別視点 動乱狂走
全てを呑み込んでしまうように行進は進む
山だろうが谷だろうが全てを血と肉で埋めつくし踏み均す 魔物狂走によって帝国エルド
ラは滅亡の危機に瀕していた
「ここに集まってもらった理由は皆もわかっているだろうが魔物狂走についてだ。」
帝国の王である帝王オルドはそう切り出した。
「過去魔物狂走に巻き込まれた国々はいずれも滅亡している。もちろん抵抗はしたのだろうがそれでも物量に押しつぷされたのだと考古学者は言っていた。広範囲にある程度の威力を継続的に出せなければ我々の元に大量の魔物が訪れ、どんな名のある剣豪だろうと血と油にまみれ、剣はいずれ折れて死ぬだろう。
どんな魔法使いだって喉が枯れて悲鳴も上げずに擂り潰されるだろう。
何重にも築いた壁が何か意味をなせるだろうか?いや、何の効果もなく突破されるだろう。我々が今ぶつかろうとしている困難はそういったものだ。皆、理解しているとは思うが念のためにもう一度確認しておいた…もちろんご存知だっただろう?コルティ男爵?」
「ヒッ、あッもちろんでございますわが君!この忠信コルティ一同!帝国の盾として命を散らす覚悟でございますゥ!」
「では一番槍を頼んだぞコルティ男爵。」
「えぁっ、いえ、陛下ァ!!お待ちください私にも準備というものが「ほう?何の準備だ?申してみよ?会議をひっそり抜け出してでもしなければ行けない大切な準備なのであろう?」
周りの貴族たちに白い目でみられる胴長短足ちょび髭オジさんのコルティ男爵は今、ドアノブに手を掛けたところで呼び止められていた。
「どうした?申してみよ。それとも尻尾を巻いて逃げ出そうとしていたのかな?」
「いえ、わ、ワタシははやる気持ちが抑えきれずに体が動いておりまして!!」
「ならば問題あるまい。ヴォルク騎士団長。男爵と共に同行する兵団を組織し共に全線にて戦闘を行え。コルティ男爵は安心せよ、そなたの偉大なる功績は帝国を築く礎の一部としてありとあらゆる絵画や詩、歴史書に乗ることだろう。」
「✕?!★⚠✳」
寄生を発しながらコルティは騎士団長によって会議室から連行された。
「さて会議の続きといこうか。」