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――――――……
「……戻りました」
「おつかれ。メイち」
「あーなんかすごいの見てる気がするー。これが青春ってやつ?なんかジャンル違うくない?」
「……!!お姉さま……一体どうなさって……」
「メア、悪いんだけどパフェ食べさせてくれない?まだ少しだけ余ってるでしょ?」
「え、ええ―――はい、あーん」
「ふふ……甘い――――……」
――――――……
『あのねエル君、実は私ね、君にはすごく感謝してるんだよ?』
『ああ、僕もだ』
『…………!そう、なんだ――――……ねえ、エル君はさ、あの日の事……憶えてる?――――あの日、また一人、私のお友達が寿命で亡くなって……でも私は何も変わらなくて…………私、とっても悲しくて……でもその気持ちも長続きしなくて……で、いつもの私に戻ってる……私は空っぽだった……そんな時ね……村はずれのあの大きな木が生えてる…………うん、あの村を見下ろせる場所……どうしてだろう……あの日、あそこに行けば君に会える気がしたんだ。どうして君に会いたかったのかわからない……でも本当に君はあの場所にいて……それでね……エル君はあの日私になんて言ってくれたか憶えてる?』
『…………すまない』
『ふふ……そうだよね……良いの!……あの日ね、私はエル君にね、ずっと眠ってられたら楽なのにねって言ったの……私疲れてたんだろうね……そしたらね、エル君はね、こう言ったんだよ。それは困る。お前がいないと玲瓏館は立ちいかなくなるって……ふふ、酷いよね』
『その……あの時は、すまない』
『うん……でもね……私はその言葉が、その事が嬉しかったんだ……ふふ、なんでだろうね……だって一生この小生意気な少年に利用され続けるってことだよ?』
『悪かったな、小生意気で』
『ふふ……うん……ねえ、エル君、この先、一生玲瓏館を手放す気は無い?』
『ああ、この先、一生玲瓏館を手放す気は無い』
『……!ふふ、良かった……!』
『…………』
『…………』
『――――あの……そのね……だから……』
『…………ああ、だから、すまないが僕にはお前が必要だ』
『…………!』
「…………!」
「お姉さま……?」
「メア、帰るわよ。これ以上はメイドの仕事じゃないわ」
「えっ?帰っちゃうの?ここからが良いとこなのに」
「クエリっち?」
「あ゛あ゛、いでででで――――何?やめて?耳引っ張らないで」
「この度はあなた方に大変感謝しております。ですのでせめてお会計だけは受け持たせて頂きたいと思います」
「え?あっ、そんなのいいよ――――」
「では、ごきげんよう――――」
メイリは急ぐように席を立つと、そのまま返事も待たずに二人組のテーブルの伝票をひっつかんで、そのまま立ち去ってしまった。
「あ……お姉さま…………!」
メアも行儀よく二人に会釈をした後に、急ぐ姉の背中を追った。
「って……行っちゃった……」
「じゃあまたねー――――ふふ、ラッキー……今月苦しかったんだよねー」
「クエリっち?」
「あ゛あ゛、いだだだだ」
――――――…………
――――……
――……