09話そしてボス前へ
分岐に行き止まり、小部屋、大部屋、しょぼい罠
穴が掘ってあったり盛り土があったりするだけ…ワナ?
こけた奴を襲いたいのか近くの小部屋に魔物が隠れているのだ、
どこにも扉はない。
これは危険だ。いきなりボスとご対面させられるかもしれない。
様子は変らず洞穴調で真っ暗。
広がったり狭まったり上ったり降りたりする通路。
何階とかそういうのはなく、
うねりながら地下へと進んでいるようだ。
マップを埋めながら進むと、ついにゴブリン以外の魔物、
コボルトが現れた。好きな脳内BGMを鳴らそう。
2足歩行する犬である。だが手足はより進化しており
モノを持つことが出来るようになっている。
しかし、何ももっておらず何も着ていない。
鋭い爪と牙で襲い掛かってくるのみだった。
突進速度がゴブリンよりはるかに速く、
逃げ切ることは難しそうなうえに、群れていて
鼻が良いのか曲がり角の先からでも
こちらに向かって走り出してくる。
できるだけ気づかれたことに早く気づき、
射線をとって弾丸で間引かなければ非常に危険だろう。
戦闘のたびに弾丸補給MP回復のための休憩を採りながら、
コボルトの魔石を調べる。
やはりゴブリンよりも質がいいようだ。
射程は3ほどセンチ長く、2割ほど多く書き込める。
大きさも形もさほど変らないが
色は少し違うようだ緑ではなく赤系だった。
さっそく新しい魔石を得た時用の指輪へはめ込み装備する。
できればMPが増えて欲しい。
が、ここでは検証できない。
魔法は問題なく発動することを確認して先へ進む。
それからコボルトの次はオーク、オークの次はホブゴブリン、
そして最後はオーガだった。
あ、見た目で俺が勝手に名づけてるだけで、
豚○ンバラかもしれない。
ホブゴブはゴブが小学生なら中学生になった感じ。
全裸は変らないし武器も同じ。
オーガは足が短く肩幅が広い、腕が太くて長い、
アゴがでかく牙が出てる。
当然角があるが額の一本角であった。
前傾姿勢でもホブゴブより背が高い。
見ただけでも筋肉質で幅があり、威圧感がある。でもやっぱり全裸。肌は暗い青系。
みんなブラブラぶら下げている。しかも俺よりデカイ。
心に敗北感が満ちる。
しかし、どいつも弾丸一発でほぼ戦闘不能だった。
少しオークはしぶとい。腹にぶちこんでも、武器を振り回したり
噛み付こうとしてくる。
オークの武器はバットより太いコンボウだ
歩みはおぼつかなくなるので、
しっかり距離をとって槍で止めを刺した。
ホブゴブはオークより後から出てきたが、
対処はゴブリンと特に変らない
動きも早くなっているがコボルトよりは遅い。
投石が少し厄介なくらいか。
オーガはさらにしぶとい。弾が筋肉で止められているようだ。
頭に撃っても死なない。相当の石頭らしい。
それでも腿の付け根や間接を狙えば動きはおろそかになる。
群れに一匹いるか居ないかだったので、
初撃をオーガの足破壊に使って対処した。
せっかくなのでオーガの角は回収した。
なんかに使えるかもしれない。。
あ、オーガ肉とオーガニックって似てるよね。食べないけど。
魔物以外では獣も出た、熊やら犬?やら猪だ。
獣は総じて足が速い。声がでかい。だがしっかり弾丸をぶちこんだ。
小部屋に引き込み、土を集めて入り口を塞ぐ。空気穴は作る。
血抜きして皮を剥ぎ、肉を食ってみたが、肉は筋張って硬く
味も初めて食べたジンギスカンのように、うぇっとっきた。
だが久しぶりの獣肉は食欲を刺激した。もっと旨いものが食いたい。
匂いに釣られて魔物が土壁を破って
乗り込んできたときは死ぬかと思ったが
肉を放り込んでやるとそれに群がり取り合いをはじめた。
愚かな奴らだ。
あらそえ、もっとあらそえ。と思いながら射殺した。
で、重要なのは魔石である。
オーガの魔石の射程が最高で、射程60センチを記録した。
肌と同じで青系の色で大きさがちょっと大きい。
歪なのは変らないが、大きいということが分かるくらいは大きい。
書き込める量も4倍ほど増だった。
あれだ射程の増加率の2乗の書き込み量だ。
じゃあMPはどうなんだろうか?
書き込みチェッカーは用意していたが、
MPは使い切るわけにはいかないので試せない。
指輪の魔石をオーガのものに変えておくに止めた。
そんなこんなで再奥に辿りついたっぽい
ここまで八日かかっている。気が緩んでいたとしか言いようがない。
ぎりぎりクリアリングの癖が踏襲できたのが幸いだった。
あるゆるい曲がり角の先、広まった道が奥へ続き、
さらに広い空間があるようだった。
そこに大きな目が2つ爛々と、光って見えた。
全身が総毛立ち即座に踵を返して逃げ出す。
巨大な体、長い尾、折りたたまれた翼膜、
長い首、巨大なアギト、立派な角
間違いない、ドラゴンだ
4足で翼付き、ワイバーンとかドレイクとかヒドラじゃないやつだ
でもドラゴンの角って作品によってマチマチだよね?
幸いなことに追ってくるような足音も聞こえない。
そういえば近づくにつれ魔物が全然出てこなくなっていた。
よし助かった、まだ生きていられる。
こういうとき振り向くと食われる寸前だったりするのが鉄板だが、
生憎全天視界で後ろも確認済みだ。
へとへとになるまで走った後、だが、止まるわけにも行かない。
ここから脱出しなければならない。危険すぎる。
相手はこちらに気づいていたが、見逃されたようだ。
圧倒的な力の差を感じた。
ある日突然チャリのブレーキが利かなくなっていて、
軽トラに突っ込みかけた時よりも圧迫感があった。
アイツがブレーキに細工したらしかったが証拠はない。
眠い。MP回復で休むたびに寝落ちしそうになっていた。
怒りでなんとか意識を保つ。
そんなことを考えつつまっすぐダンジョンから脱出した。
ぼんやりしながら拠点に戻る。
なにはなくとも温泉に浸かる。
とたんに不満が込み上げて来た。
つーか、オーガからいきなりドラゴンとかバランス悪すぎだろ
くそGMかよwwwww草しか生えない。
しかも、宝とか一個もない。
あんだけ小部屋や行き止まりがあるのにだ。
あのドラゴンが掘ったとすれば相当の糞ドラゴンだ。
しかも魔物の武器は全部コンボウ。
まあ、あの魔物どもに武器を作る頭があるとは思えなかったが。
皮剥いで腰巻にすらしてなかったからな。
残念だったのは魔物の出現する瞬間が見られなかったこととか
この世界の情報が一つも得られなかったことか。
やばいのはドラゴンがダンジョンから出てきたら
森から脱出することも難しいのではないかというところか。
せっかく生活が安定していたけれど、
やはり森脱出プランを練らなければならないらしい。
とにかく寝よう、起きてから考えよう。