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第104話 秘宮へ

 かつて、ギーガーの古迷宮封印のために作戦会議をした丘の上に登った。あのときは、多くのギルドパーティーが参加し、賑やかだったが、今は、俺たち以外にだれもいない。彼らは、今頃きっとナーワで陣を張っているのだろう。


 俺は、フランの手を握った。フランは、慌てて手を振りほどいた。


「フラン、俺たちは、もう一蓮托生だ。一人で背負う必要なないよ。力を抜いて。じゃないと持たない」


「もったいない」


 俺は、ギーガーの古迷宮の方向に目をむけた。末端ゴーグル越しにアガットに呼びかける。


「アガット。レオダニスは、確かに、迷宮にいるんだな」


「ああ、間違いない」


 全員に末端ゴーグルを支給した。これで、お互いの意志の疎通はばっちりだ。万能薬も1人、二本支給した。完全白衣も支給しようとしたら、みんないらないと拒否された。性能は抜群だが、デザインが気に入らないらしい。まあ、みんなそれぞれのスタイルがあるので、無理強いはしない。


 一輪バギーを二台レンタルした。一台は、俺とフランが乗り込み、もう一台には、ホイットとアガットが乗り込んだ。ホイットたちは、攪乱を目的とする。俺たちは敵の親玉を狙う作戦だ。


 ナーワの前線よりも離れたこの場所にも、ちらほらと白き獣たちが徘徊しているのが見える。白き獣たちは、数を減らすどころか、さらに増えているのかもしれない。


 俺たちは、丘を降り、ギーガーの古迷宮の入口にすぐに殺到できる距離で身を隠し、攻め入る時期を見計らった。申し訳ないが、フェッドやナーワの陣営と白き獣たちが全面的に衝突する瞬間を狙うことにした。それが、つまりレオダニスの防御が一番手薄になる瞬間だから。


 その間も準備は怠らない。まずは、一輪バギーを手放しで自由に動かせるように訓練した。ホイットとアガット組は、すぐに自由自在に操作した。悔しいが運動神経の差がでたようだ。乗りこなせるようになったら、次は空いた両手で新たなアイテムショットガン(4MP/1日)を使う訓練もおこなった。


 素晴らしい破壊力だった。属性持ちでなければ大型の白き獣もほぼ一発で戦闘不能にできる。欠点としては、散弾一発が800Pすることだ。ラーメン一杯だ。けっして無駄遣いできる値段じゃない。内心では、そう思っても、ホイットとアガットには、好きなだけ使って良いと言った。彼女たちの射撃の腕前も素晴らしく、めったに外さない。費用対効果は抜群だ。それに大一番だ。ケチる必要はない。古迷宮のマップも頭にたたき込んだ。垂直の壁も駆け上がれるほど一輪バギーの運転も習熟した。


 両陣営の動向を観察して、10日目、大規模な戦闘が勃発した。そのことを確認してから、古迷宮の入口に全速で向かう。予想通り、古迷宮の防御は手薄だ。10体ほどの白き獣たちがたむろしているだけだ。フランが、来ますと突然言った。


「何が」


「レオダニスがこちらに気づきました」


 向こうからやってきてくれるのは、好都合だ。狭い迷宮で戦うより、草原で戦うほうが、一輪バギーの性能をフルにつかうことができる。


「レオダニスを倒し、中社、さらには、大社もおかせてもらう」


 ホイットから報告もあがってきた。


「敵の中に獣人型が数体いる。これは、たぶん属性持ちだ」


「熊型、烏型、狼型、多数」


 迷宮に潜んでいた奴らがぞろぞろと穴から出てきているようだ。


「レオダニスが出てきたぞ」


「よし、行こう。ありったけの弾をぶち込んで良いぞ」


「おお、太っ腹だな、ケンちゃん」


 それだけ、こちらが劣勢っていうことだ。


「レオダニスと属性持ちは、俺たちが請け負う。応援頼む」


「おう、頼まれた」


 ホイットとアガットの乗った一輪バギーが、走り出した。俺たちのバギーも、二人のあとを追いかけた。

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