04話1ヶ月後
そこからはあれだ、ほれ、
「サバイバル 異世界」とかなろうで検索してみろ
ノーチートなマッチョどもがテンプレに怒りをぶちまけたような
人に遭遇したら終了みたいな短編がいっぱい引っかかるから
それを読め。
寝床は地面の上ではなく吊ったり、高床式に作るとかな。
体に虫除けになる草の汁を塗りたくるとか。
虫対策がとにかく大事だ。
釣り、火起こし、土器、弓、ボーラ、スリング、罠、秘密基地など
など何でも手作りで
ガキのころに山と川で遊んでいた俺には当たり前だった
10年以上ほとんど家から出ていなかったのに、
まるでガキのころに帰ったような気持ちで
作り、試し、はしゃいだ。
何の役にも立たないと言われた知識や経験が俺を生かす。
心底自由で開放的だ。
孤独は苦にならないどころか部屋の中より感じない
未来の不安も、閉塞感に首が締め付けられるような
社会の奴隷になる以外に打開策もなかった
あの世界よりよほど小さい
どこもかしこも他人のモノで、
見ることも触ることも話しかけることすら禁じられ、
聴いたことも無いルールで罰せられることに
怯えて過ごすことも無い
ここでは、自分で何をしてもいいのだ。
女の子が落ちてたらエロいことをしてもいいのだ!
イイハズダ!!イイトオモウ!!!
イインダ…ヨネ?え、ダメ?
嘘だ!あんたは女が怖くなったんで嘘をついてるんだ!
石器を駆使して草を払い、蔦を駆使して寝床を作り、
森を探索し、川で魚を取り
ゴブリンを倒した。
そう、この森にはなぜか獣が殆ど居らず、鳥と小動物と
稀にゴブリンしか居なかった。
群れがあるわけでもなく、少数が極稀に。
謎過ぎるが考えても仕方がないし、好都合だ。
やつらは逃げる俺を笑いながら追いかけてくる
罠を設置し誘い込んではゴブリンを殺した。
ゴブリンをぶっ殺すのはたのしい。
カツアゲしようとニヤニヤしながら近づいてくる奴を
罠に嵌めるよりたのしい。
奴らのゲキャゲキャという嘲笑が怨嗟にかわる。
しかし、ここは異世界だ。モット鳴け、喚け。
うずくまるゴブリンを執拗に殴りつけると
怨嗟は悲鳴に変わり、悲鳴は泣き言と命乞いになり、
そして小さな断末魔を上げて静かになるのだ
実際は何言ってるのかまったくわからんので妄想だが、
毎夜夢に出るあいつらの顔で鬱屈した俺の心が
スカッとする。
鳥やら魚やらを焼いて食いつつ、
ある程度の問題が解決したと思った時
ダンジョン(仮)のことを思い出した。
生活の日課に加えてダンジョン(仮)の観察を行うことにした。
当然入らない。
じっと観察すること数日。
ついでにダンジョン(仮)前には見つけたキノコを設置する。
するとある日、ゴブリンが2匹倒れていた。
息があったので止めを刺した
足跡はダンジョン(仮)から出てきたことを示しており、
入っていった形跡は無い。
ゴブリンはダンジョン(仮)から出てきていたのだ!
そしてキノコは毒キノコだった。
ゴブリンは何も考えずにそれを食うほどアホだった。
謎が3つ解けた。
さらに日が沈んでからの時間は焚き火を前にしての工作に加えて
魔石の研究をしていたわけで…。
うん、そうなんだ。魔法(仮)が使えちゃったんだ。割と簡単に。
原始人から魔法使いにクラスチェーンジッ、
ここから始まる栄光のロード。
まじでブレイクスルーといってもよい魔法はイメージ式だった。
自由度が違う。
火起こし一つとっても、摩擦、電気、温度操作、化学反応と
アプローチは色々出来、直接火そのものを出しちゃうことも出来た
魔石を握り、結果を強くイメージする。それだけで火がついた
魔石が体に接触していないと機能しないようだった
過程や理屈をイメージに加えることで点火の仕方も変わるようだ。
シュボッとかバチッとか音が違う
テンプレではオタだから漫画やアニメでイメージが上手い
云々いうのがよくあるが、一言言いたい。
そんなことでイメージは上手くならない。
オタはイメージが上手いというより発想の引き出しが多い
といったほうが正しい
小説を書いてて、情景やキャラがイメージできている。
と言う人は多いが
なら描いて見せてくれ。というと描ける人は少ない。
挿絵は絵師に頼むものだ。
しかし、イメージできているならば描けるに決まっているのだ。
イメージをなぞるだけで良い。
線の綺麗さだとか色彩だとかデザインは技術と蓄積だが
なぞるだけなら殆ど技術はいらないし、
なぞれば少なくとも形はしっかり描ける。
ようするに描けない奴のイメージは
形も色も立ち位置すらあやふやなのだ
下手でもいいから描いてみるといい。
部位ごとに大きさも向きもまちまちで
よく分からないところほど線が増えたり減ったりモヤッとする
これはイメージが継ぎ接ぎだからだ。
興味のある部分は明確で大きく、
そうでない部分は小さくぼんやりと記憶される
それらを、いざ全体の枠に収めようとすると、
嵌らずガタガタになってしまうのだ
目だけ描ける、とかならよくあるわけである。
俺は下手の横好き程度に絵が描けた
美術系の学科を受験したこともある。
落ちたけどな!オタになって、よくもまあノートに何十冊も
へった糞な絵描きまくったもんだと思うよ。
こじらせて美術予備校にデッサンしに通って
調子こいた思い出がよぎる
簡単に言うと某同人ゲームなどを見ればわかるように、
絵はうまさだけが力ではないということだ。
うまいにこしたことはないが。