んだ。玄太郎はポカンとしている。

そんな玄太郎の胸倉を仙希は思い切りつかみあげた。

「馬鹿やろうっ!隊長が何やってるんだ!」

夏秋(かしゅう)は一歩後ろへ下がる。

先程、隣の部屋での異変に気が付き、玄太郎が様子を見に行った。

しかし、なかなか帰ってこず仙希が様子見に行ったところ玄太郎が倒れていたのだった。

夏秋がそれに駆け寄って行くと、その瞬間大きな爆発の音が聞こえたのだ。

どうやらその音は爆弾だったようで、もともと今いる部屋にあったようなのだが仙希がそれを窓の外に投げて危機一髪、と言ったようだった。

仙希はなおも玄太郎に怒鳴る。

「あんたがなんで倒れてんだ…隊長だろうっ!とっさの判断くらいしろ!」

すごい迫力である。いつもの顔からは全く想像できない怒鳴り声だった。

「…悪かった。」

「それで済むのか?それだけで済むのか!?」

「ちょっと、副隊長さんっ、やめなさいな!」

加代(かよ)は仙希を玄太郎から離した。そして言い聞かせるように言う。

「隊長さんは何かの薬で気絶してたのよ?わずかに薬のにおいがしたもの。それなのにそんなに怒鳴っても仕方ないじゃない!」

「仕方ないですむのか!一歩間違えればかなりの犠牲が出てたんだ!俺ら隊員は命覚悟してここにいるけどなぁ、ここのアパートの住人はどうだよ!今死んでたかもしれねえんだぞ!」

「でも結果的には無事だったわ。それでいいじゃない、副隊長さんのおかげよぉ。」

仙希は加代を振り払う。そして、思い切り怒鳴った。

「お前ら本当に警察だったのか?一般人を危険に巻き込むな!結果的には何て言ってごまかしてんじゃねえ!」

仙希はそのまま部屋を出ていく。

取り残された人々はただ立ち尽くしていた。

今回はここでお終い!

最近ずっと動画見てたんで久々に更新です…

では、次回また会いましょう!

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