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1 『自業自得に悪因悪果、自己責任だ。』



「…………貴女って本当に臆病よねぇ?」



 そして、取材日。


 送ってもらったパワーストーンにあれこれ細工をして、幾つかの呪具を作成して、それとサンドイッチと飲み物を担いで私は居た。


 裏野ドリームランドの最寄り駅、正確に言えば、そこが無くなった後に出来たリニアの駅。


 万博の恩恵だわね。


 その最終電車で来た三人組、チエ先輩、トラ先輩に蒼真さんだ。


 チエ先輩は、七分のデニムに薄い長袖のチュニック、小さなディバック、スニーカーと動きやすさ優先だ。

 ケータイ以外はどれも真新しくアラサーが着るにも若すぎるそういうチープな服装小物。

 廃棄前提なんだろう。


 トラ先輩のは、デニムの上下と「侠気」と書かれたTシャツに一応カメラを持っている。

 足元がコンバットシューズな辺り本気だろう。

一応、ゴツいオラオラ系だがちゃんとしたお守りのブレスレットをつけてる。

 某都市狩人の海坊主っぽいけど、イメージ的に海坊主がソフトモヒカンにしたら割と近い。


 蒼真さんは、生成に薄く青を付けたスーツ上下に白Yシャツ、カンカン帽と言う長袖でも涼しげなそれだ。

 暑くても長袖なのは色々隠してんだろうね、私でも薄目で見れば、いつものお灸セットやらなんやらもってるのは解る。

 私よりよほどプロだからねぇ?

 少なくとも、チエ先輩とトラ先輩は生かせる自信があるから受けたんだろうし?

 ちなみに、フルネームは、夜桜蒼真よざくらあおま

 一応はただの鍼灸師の兄ちゃんだ。

 私の昔なじみである。


 ちなみに、私の場合、リュックに荷物とウェストポーチに財布とケータイだ。

 手と首には、呪具を幾つか、リュックとウェストポーチに分けて色々入ってる。

 服装は、Tシャツにネルシャツデニムに、一応、厚手靴下に、ゴツいし固定は出来るが、サンダルだ。

 さすがに、まだ暑い時期にスノートレックはないと思うのだ。

 逆にゆるゆるサンダルやミュールもない


「最悪遊園地跡地が過去形になります。」


 担いでるリュックの中のサンドイッチ―ちなみに高嶋屋のデパ地下グルメ―と焼き菓子は、最低限、糖分とか入れると割と冷静になるのと、腹減るから、準備できるときは準備する主義だ。


 呪具も多いが、報酬の資料と宿泊費、交通費とトントンまでは行かなくても、原料で半分トんでるぐらいだ。



 トラ先輩が知り合いから買ってくれなきゃ更に四割り増しだし、感謝してもしたりない。


 後、琥珀とカディとこのめは、某刀剣擬人化で言う真っ白驚き爺(個人的には別解釈だけど、一般的なイメージ)と同じく、「じんせい」楽しんでると思う。


 神生じんせいなのか、ジン生(精霊とかのジン)なのかは投げといて。

 加えて、普通に一応一般人とはさよならしてるが、人間卒業はして無いどころか、ズレても人間な私が契約してるの不思議な子達よ?


「さて、七不思議を先に整理してから入る?」


「危険だけど、定義した方がマシだもん」


「おっし、したら。」



 曰く、「子どもがよくいなくなるんだ、手をはなしてはいけないよ?」


 曰く、「ジェットコースターで事故があったんだ。どんなのかはしらないけど。」


 曰く、「アクアツアーでへんな生き物をみるんだって、だから、水面をのぞきこんじゃダメだよ?」


 曰く、「ミラーハウスでは、全部がかがみ写し、知ってるあの子が知らないあの子になっちゃう。」


 曰く、「ドリームキャッスルの地下室にはいってはだめだよ?ごうもんされちゃうもん。」


 曰く、「誰も乗ってないメリーゴーランド。綺麗かもしれないけど、こわいね。」


 曰く、「観覧車から声が「出して」って聞こえても相手にしちゃだめだよ。」



 チエ先輩が、そうやってまとめる。

 定義づけすることは、相手を固めさせることになるからしたくない。

 けど、した方が対処はしやすい。

 

 ……うん、蒼真さん、わかってる。

 視線だけで、抗議しないで欲しい。

 気配が、濃くなってるのは、言わないけど、言ったら強化することになるんだもの。

 認識されるってのは、こういう存在に無条件にパワーアップさせることになるのはわかってる。



「加賀見さんじゃないですか、どうしたんすか?」


 ドリームランドの方まで歩いていくと、別グループ、推定大学生ぐらいの男女グループにトラ先輩が声を掛けられた。

 特段、特筆するようなこともないまとめ役っぽいのが、声をかけてきたようだ。

 男四人、女三人で心霊スポットめぐりか、馬鹿馬鹿しい。


 ガリだのデブだの貧乳だの巨乳だのな肉体的特徴を抜けば、遊んでそうかうぇい系で済まされるグループ。

 うん、生きて帰れると良いなぁ、生きて帰りたいなー(棒読み)



