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第四話 この環境水準は・・・論外だわ。

 というわけで来ました学園闘技場。


 え?感想ですか?・・・そうですね…


 「来なければよかった・・・。」


 あれはバトルというよりデカいモンスターを出してただ強い技ぶっぱしてるだけのお遊戯だよ…。


 んで序列一位の人のモンスター、あれタイダクンのニート系統の微妙な方の最終進化系のニートキングじゃん。ピーキー中のピーキーだよ。別に環境入りするようなアタッカーですらない。


 ・・・まあ基本的に固有種ってフルアタで活用することなんてないんだけどね。ただここにいる人の雰囲気が丸々「んんwwフルアタ以外あり得ないですぞww」みたいな感じがムンムンしてるから、もうわかっちゃったんだよ。この世界のとてつもなく低い水準が…!


 そりゃこの水準だとニートキング強いわな!フルアタ前提だとこいつの攻撃に耐えられるの同種のニートキングか基本種から進化した個体しかいないけど、こんな世界じゃどうせ進化方法すらろくに発掘されてねえしな!


 も〜うわかった!俺がこの世界の水準をまるっと変えてやるよ。今のドブから引き上げてやるよ!待ってろよ世界!


 「ショウ、すごい落ち込んでるけど大丈夫・・・?」


 ラックが心配してくれる。ありがとうラック。


 「大丈夫ではない。ラック、あれを最強と思っちゃだめだぞ、目標はあれを来週には越える。」


 「えぇ!?それは流石に無理だよ!!」


 「いや、余裕過ぎてどこが無理なのか逆に気になる、だから今週は徹底的にやる。水準を引き上げる。俺は低レベルなこの世界を許せないんだ…!」


 どうせこいつらこんなフルアタ環境だとろくに裏ステも管理してやがらねえ!HPの減り方おかしいからな!見えてるからな!


 「そっか・・・わかった!僕も頑張ってみるよ!」


 流石ラック。さすラック。(俺の記憶の中では)出会って二日目の俺の心の友よ。


 「んじゃラック、教室行くか。決着着いたし。」


 「あ、うん、わかった。」


 序列一位の先輩のニートキングが全部終わらせたよ。二位の先輩も固有種なのにフルアタばっかりで特に見るものもなかった。絶望だよ。



__________



 「はーい、Hクラスのみなさんこんちゃー。担任のユキミちゃんでーす。みんなHクラスは落ちこぼれって言われてるけど、言うてSクラ以外みんなそんな変わんないと思うからまぁイケるっしょ!って感じだからがんばろ〜ね〜。あ、これ飴ちゃんね、みんなで舐めてね〜。」


 で、出た!トプモン名物ユキミちゃん先生!!

 トプモンでは物凄く低確率でHクラスにのみ担任として現れる担任の先生が存在した。このギャルである。

 低確率なのでHクラスなのに担任としては大当たりである。毎朝ホームルームにギャル特権を振りかざしてクラスの生徒に飴を一つ配るのだ。


 この飴、マジで飴なのだ。

 アイテム名をマジカルチャップス。モンスターに与えるとモンスターに経験値が貰えます。代償はないです。はい最強!

 つまりこれ舐めてるだけでモンスターのレベルが上がります。ただ飴では裏ステは一切伸びないからそれはそれで別途管理が必要だ。これ大事!


 「あ〜い、じゃあ今日は解散ね〜。おつかれ〜。」


 飴を配ったユキミちゃん先生は早々にクラスを去っていった。ホームルー厶の時間はまだ終わってないがきっともう終わったんだろう。だってユキミちゃん先生だしな。解散って言ってたしな。


 ・・・しかしやはり落ちこぼれ扱いのクラスだな。めちゃめちゃ空気が重い。どうせ固有種じゃない、基本種でも弱いからとかで振り分けられてるんだろうけど、俺からしたら普通に人選発掘タイムなんだよな。


 NPCを仲間にして行うイベントとかコンテンツも沢山あったしな。直接会話できるなら育成し放題じゃないか。やってやるさ。フハハハハハ!!


