24話町と冒険者ギルド
南門側は下層街とはいえ、それでも門前の大通りだ。
馬車がすれ違うほどの大通りを多くの人が行き来し、
様々な店が立ならぶ。数階建ての石造りだ。
圧倒的ファンタジー風景である。
オブジェクトの引っ掛かりを利用して、
どんどん高いところへ登りたくなる。
シティクライミングは3DMMOでは定番の町遊びで、
町の全景をあますところなく楽しむ大事な要素だった。
ばかあほあそびじゃねーんだ!!とか記憶に新しい。
噴水のぼりとかよくやったな
思わず町に見とれてしまった。
スラムでいろいろ慣れてしまったので、
いろいろスルーしつつ散策する。
匂いとか馬糞とか路地裏で転がってる奴とか転がしてる奴だ。
なによりもすばらしいのは女性が存在することだ。
ホモではないということが、
これほどの安心感をもたらしてくれるとは。
いや、同性愛者を嫌悪しているとか、攻撃したいとかじゃあない。
強引にケツを掘られたくないだけだ。
彼らは彼らで、楽しみを満喫していてくれれば何も問題ない。
潜在的なものを発掘したり、勧誘したりするのもまあ否定しない。
ただ、恐ろしいことは恐ろしいので自重は大事だということだ。
門で聞いた道を進みながらマッピングしていく。
見たものや、注釈を加えながらすすむ。
屋台で串焼きを買い食いする。塩味で大してうまくは無い。
だがこういうのは雰囲気が大事だ。
国分寺の小さな祭りとかで買った肉はひどかった。
炭火焼なのはいいけど、はじけた炭カスが
ベタベタにまとわりついていて、
ほんとに食っても大丈夫なのかこれ?と不安になったものだ。
オイルとかの点火剤が使われてたら結構やばそう。
たどり着いたのは町のギルドだ。
石造りでデカイ砦のようだ。
大きな出入り口が全開になっており、物騒な連中が出入りしている。
ヒョロヒョロした奴が生意気なもん装備しやがって!
とかテンプレが来るか?期待が高まる。
だがチラリと視線は感じるが特に何も無かった。
あ、この世界の冒険者ギルドは酒場とは併設されていない。
酔っ払いが居ても仕事にならないに決まっているからだ。
基本的に、受付、待合所、掲示板で構成されていて
訓練所、資料室、会議室、などがある。地下室もあるみたいだ。
そして受付嬢がいる。
そして受付嬢がいる。
大事な(略)。
そのピシっとした佇まい、作られた笑顔、事務的な冷たい対応。
それらがリアルな女性像を極限まで薄め、且つ、
女性としての武器の使用を求められるこの戦場で美の輝きを放つ。
それらが鋭利なメガネレンズを通して収束し男達を焦がすのだ。
この世界にはメガネは存在しないようだが。
ここが銀行なら仮面をつけた俺は銀行強盗だろう。
実際銀行のような機能はある、有料で通帳も作った。
だが、周囲を見れば武装した荒くれが待合所でだべっている。
まったく問題ない。
ごくりとつばを飲み込み、受付嬢に話しかけるぞっと気合を入れる
てんぱって変な顔になっているであろうが、
仮面のおかげでセーフだ。
ここでなんて声をかけるのか悩むのが引きこもりだ。
今の俺はちょっといかつい毛皮部分鎧の仮面男だ。
それが「ちょっといいですか?」とか「あの、すいませんが」とか
いえるわけが無い。かといって「こんにちはお嬢さん」
とか死んでも無理だ。死んだけどやっぱり無理だ。
だからといって現代みたいに向こうから色々言ってくれるのを
期待するのか?ニコニコしながら用件を言うのを待たれたら
どうすればいい?
俺は混乱しながら壁の依頼表を眺めた。
まずは見。敵を知ることが肝要。
「視界拡張」で背後も見える俺に隙は無かった。
んんん、乳でけぇな。さすが受付嬢。しかもブラが存在しない。
いや、下着で彩られた女性も素敵だと思うんだけどね。
こういう盗み見ることに興奮を覚えるのは窃視症というらしいぞ。
だが、入れて出すだけのモテ男ってほんとに存在すんのか?
度が過ぎないように注意しよう。
光をいじって透視しようとしたのだが
生地の目は粗いかもしれないがブ厚いのだろう。
機械織りとは比べられない。
X線まで使えばいけるだろうけどそこまでするのはしのびない。
ほら、放射線被爆量とかあるしね?
このために俺は二十年以上前の光の物理を必死で思い出したのだ。
思い出せなくて何度ものたうちまわった。
森では奇声を上げてのた打ち回っても誰もとがめない、自由だった。
ドラゴンさえ居なければ森に帰りたい。ちくしょう。