「廃墟への侵入は犯罪なんだがな?」


「まぁまぁ、俺達も同じなんだしね、霧島先輩。」


 後ろから声をかけたのは、夏スーツジャケット無しの実年齢より年上に見えそうな無精ひげの男。

 刑事くさいかな、うん。

 まぁ、復讐心ねぇ、ヤバいかな。

 覚えがあるだけにわかりやすい。


 もう一人は若くトラ先輩より少し若いぐらいかも知れない。

 黒よりのナチュラルブラウンの髪のラフな服装。

 感だけど子持ちか。



「……まぁ、一応言っとく。

 人んちに土足で入るんだから、食われても知らん。」


「アンタ、その声、ネコ先輩か?」


「トラ先輩?」


「数ヶ月前も一回だな。

 ちなみにそれで三回目だった。」


「自業自得、悪因悪果。」


『だってねぇ?

 フツーにこれからがあるならあるはずの縁が七割方きれてるもんね。』


『自業自得だ、見誤ったな。』


『億が一生き残る方がキツいじゃろうな。』



 トラ先輩は、直接の同窓生的な先輩後輩の意味の知り合いは元より、居酒屋所在地でも割と知られてる有名人だ。

 ソフトモヒカンのオネエと言うだけでも割と目立つし。

 アメフトか、実戦空手でもやってそうなガッチリ系だしね。

 んで、それなりに心霊オカルトの相談ごとの依頼もあるようで自力の物理解決が無理ならば、私にお鉢が回る。

 その際の名前が、ネコ先輩なわけだ。

 ほぼ電話だけだし、私がネコ先輩だと知るのは少ないし、更にネコ先輩を知るのも少ない。

 百人居て二人知ってるかしらないかだ。

 覚えているのなんて、それこそ珍しい。

 月に一回あるかないかぐらいのそういう依頼だもん、もちろん、依頼人がかぶるのは珍しい。




 コイツは、三回そういう相談してる奴で、しかも同じ理由でだ。


 ちなみに、琥珀達の声を直接聞けるのは居ないようだ。

 聞こえてないのは幸いな雑談だけども。

 と言うか、縁が切れてる見えないって控えめに言って死んでないか?

 悪因悪果じゃないけど、普通に生きてりゃ両手に余る程度の縁が結ばれているらしいし。


 生きるとは、縁を結ぶ結ばれることだと思う。

 無人島で暮らしてても、両親親戚とそれまでの友人の縁ぐらいはあるらしいし、それが切れてるなら、先がないと言う意味あいだろう。

 それか、最初からそれなら、前世でどんな因業を積んだんだレベル。


 自分から そういう道に飛び込んだんだ、自業自得に悪因悪果だ。

 口にしないし、助けないけど。

 助けようとするなら、一種の等価代返。

 私の先まで危うくなる、そういう意味では、蒼真さんも同じく依頼があれば全力で助けるんだろうけどね。


「行こう、チエ先輩。

 始発が動くまでには、終わりたいし眠い。

 寝たらおしまい、だろうけど、というか、子どもかボス。」


 話を打ち切るように私は、チエ先輩を促す。

 一応、依頼人で決定権はある。


 少し離れて、入り口から見てバザールっぽい場所。

 お土産屋や縁日……射的や輪投げなんかの当て物やパチンコボールっぽい残骸があるから、そういう場所。

 そこで、刑事組に声を掛けられた。


「何か知ってるのか?」


「刑事さんさ、そういうお化けとか信じる?

 信じないなら帰って欲しい、子どもか奥さんが行方不明になってるのかもしれないけど。

 オバケとか信じないなら、無駄死にするから、帰って。」


 正直言うなら、この時、頭痛が酷かった。

 後々、聞いた話、薄い縁みたいなのが出来てたらしいラスボスのあの彼女と。


 それに、力は与えてしまうけど、信じてないのにその場に居られても、割と迷惑だ。

 琥珀が耳打ちしたとおりに、本来なら知らないはずのことも言ってしまう。

 この時は知らなかった、霧島さんとやらの娘が行方不明になっているのを。


 本気で睨まれた。

 蒼真さんが、色々と隠した上でそういう説明をする。

 ついでに自前の、かつ、一般人でも意味のあるお守りを幾つか渡したようだ。

 私からは、サンドイッチ一組と小さいペットボトル二本。

 レベルで言うなら、私の呪具レベルでも実弾銃、せいぜい、警官が持ってるようなハンドガンレベル。。

 お守りは本当にお守りで、多少強力ではあるけど、一般販売レベルのボウガン程度だ。

 相手を怯ませるのが精一杯のそれ。


 後、どうにも、この時、ざわざわと言うか、ふわふわと言うか、そんな具合に胸が細波みたいに落ち着かなかった。


 いやな言葉だけど、私がもう少し、漫画みたいに力が使えるなら何とかなったのかな?





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