 「また悪い顔してるよ・・・」

 「許せラック、これがデフォだ。」

 「で、でふぉ?」

 「あー、いつも通りってこと。」

 「あ〜、まぁ、うん、そだね。」


 ラックが冷めたジト目でハハハ、と笑っている。


 「とりあえず、ラック!」

 「どうしたのさ突然。」

 「明日からの育成週間に入る前にクラスの人がどんなモンスターを召喚したか確認するぞ!!」


 ちなみに大まかな種族数は数で確認できた。ベースマルは俺だけだった。独り占めだな。


 とりあえず基本種でもベースメタルとベーススライム持ちは絶対に仲良くしたいな。二種族共、可能性の塊だ。


 他の基本種にも良い種族は沢山あるが、とりあえずこの二体持ちだ。探すか。


 「ちょっとええかな?」

 「ん?あぁ、全然。」


 突然話しかけてきたのは赤髪くせ毛のの女の子。同じクラスだな。仲良くするには良いかもしれない。


 「初めまして、俺の名前はショウ。こいつは相棒のマルイ。よろしくな!」

 「おー!アタシの名前はキョウ!この子はベースメタルのてっちん!よろしゅう!」

 早速ベースメタル持ちか、良いね、最高だ。

 「よろしく!こっちにいるのがラック!同じ村から来たんだ。仲良くしてくれ。」

 「あ、どうも、ラックって言います。よろしく。」


 ラックの人見知り入ったなぁ。まあ時間の問題だな。


 「よろしゅう!ってか有名やから二人ともバカなアタシでも知ってるって!固有種の最弱と基本種の最弱を召喚したどん底コンビって召喚担当の先生が言っとったもん。」


 酷い言われようだな。まあ、こんな環境じゃそう考えるしかないわな。


 「心外だな。それで、キョウは俺とこいつたちをどう感じた?」


 「うーん。アタシバカだから流行とか強いのとかわかんないんだけど、二人とも全然弱そうなオーラは感じないかなぁ。」


 こいつは・・・アリよりのアリだ。


 「そうか、キョウは見る目があるな。」

 「んなこたないよ。考えるんとか苦手やし。」

 キョウは軽く笑いながらあしらう、しかし無理している所を少し感じる。ここは一つ強めに行くか。


 「いや、見る目があるな。キョウは考えるのが苦手と言ったが、考えてるのは顔を見たらわかる。キョウは強くなれる。君にないのは強くなる知識だけだ。」


 「・・・せやって言うけど、あんたが言うた通り知識がないんやったらどう考えても一緒やで・・・。」


 やはり落ち込んだ。この子には悪いがここまで完全に俺の想定通りだ。


 「あぁ、今の君には知識がない。しかしその知識さえ手に入れば君は強くなれる。そして、その知識は俺が持ってる。」


 これは事実だ。マイナーで世界一位の称号は伊達じゃない。俺の知識の1割を与えずともこんな環境では最強になれる。


 「嘘だと決めつける前に、一回だけでも俺を頼ってみる価値はあると思うぜ。」


 ついでに念押し。


 「・・・ええんか?」

 「当たり前だ。強くなってもらわなきゃ俺が困る。」


 そう言うとキョウは少し考えた。

 「っはっ、なんやそれ。変わったやつやな!わかったわ!あんたの船、乗ったるわ!賭けたで!」

 「任せとけ!じゃあ明日から育成週間入るから朝7時に学園都市の南門に集合な。」

 「・・・えっ?早ない?」

 「早いほうが良いだろ?時間は有限だぜ?」

 特に最初の一匹だしな。丁寧に育てないといけない。明日までに俺の知識内のすべての育成ルートをメモに写すか。

 「んで、キョウ、お前の知り合いにベーススライムを召喚した子っているか?」

 「え?あー、まあおるのはおるけど、あの子大丈夫かなぁ。」

 「ん?何か問題あるのか?」

 「いや、問題っちゅーかなんやろ、ベーススライムを召喚して落ち込んどるんよ。」

 「なんでだよ!?ベーススライムだぞ!?」

 「なんでって言われてもベーススライムはベースマルに次ぐ弱さって言われてる上にあの子元々周りにあんまり恵まれてなかったんもあってな、落ち込んどるんよ。」

 「ふーむ、そうか、俺的にはベーススライムの系統程、個の力で可能性のあるモンスターを知らないんだけどな。」

 ベーススライムからの派生はめちゃめちゃ多い。多分ベースマルからより多い。しかも有能な派生も多い。ただ無能な派生先もあるから注意は必要だな。


 「はぁ、ショウの言うことはアタシにはまだわからんけど、多分色々あるんやな。・・・わかったわ。シャーリー!ちょっとこっち来てー。」


 キョウがそう言うと、廊下側の後ろの席に座ってた白髪サラサラロングの女の子が少しおどけながらもこちらにそそくさと向かってきた。


 「キョウ、どうしたの?」

 「こいつがちょっと話したいんやって。」

 「えっ!?どうして私に!?」

 「まあ悪いことはないと思うで、保証まではせんけど、もしなんかあったらアタシが守るわ。」

 どういう言い草だ、人の印象が歪曲して伝わるだろうが。

 まあ、あれだな、ラックよりも自信なさそうだな。なんていうか、自己肯定感すらも0に近い感じが、うん。俺も現実世界で味わったことあるからわかるけどね?君は見た目いいんだからそこは自信持ってほしいな?ラックも同じく。


