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3 『俺達は、気まぐれだからな。A型なんぞ、変人の極みだ。』


――『ただ、興味と義理を大切にするだけだ。』






 




 結論から言うなら、すぐに決着は着いた。


 中央の踊り場みたいな場所。

 そこに、茜さんは棒立ちになってた。


 一緒に居た男……の形をした何か。

 銀髪に菫の瞳、ミケランジェロのダビデ像が人類男性造形の極地ならば、それに比べれば若干もやしな優男。

 だけど、人間としたら異常なまでな美形。

 ホームズ辺りのジェントルマンが着てそうな古めかしいスーツ&インバネスに山高帽。

 うん、冒頭にも書いたけど、九月末だ。

 私としちゃ昼間は暑いし、夜も長袖じゃ厳しい季節だ。

 真冬、控えめに言って晩秋の格好されて、体感的に こっちがキツい。

『ふ~ん、ほ~、へー、うん、君が居るなら、オレは引くかな。』


 単純に敵わないってのもある。

 相討ちすら無理だって分かった。


 名付けでどうにかできる雰囲気でもない。

 というかね、琥珀はともかく、(好奇心満載のショタっ子なとこあるから)カディが某龍球の主人公か野菜王子みたいなwktkしてるの見ても、間違いなく、庇ったこのめごと死ぬ。

