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26話受付嬢と資料室

カウンター越しに受付嬢と向かい合う。変な汗がヤバイ。

無駄なことばっか考えていて第一声が思いつかなかった。

「…。」

「ご用件は?」

「資料室を閲覧できると聞いたので、ぜひ閲覧したいのだが。」


この場合語尾をどうすればいいんだぁーーー!!!

~たいのですが、お願いさせてもらってもよろしいでしょうか?

では丁寧すぎる気がする。

前半だけのデスマス調でもまだ丁寧すぎる。

しかし、これでは上から目線過ぎる気がする。

たしかに身長的に上から胸元をガン見している

うっひょー挟まりたーい!!!


いかん、おちつけ、どうせまともな言葉遣いなど出来ないのだ。

ぶっきらぼうな感じでいくしかない。


「それでは冒険者証の提示と、ID、閲覧予定時間の

記入をお願いします。」


スッと木札が差し出される。


予定時間っ…だとおぉぉーーー?!

考えてもいなかった。満足するまで読みふけろうと思っていた。


もたもたと冒険者証を取り出し、IDを記入しながら考える。

どうすればいい?!3時間?6時間?

漫喫ではいつも一番安い部屋で最大時間で泊まり込みだった。

それですらあっという間に朝になる。

ジュースで腹はガボガボになる。

メロンソーダが大好きだ。

そもそもここの時間の概念はおおざっぱだ。


時間の所でピタリと手が止まる。

空白だらけの履歴書が脳裏を掠める。

う、うわぁあああーーーー!もうだめだ!!!


「なんじゃ?時間のことは教えたじゃろうに、

もう忘れよったのか?」

手元を覗き込んだトロソが若干失望気味に問いかけてきた。

トロソさんナイスパス!

一気に疑問と要望をまくしたてるチャンスだ!!


「いえ、そうではありません。資料室の規模がわからないので、

どれほど時間がかかるのかわからないのです。

知らねばならないことはまだまだ多すぎます。

閲覧時間は最大でどのくらいなのでしょうか?」

どんどんトロソに対して丁寧になる。


異世界の基準を知り、隠すべきことを隠し、ソコソコ評価を得て、

でもチャッカリと現代知識でおいしい思いをしたい。

安心するためには謎に対する解答が必要なのだ。


言い訳がましくなると「なのだ」が増える。

また気持ち悪い癖に気づいた。


「別段、制限など無い。終了時に報告でよい。」


さらさらと書き込み無事受付を終了し

番号札を貰って資料室へ移動した。


そこには巻いた紙束や、重ねられた木札ではなく、

しっかりハードカバーで綴じられた立派な本が棚に納められていた。

決して多くはない。

だが、この世界ではかなりすごいのではないだろうか?


「大事な本じゃからの。

破損せんようにしっかりと綴じてあるのじゃよ。」


ぺージを捲くっている音と、書き写す音が聞こえてくる。

いわゆる図書館の空気だ。


ここでうわぁ~居心地がいいと思えるあなた!正常です。


このような場所は受験勉強にいそしむオレ、ここにいて当然。

閉館までバリバリ勉強するぞ!という意識高い系や、

三つ編みお下げを解いてウエーブな髪を

くんかくんかしたくなるような、

本が大好きな文学少女が生息する聖域です。

漫画とラノベと全裸のポーズ集とかしか見ない俺は弾かれるのです。

あの併設されている学習室の入りづらさは異常。


適当に手にとって慎重に開く。少し、は読めるようだが、

英語の本を開いたときと同じ、ほとんど記号の羅列にしか見えない。

本を閉じて戻す。


「代読は受付で申請し、予定を合わせてくるんじゃよ。

で、何が知りたいんじゃ?」

「…ダンジョンで玉のついた杖を見ました。

あれがなんなのか知りたいです。」

「魔法じゃな。なら、始めはこの本じゃの。」


そういって比較的薄い本を渡された。


「どんな本があるのかは、あそこに表が掲示されとる。

筆記用具は…持っとったの。しかし、本当に読めるのかの?

辞書はそこの台の奴じゃぞ。高いから一冊しかない。

順番に使うんじゃ。」


それから持ち出しは禁止だとかのこまごまとした説明を受る。


「まあ、こんなところじゃな。

どうしてもわからんことがあるならわしに聞きに来るがいい。

居場所はマールクにでも尋ねるが良い。」


トロソは去っていった。

最小限で要点を抑えるところがトロソらしい。

できれば代読までお願いしたかったがそうも行かないようだ。


手渡された本は他よりもかなり薄い。薄い本よりはさすがに厚いが。

タイトルは「冒険者の書。」


あぶねぇっ!ちょっとした弾みで消えてしまいかねない。

感覚がいまだバッテリーバックアップなのだ。

電池交換もお手の物である。


ファミ⊃ンの故障といえば、

映像出力端子の半田が溶けて浮いてしまう所だったが、

雑魚はコ□コ□を乗せて無理やり接触させていた。

しかし小学生にして半田付けをマスターした俺の敵ではない。

GBも適当なACアダプタの端子を付け替えて遊んでいた。


とにかく席について読んでみることにした。


トロソ爺さんはオレが何を知りたいかにかかわらず、

この本を読ませるつもりだったに違いない。

おれが答える前からこの本を持っていたからだ。

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