48話消滅のスラム
石造りのダンジョン建屋から出る。
すると辺りはずいぶん変わっていた。
いくつかの建物が建て直されており
遠くに見えていたはずのスラムが見えない。
ていうか更地になってる。
スラム農地化計画が進行したようだ。
代わりにダンジョン周辺のインフラが整備されたってわけだな。
そのわりにアレ以来、十層で冒険者に遭うことは無かったのは
このダンジョンに探索とか踏破とか意味が無いから。
ドロップもお宝もない。
入り口付近で狩して帰るのが普通。俺は異常。
ちなみに4層までしか踏破証明は存在しない。
まだ明るい時間だ。
マップを更新しつつ通りをぶらつく。
小屋をまた建てるわけにはもう行かないだろうから、
宿も探さないといけない。
宿に泊まるには先立つものが要る。
剣と盾の看板。冒険者ギルドについた。石の新築3階建てだ。
技術的に不可能ではないか?と思うが、おそらく領主の魔法だ。
ダンジョンコアの魔力利用というやつだろう。
固める魔法は存在するということだ。回転の効果はどうだろうか?
ギルドに入ると冒険者は少ない。この時間帯はこうだ。
見知らぬ受付嬢がいる。配置換えか?
ん?町の中じゃないのに受付嬢がいるのか?
ずいぶんと対応が良くなったもんだ。
さて、受付嬢に話しかけねばならない。なんと言えばいいのか?
またこれですかwww
買取と冒険者証の確認だけど、
数を絞らないとランクが上がってしまう。
よしっ!方針は決まった。気合を入れてカウンターへ向かう。
「ふうぅうー、フぅー、か、買取、うぉ、ぉねがいすたいのだが」
やべぇーーーっ!!!
人に会わなさ過ぎて超テンパリの上に、言葉も忘れてるぅっ!?
ちょ、まってやばい、やばいってこれ。
明らかにオカシイ人だって。
深呼吸して一通りの発音の練習をし、辞書を引っ張り出す。
平静を取り戻すためにしばらく時間がかかった。
受付嬢が何か言ったかもしれないが、聞こえなかった。
難聴!主人公必須のスキルである難聴スキルがついに俺にも!!
受付嬢を見ると「え、何?この人。」って言う顔している。
好印象ではないがまだ慌てるような時間ではない。
「ん゛っうん!すまない、買取をお願いしたいのだが?」
よしっこれでいい。
「十層の蛇皮と魔石、九層のスライム液と魔石だ。」
冒険者証と一緒に提出する。
「はい、お預かりします。しばらくお待ちください。」
番号札を受け取り、席に座って待ち
その間に言葉の復習を再度行なう。
受付嬢が立ち上がり、奥の書類を探し始めた。
「あら?書類が無いわ?」と聞こえた。
そういえばどれだけ日数が経ったのか?
UI魔法で時間をカウントはしているが、
いつダンジョンに入ったかなんてメモしていない。
なんとなく数字が増えたとしか認識できない。
ただちょっといつもより沢山増えてる気がする。
解体所の男によってブツの確認が終わり、番号を呼ばれた。
「お待たせしました。申し訳ありませんが
冒険者証登録状態が休止中となっておりますので、
まずは復旧手続きからお願いします。」
そして出てきたのは登録用紙だ。備考欄にいくつか追記がある。
記入、拇印、合言葉と処理を済ませ、冒険者証を受け取る。
「登録復帰おめでとうございます。
お怪我でもなさってらしたんですか?」
不意打ちのちょっとしたトークが飛んできた。
かひゅっっと息が詰まる。
「え、あっいや、く、訓練にしゅty「こちら買取の代金となります、
お受け取りください。」」
さっとトレーに乗った銀貨が差し出される。
「あっ、はい。」
銀貨を受け取って冒険者ギルドを出た。
ちくしょう、なんだこれ?興味もねーのに振るんじゃねえよ。
アレか?面倒な処理させた腹いせか?
スーパーとかで商品券出すたびに
使えるかどうかファイル広げて確認する奴。
処理が送れて申し訳ねえと思うが、
店員の面倒な気持ちが伝わってくるとじゃあ商品券とか作るなよと
いいたくなるアレ。加盟してんじゃねえよ!
歩きながらステータスをチェックする。
これどうしよう?体が作り変わってしまったせいで息してない。
体重と身長とバランスくらいか。
こういうチェック受けて人間じゃないとか言われたら
どうすればいいんだろうか?
さっきからなんだか良い匂いがしている。スープの香りだ。
そしてこれは酒場の主の飯の匂いだ。
酒場は移築だ。だが結構な部分が改修され、小奇麗になっている。
建築技法がよくわからない。移築って結構高度なんじゃないの?
家をパーツ分けして建てるっていつからあるんだ?
リフォームだっていって殆どぶっこわして
建て替えみたいなことさせてふんだくる
建築業者はまさに鬼だ。そのうえ手抜き工事。
そんなやつらはマジで人でなしだ。信用できない。
カウンターに座ると主が出てきた。
「おう、久しぶりだな仮面の。飯か、酒か?」
「両方で。」
飯と酒がすぐに出てくる。
あの糞まずい安酒ではないようだ。
「もうスラムじゃねえからな。少し値上だ。」
小皿が一品増えている。
料理は既に完成しているのだから、
品数、材料、酒くらいしか変わらないのだろう。
「無茶をしてスライムに食われたんじゃないかと思っていた。」
スライムは楽勝だったが、切っても叩いても突いても
核を捉えられなければ全く効かないといって良い難敵だ。
空○斬とかが無いと倒せないタイプだ。
万全のスライムならばそれなりの反撃もあるのかもしれない。
「心配をかけてしまったか?」
「スライムのことを話しておきながら
死なれたら寝覚めが悪いだろう。」
って、魔物情報買うの忘れた。




