大人のキリン
二頭のキリンが立っていた。
子供のキリンと大人のキリンである。
この両者は親子という関係である。
親のキリンは、子供のキリンに優しい声で呟く
「大人になったらな。幸せの小鳥に出会うことになっているんだよ」
そこにちょうど都合よく、鳥が現れる。
コドモきりんは、大人のキリンに向かって、尋ねる。
「あれが幸せの小鳥」
「あれは、幸せ小鳥のわけがないだろう。幸せの鳥は大人にしか見えないんだから」
月日は流れ、子供ののキリンは青年に成長した。
そこに二匹の小鳥が木に止まっている。
青年になったキリンは、親であるキリンに質問する。
「父さん、あれが幸せの小鳥なのか?」
大人のキリンはため息を吐いて、呟く
「君はまだまだ子供だ。そんなことに、未だに拘っていること自体が子供なんだ」
大人のキリンは気に体当たりして、微笑みながらつぶやく
「もしも鳥を見て、幸福になれるなら、幸福の小鳥だと、思うかい?いいや、違うね。鳥小鳥しょせん小鳥、木に体当たりをしたら、すぐ逃げてしまうだろ?だから、そんなものは幸福でも何でもない。瞬間的な快楽だよ。もしも小鳥で幸せになりたいなら、小鳥を捕まえて、飼えばいい、君のような子には癒しが必要だからね」
青年のキリンはただ呆然として立ちつくすしかなかった。