【#0】ダセェ!
「あ、死んだ」
その時間は、一瞬だった。
何時間も、何日も、何年も生きてきた時間が、こんな一瞬で終わってしまうのか...
そんな事を思いつつ、
死んだ。
東雲 樹17歳、彼女いない歴=年齢、もちろん童貞。陰キャ。ネット籠りっぱなし。
平凡な日々を過ごしていた。
死んだ理由は、ダサい。大分。
イケメンがこの理由でも引かれるぐらいだ。
それは
扉の角に小指をぶつけ、その拍子に転倒して頭を机をぶつけて死んだ。
実にダサすぎる。
――――――――――――――――――――――
「あっはははははははははははははは!!!」
「っ...!」
「だっwwwダサすぎでしょwww」
「うっせぇ!どうしようもねぇだろ!あれは!!」
「それにしてもwww小指ぶっけてwww頭ぶっけてwww」
「あははははははは!!」
「つーか結局あんた誰なんだよ!ここどこ!?」
イツキは、眼前の赤髪で長髪の可愛らしい女の子を見つめる。
「えー...まぁ説明しなくても分かってんでしょ?イツキくん」
「まぁ...つーかこんな展開現実であっていいのかよ?」
「いやこれ君が好きな展開なんだから喜べよーぅ!」
「素直に喜べねぇよ...だって俺死んだんだろ?女神様?」
「あんた身内も友達もいないし別にいいでしょ?」
「ぐっ...そう言われると反論のしようが無い...」
「さてさて!今は能力設定!この101個の能力の中から2つ選んでね!」
(101...?何でそんな半端な...)
(...!そういう...事なのか?)
「なぁ...この能力って...いつ渡されるんだ?」
「んー...?選んだらすぐだよ」
なるほどな
そういう事か...!
「俺は...一つ目にこれを選ぶ!」
【百倍】
一度だけ、何かを100倍にする事が出来る。
「はぁ...?アンタそんなハズレ選ぶわけ?」
「ハズレじゃないさ...大当たりだよ...!これはな...!」
「まぁ...決めたなら後悔しないでよね?」
女神と思われるこの少女は、謎の呪文のような言葉を詠唱する。
........................
「...はい、これで【百倍】はアンタの能力になったわ」
「あと一つ...何選ぶ?」
「一つ...?笑わせんなよ」
「俺が選ぶ能力は...」
「全部だよ」