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リアリアリア 〜完璧リア充なのにトレチェリーなオレって・・・・・・〜  作者: ゴウゴ
第一章【彼女が俺に、ヒトの優しさを教えてくれた】
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4.男2女1の幼馴染同士で嫉妬してしまうあるある①

 キャンプ部歓迎会の翌日の登校中、オレは睦月に「むっちゃん」と言われたことを思い出していた。

 何故そう言われたか考えてみたが、皆目見当がつかなかった。考えた挙句、あれは睦月が自分のことをむっちゃんと呼んだのだと結論づけた。意味不明だが。

 ホントMG【ミステリアスガール】で困るわ。


 教室に着くと睦月はクラスメイトと会話をしていた。結局、昨日はあれから睦月とは話さなかったので、挨拶がてら昨日の発言の意図をオレは聞きに行こうとした。


「おはーす。エイト。昨日のキャンプ部の活動どうだった?」


 伊藤に話しかけられたため断念。後ほど睦月が一人になるのを待ってから話しかけることにしよう。


 そして、お昼休み。睦月が一人で教室から出ていくのを確認したオレは理由をつけて、普段連んでいるグループ内から脱出。そそくさと睦月に近づいた。


「待って、むっちゃん!昨日の川岸での事なんだけど、なんでオレのことむっちゃんって呼んだの?」


 睦月に対して疑問をぶつけると、睦月は一呼吸置いたのち話し始めた。


「どうしようかなー。さっぱりわからない?」

「うん、全く見当つかない。教えて」

「うーん。そういえば来週末から中間試験よね?なら答えは試験終了後に教えるね。それまでこれは私からむっちゃんへの宿題とさせていただきます」

「またむっちゃんって呼んだな。分かったよ。それでいいけどくれぐれもみんなの前でむっちゃんって言うなよ」

「それなら安心して。元々みんなの前では君のこと、むっちゃんって呼ばないつもりだったから。こうやって二人で話す時だけにします。一応これヒントだから」


 そんなヒントじゃわからねーよと思っていると、

「私、これから数学の大塚先生に用事があるからじゃあね」

と、睦月はそう言って片手で掴んだ数学の問題集をチラ見せしながら職員室へ去っていった。

 オレには解答を教えないで自分は先生に教えてもらうんだなーと若干イラつくが、それを何とか抑えながらオレは教室へ帰った。



 新緑の木々が芽生え、澄んだ青空の下、それらが人々の目に映える5月下旬。


 四日間に渡る中間試験が無事終了した。高校へ入学して最初の大きな試験であったため、クラスのみんなが一喜一憂で盛り上がっていた。


「エイト、試験終わったしカラオケ行かね?」


 話しかけてきたのは伊藤。試験終わりだからなのかやけに機嫌が良い。そういえば伊藤はキャンプ部に入部するためにかなり英語の勉強に勤しんでいたな。

 何やら伊藤がキャンプ部に入りたい理由は、【あのセンパイかっこいいからマネージャーしようかな女子】の如く、うちのクラスのとある女子に好意を寄せているためらしい。

 それは言わずもがなむっちゃんのことだ。

 最近オレとむっちゃんの会話が増えていることに伊藤は気づいたらしく、恨めしく思っていることを他のクラスメイトから聞いた。恐らくカラオケに行けばCG(Cランクガール)市川奈央とともにこれに関して質問してくる事だろう。


 断りたい気持ちでいっぱいだったが伊藤への誤解を解くためにも行くことにする。そう感じていた矢先、

「エイト、睦月さんカラオケ誘えない?」

 という伊藤の唐突な質問にオレは無意識にこう答えてしまった。


「むっちゃんは確かバイトだったかな」


 伊藤はオレに怪訝な表情をみせる。その表情を見て、試験が終わった後の高揚感が吹っ飛んだ。

 伊藤はオレが睦月をむっちゃんと呼んでいること、睦月がバイトしているのを把握していることを恨めしく思っているようだ。


「ああ、むっちゃんってあだ名はキャンプ部の活動中に皆で呼ぶことになったんだよ。それとバイトの事は最近働いているところを見かけたからだし、その時今日バイトだって聞いたんだよ」


 正確には今日試験が終わった後に廊下で例の答え(理由)を知りたくて話しかけた時、「今日はバイトだからまた今度ね〜」とはぐらかされた為知っていたのだが、余計なことは言わないことにする。



「で、睦月さんとは特に何も無いんだよな?」

「えっ、エイト君、睦月さんのこと気になってるの?」

 案の定、伊藤と市川奈央から問いただされたオレであったが恋心は無いとキッパリ否定した。

 すると、ようやく安心したのか今度は睦月のことを訊きまくってくる伊藤。


「とにかく、オレは睦月とは何も無いから伊藤アタックしろよ。多分彼氏いないぞ、アイツ」

「信じていいんだな?」

「ただ部活にバイトに忙しそうだから彼氏とかは要らなそうだけど」


  普段クールビューティーの睦月がキャンプ場で見せたあの笑顔をクラス内で披露することは早々無いだろう。

 ただマーガレット先生に入部を懇願した時のように、伊藤の熱意が睦月に伝われば近いうちに伊藤も睦月の良い意味での「本性」を見ることが出来るのではないか。その結果、伊藤はより睦月に恋心を抱くだろうと感じずにはいられなかった。あの時の睦月にはオレでも惹かれてしまった。あくまで恋心抜きにして。


「そういえば来週、クラス対抗陸上大会もあるし得意の800mで睦月さんにいい所見せつけるわ。そうだ。その勢いで頑張って話しかけるわ」


 こりゃ近づくまで時間かかりそうだわ。でも頑張れよ伊藤。中学時代のお前のスタミナを、プロレス同好会の意地を、お前の熱意を睦月に見せ付けてやれ。

 伊藤を応援する傍ら密かにオレにもある決意が芽生えていた。


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