 なんていうか、本当、カディって外見詐欺だわな。


 相手にまじまじ覗き込まれた。

 少しときめいたけど、氷で心臓を掴まれるってこんな感覚なんだろうなって。


 なのに、何か思われたのか、帰ろうとした。


 そうは問屋が卸すか。


 結論だけ言うなら、呪具の一つと髪の毛一本で色々情報を貰った。

 あ、一応さ、琥珀は付喪なわけでゆるいけど神前の誓いに近いので、「虚偽」は無理なようにした。

 ああいう存在って、『約束』を破りたがらないからね。

 ちなみに、『エンディア』なんて名乗ってたけど、通り名みたいなもんらしい。



 運がいいことに、契約/名付けを受け入れてくれてるから生きてる、琥珀やカディみたいなハイレベルよりも多分、上だ。


 某ゲームのステータスになるけど、APPと言うのがある。

 行動や仕草込みだけど、どんだけ美人かを数値化するステータスで、人間の上限値が18だったはず。

 シナリオ次第で、ニャル様の眷属になってAPPが天元突破ってのもある。

 以前に、ショートキャンペーンをしてそうなったこともあるのだ。

 目安だけど、着替えを自由自在に出来るような奴は、APP19以上だろう、基本。。

 本気の神話クラスなら最高値の25がゴロゴロしてるだろうし、サキュバス系統なら、力はともかく、APPだけ、22とかそういう形になる。

 ただし、力も伴った存在の場合、数字に出ない威圧感?があるからまた分かり難い。

 その上で言うなら、少なくとも、何の縛りもなく従わせるのは危険な程度に人間に興味のない存在だと思う。

 なんて言うのかな、琥珀にしろカディにしろ、或いは意味としてのアクタにしろ。

 人間に興味はあるんだ。

 積極的な意味合いで、干渉してきたりするし、できるから。

 それが、食欲なのか好奇心かなのかの違いなだけで。

 だけど、コイツの場合、下手すれば自身の身が危ないのに、同類に手を出しているし、人間に手を出し正されたことに関しては副次的だ。


 今でも、よくわからないけど、エンディアは死にたかったんじゃないかなぁとは思う。

 昔の義理で、私や蒼真さんにそう「されるのがいやだっただけで。

 うん、琥珀たちには言ってないし言わないけど。

 なんつかなぁ、言語化に向かない部分でそう思ったわけだ。



「茜さん、死にたくないなら帰れ。

 ご両親にもう一人の娘まで失わせる気だっただろう。」


「人のこと言えないわよ、ゆみちゃん。」


 否定しない。

 親が把握してる生来の身体に起因するのだけで五回死にかけた。

 それを抜いても、十回は死を覚悟してた。

 死にたくないから、ムチャして“今”を掴んでるだけだ。

 正確には、とある奴との約束で死ぬわけには行かないだけだが。


 まぁ、当然拒否したわけだ、茜さん。


 説得がてらと、整理がてら、エンディアからの情報を整理する。


 あ、ネットで調べたのとか込みで思考してだけど。

 それなりに有名なというか、アンティークドール界隈では割と有名な人形らしいんだわ。

 普通は、十歳ぐらいまでのそういう人形に置いて二十歳ぐらいのは、珍しい。

 カスタムドールとかでは本当に多いけども、それは例外としてだ。


・ドリームランドの核と言う意味のボスは、等身大人形。

 役柄的に、ドリームランドのお姫様か女王様。 ドリームランドが、彼女の王国。

 一種の箱庭にして異世界。


・ドイツ人 アロイス=ベルメール作。享年38歳。

 祖国で通り魔に刺された。

 刺されてなくても、余命はさほど無かった。


・人形師一族の中でも飛びぬけて天才。

 造るのはもちろん、操り手としても天才だった。


・アロイスが、一番最後の作品にして最高の傑作=ラスボス。

 公式には行方不明。


・一応、写真集なんかには写真が残ってる。

 ちなみに、現存してりゃ、日本円にしてレート次第じゃ一千万以上。

 他の作品も軒並み、数百万以上。

 五年前に出た典型的な十歳ぐらいの抱き人形にしても、1200万で落札された。


・残ってる写真の周りのモノから察するに、180オーバーの球体関節人形。

 青っぽい銀髪に青い魔法使いっぽいドレス姿。


・アロイスは『必ず戻ってくるから』と言っての一時帰国。

 ピザの書き換えと向こうの骨董市でレースを買い込むつもりだったらしい。


・なんていうか、いちばん解りやすいのオリンピアか、ピグマリオン。


・付喪になりかけだったラスボスはその言葉に縋る。

 大好きなパパにもう一度会いたい。


・だけど、親もいない人間もいない場所で自我を保てない。

 ちゃんと、付喪になってりゃ、と霊脈からのおこぼれで十分だけど、彼女、生まれて三十年経ってない。


・だから、霊力の強い子どもや人間を捕獲して、加工して食べてた。


・クメール・ルージュや某“死の天使”が 行った実験参照。


・恐怖と痛みで死ぬ瞬間が、一番魂の美味しい瞬間ときだって、エンディアが 教えた。

 嘘らしいけど。

正確には、霊力が高まるから完全嘘でもない?



・気まぐれに、幾つかの魂は逃がして、輪廻に戻してる。


・銀月葵に関しては、エンディアが彼女と“約束”をしたから、確実に逃がしたし、霊力も奪われてない。


・一応、魂まで食べられたのは、合わせて、十五人のみ。

 この場合、輪廻の輪に戻れてないという意味で。


・ここ最近人数が増えたのは、色々と限界だから。


・ただし、倒す、殺すのは無理。

 控えめに言って一途なのは殺すのはかなり無理。


・ある意味で交渉であり、できれば封印かなぁって。

 時間の流れに漂泊というか、漂白するのが、一番被害が少ないし。


・多分、今回の被害者でお腹一杯になってしばらくは静かだろうし大丈夫。


・ただ、『家主』に『帰ると告げる』必要があるから会わないと行けないだけで。


「手持ちと、後ろの子達を借りても割りとギリギリ一杯だけどやるしかないみたいなね。

 多分、出れないし、だけど、貴方一人なら結界ぐらいどうにかなるし。」


「貴女こそ、縁がないですよね。」


「まぁね、せいぜい、此処が終わった後にできたリニモが最寄駅だった元大学生だもの。

 というより私は、おまけ兼囮。

 縁があるのは、此処が地元のチエ先輩とトラ先輩だから、死なせたくないからの無理矢理ねじ込んだ縁よ。」


「話は解りましたが、ついて行きます。」


「料金外、何あっても恨まないで、いや、恨んでも良いけど覚悟はしてねって感じ?」


 見た目は、化粧まで含めて人形っぽいロリィタの似合うんだけども、中身はなかなかに強情だと思う。


 完全に余談だが、ロリィタなのに、ナチュラルメイクなのはアホかと思う。

 微妙に方向性違うけども、AGEHAメイクかバンギャメイクの方がマシだろ、って名古屋歩いて、ナチュラルメイクなロリィタ見たら思うのだ。

 ちなみに、個人的な話、AGEHAメイクから色味を減らして、ダークトーン多めにするとだいたい、ゴシックロリィタメイクだ。

 ペールトーンなら、ロリィタだけど、基本的にごってりだ、舞台メイク並みに。

 或いは、唇までリキッドな濃いファンデ塗って小さく紅を指して小さな口を演出する場合もある。

 ロリィタ着るなら化粧まで着よう!



 そういう意味で、茜さんはかなり理想的だ。

 一年後輩のゴスロリ娘以来っても過言じゃないぐらいにメイクまでバッチリ。

 ちなみに、ゴスロリ娘は後輩だが、学部や講義が一ミリも掠らなかったせいで詳細不明だが、見かけるときはがっつりゴスロリだった娘だ。



 とりあえず、アクアツアーに向かうかってなった時だった。


 夜の静寂を引き裂くように、悲鳴が響く。



 結論だけ言おう。

 タイチとミサ。

 大学生組のデブとゆるふわ美乳が死んでいた。

 ジェットコースターから投げ出される形で。


 物理法則を凌駕する形でだ。

 わかりやすく言えば、≒で水の入ったバケツとジェットコースターは結ばれる。



 ちなみに、名前に関しては、うん、呼んでたから覚悟ナシ共が。



 その時、カディが言っていた。

 正確には、呟いた。


『俺達は気まぐれなんだ。

 今優しいからって次がそうとは限らない。

 A型みたいな生真面目几帳面なんてのは、俺達としたら変人だ。

 ……代わりに義理を優先するからな、特にアイツは。』



 聞き返せなかったし、聞き返さなかったけど、カディの知り合いらしいエンディアは。


 そして、大学生組のあの二人がある意味で代価の意味での身代わりだった。

 聞かないけどね、言わないし。

一応、エンディア自体はとある版権に出したオリキャラですが、一部行動はカディの知り合いから取りました。



後、基本的にカディ達は、人間好きですよ?

普通に好意や食欲、あはんな意味含めたら、九割は。

と言うか、ダイの大冒険のポップのセリフじゃないですが、「線香花火みたいな人間がやらかすのが見てて楽しい」んだそうで。

距離が遠くなってもそれは変わりないみたいです。



では後二話か三話で終わるといいな、と言うわけで次回。

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