 「はじめまして。俺の名前はショウ。こいつはベースマルの相棒、マルイだ。よろしく。」

 「ポフ!」

 ・・・まじでどっからその声出してんだ。

 「あ、わ、私はシャーリー、って言います。この子はベーススライムのスラちゃんです。よろしくお願いします。」

 「キピ〜」

 ・・・スラちゃんか・・・惜しいな。まあ、その辺は自分で付けるから良いか。

 「よろしく。ああ、ラックも挨拶しような?」

 「えっ!?ああ、うん、どうも、はじめまして、ラックです。この子はエレキスクワールで相棒のエルです。よろしくお願いします。」

 「チュリ!」

 ラックもラックで人見知りだからなぁ、時間が解決かな。


 「それで、単刀直入に聞くけど、シャーリーさんはスラちゃんのことどう思ってる?」

 まずここだ。基本中の基本だが、モンスターと人間は契約魔術以外でも信頼関係を築けるかどうか、これがミソである。特にベーススライムからの派生はこの信頼関係を表した裏ステの一つ『絆値』が一番必要になる。絆値のない状態で派生したベーススライムの進化先はどう考えても雑魚しかいない。それほどスライム育成とは絆値が前提となる。


 「それは、もちろんスラちゃんのことは可愛いと思ってますし、私にとっては初めてのモンスターなので一生大事に育てていきたいとは思ってますが、やっぱりベーススライムですし、私自身もドジで、この子を活かせる自信がなくて、難しい心境っていう感じですかね・・・。」


 「そっか。」


 愛情は充分ある子だ。絆値も問題なく貯められるだろう。後はこの子の自信がつくかつかないかだけど、それは別に今すぐどうにかしなくてもいい。なら決まりだ。


 「もしもの話、俺がシャーリーさんとスラちゃんを強くできる知識を持っていて、それでもし強くなれるなら、どうする?」

 「そんなこと、あり得るんですか!?」

 やっぱり、この世界ではまだ環境が未発達だな。

 「はっきり言うけど、俺はその知識を持ってるよ。」


 そう言うと、シャーリーは一瞬戸惑うような困惑の表情を見せながらも、意を決したかのような顔になり

 「一体、私に何をお求めですか?」


 なんと見返りを聞いてきた。

 「何も要らない。何か貰うほどの事じゃない。」


 こんなことで色々貰ってたら全部情報提示した頃には俺の周りが貰い物で溢れかえってるわ!そんなにいらんわ!


 「正直、信じられなくて、かなり疑ってます。」


 まあ、現環境があれだしな・・・。

 「わかった。じゃあ今回だけ信じてみて、もし俺が嘘をついていて騙したってなったら俺のことをどうしてくれたって構わないし、どう貶めようと文句はない。それでどう?」

 ここは強気に出る。ベーススライム持ちは絶対にほしい。

 「そこまで言うなら、一旦、今回だけ信じてみます・・・。」


 良し!まあ、一旦って言葉を挟むあたり、優しい子なんだろうな。だったらしっかり信頼を得ないとな!俺は嫌いな人以外には優しいタイプの人間だからな!


 「よし!そしたら決まりな!明日から育成始めるから、学園都市の南門に集まるんだけど、シャーリーさんとキョウは、その子達をどう使いたいか、どういう風に戦いたいか、絵空事みたいなのでもいいから考えてきてほしい。できれば第三希望ぐらいまでね!んじゃ!明日からよろしく!」


 そう言って俺はラックを連れて寮に帰った。



 「・・・まぁ、そんなわけや。一回やってみる価値はあると思うで、シャーリー。」

 「う、うん、そうなんだけど、なんか、嵐みたいな人だったね。」

 「それはほんまにわかるわ。」




________


 寮の部屋にて


 「それで、僕にはそういうのはないの?」

 「そういうのって?」

 「どういう風に戦いたいかってやつだよ!」

 「いや?ラックのエルの育成方針は申し訳ないけどもう決めてるよ。」

 「どうして僕だけ!?」

 「まあ落ち込むなよラック、エレキスクワールはその育て方をすればぶっちぎりの強さを誇るんだ。俺が保証する。」

 「うーん、まあ僕としてもショウがいなかったらどっちみちエルを強くできないし、なんか楽しそうだし、乗るよ。」

 「おう!大船に乗ったつもりで任せとけ!」

 「・・・僕からしたらまだ泥舟感覚だけどね。」

 「なんか言ったか?」

 「いや?なーんにも?」

 「そっか。」

 「それにしてもショウはさっきから何を書いてるの?」

 「ん?これは俺の知識の宝物庫みたいなもんだ。簡単に言うと育成計画だな。」

 「は〜、そのどっから来てるかわからない知識はどうなってるんだよ〜。村のときはそんな感じ全然しなかったのになぁ・・・。」

 そりゃそうだ。俺も村にいたときの俺なんて知らん。なんなら未だに村に行ってないから知識はあっても感覚初対面だわ!

 「ま、爪を隠してただけだな。」

 「やっぱ能ある鷹は爪を隠すなんだね〜。」

 すまんなラック。俺の爪は嘘だ。絶対に今の俺を舐めるなよ。嘘の味がするだろうから。


 そんな会話をしながら就寝時間を迎え、育成書類も纏ったところで、ベッドに入った。


 明日から育成週間だなぁ。


 ぶっちゃけ2日あればあの序列一位さんに正攻法で勝てるなぁ・・・。

 ニートキングに絞るなら5時間かければ勝てるやつが育つなぁ・・・。


 こんな環境悲しいなぁ・・・。

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