第六話 さて!特訓DA!その2 裏ステ!やっぱり知らんよな。悲しいけど知ってたよ。悲しいけど!
「さて、三人とも、育成を始めようと思う。」
「「「おー!」」」
いい感じのやる気だ。さぁ、沼へおいで・・・
「とりあえずあれだ、この育成において最も大事なことを説明するぞ。」
「大事なこと、ですか?」
「ああ、みんな、モンスターには各自個性とアビリティとステータスがあるのは知ってるな?」
「あれやな、アビリティはタイダクンで言うところの『惰眠』やな。」
「そう、ちなみにその種族の系統のみが独占してるアビリティを固有アビリティとも言うからね。」
「それはさっきショウにモンスターを狩りながら叩き込まれた・・・。」
「そうだな、さっきまでラックが狩っていたベースロックはアビリティ『爆散』持ちだ。これはHPが残り1割を切った状態で強制的に発動するアビリティで、その名の通り爆散する。ちなみにダメージはデカい。」
「さっきラックさんが物凄くやつれてたのってもしかして・・・」
「ああ、爆散に巻き込まれ過ぎた彼の成れの果てさ。」
「僕まだ果ててないよぉ!?」
「それだけ元気なら大丈夫だな。それで次は個性だ」
「ちょっとは心配してぇ!?」
「まあ、怪我はないしな。」
「確かに体にはないけど僕の心はボロボロだよぉ!!」
「もうちょっと頑張ろう。きっと新たな景色が見えるさ。」
「は、はは、これは、夢だ、きっと、悪い夢なんだ。」
「夢だとエルが育たなくて困るんだけどなぁ、まあ、そんな感じで個性っていうのは」
「そんな感じでって軽くない!?もっと労って!?」
「うるせえ!!今説明してんだよ!進まねえだろうが!!」
「あっ、うん、ごめん。」
流石にこれ以上説明に時間を費やしたくないからな。実践に移るためだ。許せラック。そのツッコミはまた今度な。
「というわけで、個性はモンスターによって異なる、例えば目立ちたがり屋とか、踊るのが好きだったり、食いしん坊だったりな。これはモンスター育成の中で使うことがある部分だな。」
「例えばどんなときや?」
「例えば、とあるモンスターの進化条件の一つに、アクセル、ターン、ステップを一通り行うみたいなやつがあるが、踊るのが好きな個性持ちの個体は習得速度が上がる。他にも個性そのものが進化条件だってのも少ないけど存在はする。そんな感じで使うことがあるけど、一番って言われるほど大事かって言われると怪しい所だな。」
みんながいい感じにこっちを向いて聞いている。
「ほんまに、どっからその知識は湧いとるんやろな。」
溜め息いただきました!詮索されなければリスクはないのでそれでヨシ!
「オホン、まあ、最後が一番大事だ。ステータスだ。」
これがこのトプモンの肝であり根幹。
「さっき進化の条件についてはチョロっと話したと思うけど、それとは別にステータスにも特定のステータスを底上げする条件というのも存在する。ちなみにその底上げ値やモンスターとの仲良し具合を表す絆値など、ステータス画面では確認できない数値のことを裏ステータスと言う。」
多分これは確実に知られていない。これが知られていればニートキング一強の環境なんて一晩で塗り替わる。そんなレベルの知識だ。俺からしたら常識なんだけどね。
「う、裏ステータス?」
ほら、「何いってんだコイツ」みたいなまじで知らない反応してるよ。そりゃそうだ。だって振ったことないだろうし。
「ああ、ラックのエルで例えるけど、エレキスクワールはベースロックの爆散を食らって倒す×100でVITが大幅に底上げされ、ベースラビットの肉を齧って倒す×100でHPが大幅に底上げされる。」
「そ、そんなことが存在したの・・・?」
「ああ、俺からしたらなんで知らないんだ?状態だけどな。ちなみに種族によって条件は違うぞ。」
三人とも、口がどんどん開いていく、ちょっとこの絵面おもしろいな。
「後、底上げ値はその種族の進化形態によって満たせる条件の量が異なる。まあ、進化すれば満たせる条件が増えて底上げ値も増えるってことだな。」
「ここまで来ると、もう聞く以外出来ないな。僕たちの知ってる次元の知識の話じゃない。」
「まあな、知らないのは仕方ないさ、誰もやってなかったんだから知ってる方が不思議なくらいだよ。」
「それで、私達はこれからその底上げ値というものを獲得するのですか?」
「まあ、そうなんだけど、ここからが一番大事なポイントで、底上げ値の条件自体は満たせる条件枠より多い。だから、底上げ値の振り間違いって言うのが発生する可能性がある。それだけは絶対にやらないようにね。」
「ちなみに振り間違えたら?」
「一生物の傷になるだけだよ。」
思い出すなぁ、裏ステ構成まで育てたは良いもののいざバトルになって全然刺さらなくてリストラせざるを得なかった一生物の傷たち。
「なんか、急にショウの顔が憂いを帯びたで、今日はなんや?情緒不安定か?」
「経験を思い出していただけさ。」
「なんでだろう。ずっと一緒だったはずなのに全然僕が知らない経験な気がしてやまない。」
「大丈夫、君たちもいつか知るよ。」
「それは遠慮しておくね。」
「それは遠慮させて頂きたいです。」
「ごめん、アタシもそれはちょっと・・・」
「チッ・・・とりあえず育成始めようか。」
「今ショウ自分と同じ苦しみを食らわせられないからって舌打ちしたよね!?」
「きっと気の所為さ多分。」
「アカンわそれは、ショウの怪しさ満点やわ。」
「気の所為だよ。・・・九割九分の確率で。」
「後1%ないことがこんなにも不安になったのは産まれて初めてです。」
「大丈夫さ、30%は信じなきゃいけないけど、80%は信じちゃダメだから。」
「ショウがデタラメなこと言うとるけど過去一で目がマジなんよな・・・。」
・・・さて、育成するか。