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2 「何故、手は二本しか無いんだろう?」




「迂闊だったね。」


 バザールを抜けた後、四人になった。

 そこで、蒼真さんに言われた。


 月明かりと、何故かついている街灯、ランタンだけでも解る程度に私はそれを肯定する。

 一応、師匠でもある蒼真さんのことだ。

 ある程度、解った上での発言だろうから。


「うん、でもね、大学組程じゃないけど、縁が薄かった。」


「奥さんは、純然たる事故だけど、子どもはこっちに持ってかれたんだ。

 その後に引き寄せられたのも、縁だと思うけれどね。」


「……一応ね、営利が発生している以上、チエ先輩とトラ先輩を優先するべきだけども手助けできるのならしたいだけだもの。

 蒼真さんだって、お守り、渡してた、一発が生死を分ける可能性もなくはないのに。」


「そうだね、で、チエさん、どうする?

 何もないのに、縁が薄いのが集まるのはおかしい。」


「…………帰して貰えないんじゃないかしら?」


「そうね、私の乏しい霊感でもわかるわ」



 言い方悪いが、満員電車でも、縁が2桁を切るような希薄なのは、一両百人載ってたら一人二人なぐらいだ。

 普通、大学まで進学して、そこそこ勉強してそこそこ遊んで、卒業して就職してれば、どんなに少なかろうと三桁に近い2桁は、「縁の糸」がある。

 引っ込み思案だとしても五十は下るのはかなりのレアケースだ。

 例え、病気だとしても、親戚の縁の代わりに、病院スタッフや入院仲間の縁が補完する。

 私がそう見えるだけでもっと縁は多いのかもしれないけど。

 だから、異常なのだ。

 まだ、大学組の七人は同じタクシーや車で帰る際に事故る可能性はある。

 面識も縁も無い刑事組も、大学組よりマシでも縁が少ない。

 ついでに言うなら、トラ先輩やチエ先輩も前より少しだけ薄い。

 あくまで、ノリだけど、「死亡:大学組90%>刑事組65%>私達20%」ぐらいな死亡確率なんだろう。


 明確に確認した訳じゃないけど、蒼真さんも似たような感じ方っぽい。

 いるのがヤバいと言うのも。

 日本が、維新後にいや、戦後捨てた忘れた部分のツケだわな。

 良くも悪くも、そう言う目に見えない部分を捨ててきた。

 死ね死ね団なんかのアカじゃないのに、唯物論に走った部分もあるしさ?


 だから、わざわざ呼び寄せているのがいると判断した方がいいだろう。

 それになぁ、なんか、黒幕って意味のラスボスは二つ移送なんだよね。

 勘ではあるけど、そういうので生き残ってるんだもん。

 原因は一つでもラスボスは二つねぇ、一つが一つを利用している、って感じか?





