ストーカー2
本日二話目の投稿です。
宜しくお願いします。
「なんなのアイツ〜〜〜っ」
校舎を出て馬車に向かう道を歩きながら、ついにマヤの怒りが爆発した。あの後カミル様は教科書を返してくれたし、あっさり解放してくれた。後を付いて来るような事もなくてホッとした。
「シーナはアイツと親しいの?」
「親しくないよ。話したのもお兄様と参加した16歳のデビュタントの時にご挨拶して以来だし。それよりアイツ呼びやめない?もし誰かに聞かれたら…」
貴族っぽくない彼女のハッキリした物言いは大好きだけど、時々聞いてて冷や冷やする。
「嫌よ、名前も呼びたくないわ。親しくないのにアイツのあの馴れ馴れしい態度!言葉も表情も全部ぜーんぶ演技よ!本音なんて一つも無かった。気持ち悪いし不愉快よ!!」
(え、そこに気付いたの!?)
設定を知ってる私と違って、マヤは自分で見抜いたと言う事で。マヤもゲームには出てこなかったけれど、凄い大物感がある。只者ではない感じ。彼女も敵に回したくない人だわ、友達で良かった。
「だいたい、どうして裏庭に教科書がある事を知ってるの?まさか!アイツらとグル!?」
「それはない!と思う」
ゲーム内のカミル様は絶対にイジメなんかしなかった。むしろ誰ルートであろうと、ヒロインをイジメる令嬢達の悪事を暴きヒロインを守る側の人だった。だから、イジメる側とグルって事は絶対にないと思う。
「どうしてそう言い切れるの?教科書の在処を知っていた理由は?ねぇ、先週の話を聞いてたって言ってなかった?もしかして今日の話も聞かれてたのかしら?
私、気づいちゃったかも…コレってもしかして…」
「え、何やだ、怖い。マヤの顔が大変恐ろしいことになってるよ!?大丈夫!?」
「大丈夫よ、失礼ね!アイツさ、ストーカーなんじゃない?」
「……」
「……」
「……え?誰が?誰に?ストーカー?」
「アイツが、シーナに、ストーカーしてるんじゃないかって!」
凄いドヤ顔で〝謎は解けた!〟って満足そうにしてるマヤが可愛い。ストーカーなんてあり得ないんだよなぁ、だって私たちモブだよ?攻略対象がそんな…
「あり得ないってー!」
「そんなの分からないじゃない。シーナの婚約者さま絡みかもしれないわよ?例えば婚約者さまの弱みを握ろうとしてるとか。それなら説明がつくんじゃない?それともシーナを貶める為、とか?もしそうだったら、ただじゃおかないんだから」
「えぇぇ、考え過ぎだよ〜」
「そうかしら?まぁ、理由は如何あれストーカーなのは間違いないと思うの。警戒するに越した事はないわ。こっちから罠を仕掛けて誘き出して……いや、それとも……」
マヤの止まらぬ妄想を聞きながら、ふと大事なことを思い出した。〝婚約を破棄したい〟と言われてから2ヶ月弱。何の音沙汰も無いのはどうしてだろう?ゲームではそろそろ〝婚約破棄をした〟の台詞の時期だと思うんだけど。
(カミル様が絡んで来たことも何か関係あるのかしら?)
本当にこの世界がスペシャルルートで進んでいるとしたら、私が知っているストーリーと違う展開であっても仕方ない。
(もう暫く大人しく様子を見てようかな。モブはモブらしく、メインストーリーに影響を与えないようひっそりと生きていればいいよね!)




