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学園再開

 私たちが通う王都学園は共学だが、習う内容が大きく違うため男女でクラスが別れている。


 学園に通う女子は男子に比べて圧倒的に少ない。ほとんどの貴族令嬢は就職しないから通う必要がなく、また安全面でも自宅で家庭教師に習うのが一般的だ。


怪我をしたことで父に「学園を辞めて自宅で家庭教師を付けるか?」と言われたけれど、絶対に学園を卒業したいと説得した。


(だってもうすぐ婚約破棄されちゃうから……。って自分で言ってて悲しくなってきた、ぴえん)


 侯爵家は兄が継ぐし、婚約破棄された令嬢に新たな婚約は望めない。今後一人で生きていかなければならない私は、学園卒の肩書きが必要なのだ。


(将来について考えがないわけじゃないけれど、彼女が首を縦に振ってくれるかどうか……)


 馬車が1ヶ月半振りの学園に到着し、付き添ってくれたリラに支えられゆっくり外に出る。


 松葉杖なんて前世でも使った事がなかったから、寝たきりで鈍った身体のリハビリを兼ねて2週間しっかり家で練習してきた。


(スクールバッグがリュック型のデザインで助かった〜)


「リラありがとう、行ってくるわ」


「お気を付けていってらっしゃいませ」


 校舎に向かう途中、あちらこちらでヒソヒソ声がする。貴族は情報が回るのが早い。事故に遭ったという話がもう知れ渡っていて、あーだこーだと好き放題言われているんだろうな。


「シーナ! 久しぶりね、脚の具合はどう?」


 背中に沢山の視線を浴びながら、やっと着いた2階の教室。

 入った途端、私の元にすっ飛んできたのは友人のマヤ。学園内で唯一私に話しかけてくる勇者だ。会えたのが嬉しくて顔が緩んでしまう。


「えへへ、マヤおはよう」


「おはよう、って何その変な顔」


 ああ、いいねいいね。貴族っぽくない、彼女のハッキリした物言いが大好きだ。


「マヤ、凄くすごく会いたかった」


「はいはい。分かったから、そのヘラヘラっとした顔やめなさいよ」


 マヤは西に位置する島国、セフチノ王国から留学生として来ている。独立した島国とあって、その文化は独特だ。話を聞くだけでも魅力たっぷりで、いつか行ってみたいなと思うのだ。


 学園が休みの間自国に帰っていたマヤには、手紙で怪我のことを伝えていた。


「治るまでは迷惑かける事もあると思うの、ごめんね」


「そんな事気にしないで、何でも遠慮なく言って?」


「うん、ありがとう」


 そう言って微笑むと、マヤは視線を落とし、何故か眉を八の字にして困ったような悲しげな表情を浮かべた。


 「マヤ? どうしたの?」と発した声は、廊下から突如上がった多くの悲鳴にかき消された。


(しまった!!! もうそんな時間!?)


 ついに、この世界の主役達のお出ましだ。

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