 私は、生来の霊力はさして強くない。

 環境を加味しても、質はともかく、量はちょっと多いのかも? ぐらいだった。

 何度か死にかけ、それで量が増えただけ。

 彼岸に近いからこそ、普通に見えるものだけではないのを知っている。


 交わらずに在れ無いけど、交わらない方がいい。

 仲介や折衝なんて、無理だけど。

 それでも、思うんだわ、何で私の腕は二本なんだろうって。

 私にもっと、上手く霊力を使う術があれば、助けれたのもいるだろうとは思う。

 今は廃坑のあの場所で、手を話してしまったのも、力量不足が原因だから。


「はいはい、考えすぎない。」


「ありがとう。

 で、最初の子どもがいなくなるどうこうってのは、多分、ボスに食われてるでいいとして。」


「良くないけど、そういうもんよね。」


「ゆみこちゃん、取捨選択は間違わないでね。」


「うん、ラスボスにちょっと同情してるけど依頼は依頼だ。」



 眉間にシワが寄るけど、蒼真さんに伸ばされる。

 多分、今日は原因の意味のラスボスに会うまで帰れない気がする。

 言葉にすると確定するから言わないけど。


 うっすら、リンクしたラスボス(推定)からすると何人どころか何百人食べてても、憎みきれない。

 子どもだもん、親が恋しいだけの。

 最低限、チエ先輩とトラ先輩は生かして帰さないと。



 半分上の空で、話をまとめ怪異がありそうなのは、ミラーハウスとアクアツアー、キャッスルだろう、となった。

 位置的に、ミラーハウス→アクアツアー→キャッスルだろうが、途中、メリーゴーランドは通るだろうし問題ない。

 後は、コースターだけどそれでも、そこは警戒しなくていい。

 現象であって、誰もいないから。



 一応、静かすぎる園内を警戒しつつ歩く。

 暑さも和らいできたから、普通は虫の鳴き声や風の音がするはずだ。


 すぐに、ミラーハウスにつく。

 目測、正面三十メートルに奥行き四十五メートル。

 入り口が正面で残り三つに出口があるっぽい構造だけども。

 多分、左右の四方位で言う西東の入り口は板で塞がれてる。

 元は白い貴族屋敷っぽいペイントがされていただろうそれも剥げていた。

 というか、デカイな。


 いつからいたのかはわからない。


 周囲の薄暗さとは違う黒メインの姉様ロリィタと言うかクラシカルロリィタと言うかそういう感じの服装のロリィタ。

 パニエで膨らまさず、ストンとしたシルエットながら、要所にはレース。

 ただ、全体的にシンプルだ。

 イメージ的には、ゴスロリにヴィクトリアンな要素を足した感じかな?

 うん、似合わないけど着ないけど、服装としてはロリィタ好きなんだ。

 チャイナロリとか、和ロリ系の邪道も含めて。

 正統派でも少々邪道よりだけど、ヴィクトリアンゴスも中々、クラシカルで素敵だ。


 黒髪パッツンだけど、姫カットってよりはワンレンに近いかな。

 可愛いし、後ろの子達が口をそろえて言う程度には、つまみ食いをしたいらしい。



「呼ばれたの?」


 彼女は、銀月茜と名乗った。

 両方とも、薔薇の品種な辺り、偽名かね。

 曰く、十年ほど前に亡くなった姉が夢に出てきたらしい。

 しかも、その少し前に、此処に来てから別人のようになってしまった姉で。

 ここのことを思い出して、着たらしい。


「四番目のミラーハウスよねぇ。」


「いくついる。」


「現象が三つ、メリーゴーランドとコースター、観覧車。

 そっちは、放置で問題ない。

 原因は、キャッスルの子。

 だけど、大物がここ、ツアーのは生きた転送装置に近いけど、食べやすいのを片っ端から送る程度には知能があるから、現象ではない存在。」


 蒼真さんの問いに、簡潔に言う。

 うん、茜さんの目的は姉の魂の行方なんだろうけど。

 どこまで言うべきか、ね。

 ええい、ままよ。


「茜さん、姉の中身の行方が目的なら、ここじゃな、」


 言おうとはした。

 したんだけど、結論から失敗した。


 中から聞こえてきた幼い声。


『茜、お姉ちゃんを助けて~……』


 言葉を切られる形で、入られた。

 気配的に、原因じゃない方に先手を取られた。


 茜さんは、操られるようにして中に入ってしまった。


 それに、ここで茜さんを見殺しにしたら、昔の私を見放すことになるし、絶対に後悔する。

 立ち回りが出来る場所が、中央付近の広場しかないとしても。

 どの出口をつかうにしても、一度はそこを通らないといけないそういう場所。


「蒼真さん、ごめん、原因じゃなくてもここのに接触した方がいい。

 追う、琥珀、カディ、このめ、来て。」


「ちょっと、ゆみちゃん!」


『はいよ』


『仕方ないのぅ』


『楽しませてくれるな、お前は。』


 ほとんど反射的に私は、茜さんを追いかけた。

 なんてか、半分は死ぬかなって、思ったけど追い掛けたんだ。




トラウマ、になってる経験からの弓子の行動でした。



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