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第101話 海路

 オダツートラは、ギーガーの古迷宮から見て北東、半島のように突き出た地形の突端付近にある村だと、アガットが教えてくれた。


「あの土地も、自然豊かな土地なんだ」


「つまり、盗みを繰り返しているのか」


「だから、あれは、適切な報酬だよ。ただで祈りを捧げてあげるわけにはいかないだろう」


「でも頼まれてもいない」


「いいや、頼まれたさ。お婆のお婆の、それまたお婆あたりで、契約を交わしているはずだ。そんじゃなきゃ、わざわざあたし達が祈りに行く理由がない。あいつらは、勝手に契約を忘れちまっただけだよ」


 どうしてそうなるのだろうか。どう考えても、盗みにいく理由としては、クレイジー過ぎやしないか。これは、アガットの主観の問題だと自分に言い聞かせ、聞かなかったことにする。


 陸路でヴィントーンからオダツートラの塔へ直接向かうには大きな問題が一つあった。それは、中間付近でギーガーの古迷宮を通過しなければならないという問題だ。


 フェッド隊長率いる救世軍がどうなっているかも、気にはなる。はっきりと彼らは俺たちのことを裏切りものとして扱うだろう。野次馬根性で、顔を出すにはリスクが高すぎる。


 総合的に考えて、古迷宮には近寄らず、海上で神域を確保しながら海をわたることにした。


 海上での生活、3日目。今のところ嵐に遭うこともなく、順調だ。海上生活だから、軽バンの外に出て手足をゆっくり伸ばすということは難しいが、その気になれば、軽バンの上で日光浴もできる。ただし、生活が単調になるのは否めない。助手席に座っていたアガットが真っ先に文句を言い始めた。


「刺激がたりないよ、ケンちゃん」


「良いことじゃないか。嵐がきたら大変だよ」


「もう何日も同じ景色じゃないか」


「大げさだな、まだ3日しかたってない。あと5日ぐらいはこんな感じじゃないかな」


「うえ。吐きそう」


「吐くなら、外ね。窓開けて」


 助手席の窓がノックされた。


「ああ、交替の時間か。後ろにいると、ほんと憂鬱になるんだよな」


 アガットはそういうと、助手席のドアをあけて、器用に後ろの席に移動していった。明日は、陸地に近づくから予定だから上陸して休養してもいいかもしれない。資金的には、多少の余裕もあるし、魔海龍のようなモンスターに襲われることもない。


 アガットと交代で助手席に座ったのは、フランだった。海に出てから、ディーラーが現れることはなかった。顔色も良くなってきた。少しずつ出会った頃のような活力や好奇心も戻ってきたようだ。


「体調は、どう」


「ええ、大丈夫です。ご心配をおかけしました」


 車内に沈黙が流れた。フランやホイットが助手席に座っているときは、基本何も話すことがない。ホイットは、それが心地よさそうなので気を遣わずに済んでいるが、フランは、居心地が悪そうに見えた。


 何か、話すことを探そうにも、俺はフランのことを何も知らないから話題の選びようもないし、俺も話しが得意というわけでないから話の広げ方もうまくない。俺が、あれやこれやと考えているとフランが珍しく話しはじめた。


「どうして、ディーラーはヴィントーンで、剣狂と私達を戦わせたのでしょうか」


「剣狂もフランの、弟子というか、手駒になった感じなの?」


「多分」


「ディーラーの考えがわからないけど、ディーラーがやっているのは、フランの強化ということかも」


 ただ、なぜあんな辺鄙なところに、剣狂がいたのか不明だ。何のためにフランを強化しているのか。


「ディーラーとは、話はできないのかな」


「ときどき、向こうから話しかけてきますが、こちらの呼びかけには応じないのです」


「でも、その質問には答えられるかもしれません」


「ディーラーに支配されていたとき、ディーラーが墓石の前にたたずんでいたんです」


「墓石なんてあったか」


「土に埋もれていたのを、掘り返したんです」


「そのとき、ディーラーの気持ちが私にも流れ込んできました」


「だれの墓だったんだ」


「奥さんと息子さん」


「そうか、家族の墓か」


「まあ、そいうことやねん」


「ディーラー」


「ワイもちょっと油断したなあ。ばれてしまっては、隠しとく方が恥ずかしいわ。同情はいらんで。そんなことよりも、ほれ」


 ディーラーが指さした方向に白いイルカが海面をジャンプしてこちらに近づいてきていた。海の上にも白き獣はいるのか。


「ワイは、妻と息子を殺したあの白き獣どもが何よりも嫌いなんや。まあ、こんな海のど真ん中で沈まんように、きばりや」


 海面が盛り上がった。グランツル近海で見た光景を思い出した。オットーリオの敵。巨大なシッポが海面から突き出て、白き獣もろとも海面を叩いた。今は全速で撤退だ。海の上で白き獣だけじゃなく、悔しいが魔海龍と戦うすべが今はない。


達人級基礎動作 


注 秘穴からオーラを強制的に注入する

吸 秘穴からオーラを強制的に吸収する

流 経絡の流れに合わせてオーラを流し、流れを加速

逆 経絡の流れに逆らいオーラを流し、流れを減速。大変危険

開 秘穴を開く

閉 秘穴を閉じる

結 秘穴同士で本来の経路以外を一時的に繋ぐ

止 経路を秘穴によって一時的に止める。大変危険

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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