18話ダンジョントライⅢ
大分情報が集まってきたが
まだ魔法についての知識がまったく集まってこない。
魔法という言葉すらなかなか聴けないのだ。
グダグダおっさんが焚き木に火をつけるのを見かけた時に
聞き込んでみたのだが
いつにもまして意味不明な質問だったらしく、
「こんなのは普通だ!
おまえはどうやって焚き木に火をつけるってーんだ?」
と追い返されてしまった。
どうやら魔法なしで火が起こせないらしい。
水も貴重品で、町から買う、水を出すのが上手い奴から買う、
自分でなんとか出す。といった具合で、
ドブ川の水をどうにかするという考えは殆ど無い。
飲み水は出すもののようだ。
そういえば井戸が無い。
ドブ川の傍で井戸を掘って大丈夫なのか俺に知識は無い。
井戸は濾過であり、水に溶けたものまで除去できないかもしれない。
尿を濾過して飲むとか聞いたことがあるが、
アンモニア臭とか消えるんだろうか?
水質に合わせた薬剤も要る気がする。
アレか貴族が魔法を独占しちゃってたりするのか?
でも街道の盗賊は護衛の胸を抉っていた。
人間の魔石の用途はなんなんだろうか?
謎が深まったが、しばらくの聞き込みで結構散財したので
そろそろまたダンジョンに潜らなければならない。
弾丸の通用する範囲で
出来るだけ良い魔石を手に入れなければならない。
5-8弾ならオーガでも殺れるはずだが、さらに10ミリ-8グラム、
虎の子として10ミリ-16グラム弾を数発用意しておいた。
二層のゴブリンは極まれに錆びたナイフなどを所持していたため、
それを素材に弾切れ対策の道具を作った。
足首に設置し、歩いているうちに弾丸を生成して
溜め込む金属ケースだ。
カチャカチャいわないように作ってある
MPの回復力の範囲内で作るためゆっくりだが無駄を省ける。
「集水」とバッティングするため、切り替えも自動化した。
あ、MP回復速度についてはよくわかっていない。
満タンが確認しづらいためだ。
ガス欠まで使ってから一定時間ごとに同じ魔法を連発して
またガス欠まで回数を測る。
テンプレではMP切れまで魔法を使えばMPが増えるものだが、
気絶しないしなんかちがう。
全身まんべんなく魔石をつけたら、何倍か速くなったが、
それ以上あまり伸びなかった。
密集してつけたらほとんど全然変わらない。
魔力圏が被ると回復速度には加算が無くなるような感じだ。
最終的には複数個装備は意味がだんだん無くなりそうだが、。
さらに問題はガス欠まで使うと回復が遅くなることだ。
十分回復してから想定した魔法0.5回分の回復時間、
休みを入れて魔法を使うと全然ガス欠しない。
何度も計測して現在の戦闘装備で
ガス欠しなければ約8倍速いと結論。
いろいろあやふやだがガス欠から満タンまで約70分で、
通常は9分、つまり毎秒0.19%回復。
で、凡そ30秒で弾が一発作れる感じ。になった。
魔法の作り置きをする、
というのは擬似的にMPを貯めて置けているということに近い。
現代人の知識の中でもっとも自由に扱えて、
貯めておけるエネルギーである電気を魔法で作り、
電池を作って貯めておけば良さそうだが、
車用バッテリーですら容量的に足りない気がする。
リチウム電池となるともうお手上げなので、要研究。
というわけで、ダンジョンに突入した。
二層をスキップして三層へ入ると。休んでいる冒険者が結構いる。
中にはコボルトの皮を剥いでる奴もいる。
だが、嵩張るし品質は低いし供給過多で二束三文だったはずだ。
三層からはコボルトが出てくる。
魔物を混ぜると難易度が上がるが、同士討ちも起こるため、
数を減らすのに丁度良い、しかし、その分魔物が強くなるため、
出来るだけ分けてあるらしい。へーそうなんだー。
あ、これ森ダンジョンで出てきた奴だ!
という予習済み感でほいほい進む。
コボルトはソロで油断すると結構やられそうなので
パーティがグっと多くなる
ちなみに三層も二層と大体同じ間取りなので、
通行料分の魔石を集めて四層へ進んだ。
四層はオークである。オークは基本的に雄だ。
オーク肉は豚肉っぽいのは確かだが臭いし硬い。
魔力で美味いとかいうテンプレは無い。
雌オークが居れば話は別だが見たことは無い。
見たくもない。
下層に行くほど階段周辺が広く回りやすくなり、
踏破のための最短経路は短くなる。
五層はホブゴブリンだ。以下略と言いたいが、
錆びた武器や弓、皮装備などが増えていて
急に厄介になっている。
かなりの率でコボルト皮を身につけている。
踏破しようとすると罠が多いらしい。
五層から通行料は自動式になり、
一回払えば一定時間開くようになり、
便乗すれば割り勘である。
六層でオーガが出てきた。この順番はお約束なんだろうか?
なにか理由があるのかもしれない。
森ダンジョンでは5-4弾ではじかれたヘッドショットを、
5-8弾で試すと刺さった上、
残った部分が砕けて頭部を叩いたようだが一撃で倒せた。
重さ*速さ*硬さ=威力、これが現代知識魔法だ!!
某ヤクザか肉の戦闘機械の理論である。
刺さりきる前に砕けたのはあまりよろしくない。長すぎる弊害だ。
それ以外の攻撃手段は毒と熱しか知らん。
あ、窒息とかもあるか。
七層はジャイアントアントだった。
硬い甲殻と強靭なアゴ、安定した素早い動きと群れる習性、
その上酸を飛ばしてくる。
素材は良いが装備が壊されやすいため不人気だ。
だがオーガの頭よりは薄いようで、5-8弾がさくさく刺さる。
オーガどんだけ石頭なのか。
オーガヘッドハンマーとか鈍器に使えそう。
スパイク(角)も付いてることだし。
ただ、生首とるのはまだいいとして
どうやって脳味噌掻き出すかとか
見た目の問題とかいろいろあるよな。
魔石はオーガよりちょっと良いようだ
射程が3センチほど伸びている
臨時用の指輪に嵌めて身に着ける。