10話引きこもり町へ旅立つ
あれから1週間。行きたくねぇー、マジ行きたくねぇーよぉー、
町とか怖いし、言葉とかどうせ通じねえし、
絶対門番に不審だからと捕らえられて奴隷落ちするわー
あれ?それって現実と同じじゃね?
とぐだぐだしながら準備した。
まずオーガの魔石を魔力圏確保のために
体の要所に見えないように設置する。
オーガの魔石の性能は圧倒的だった。
ゴブリン魔石を100としたMPチェッカーを作ったところ、
なんと八倍。
じゃあゴブの8倍強いのか?といわれるとどうなんだろうか?
たしかにゴブがコンボウでいくら殴っても効かなさそうだし
一撃でゴブリンの頭を叩き潰しそうな筋肉だったし
ゴブリン掴んで片手でブン投げてもきた。当たらなかったが。
そう考えるとそのくらい強いのかもしれない。
今度は射程の増加率の3乗だ。
球の表面積と体積だな射程も放射状だし。
つまり射程内にあるマナ(魔素)?の量がMPってことか?
圧縮してどこかに貯めておければ
最大MPを上げられるかもしれない?
圧縮状態を維持するコストと自然回復量がつりあえば可能か?
物は原子だとか理屈がつけられるが
マナとか何なのかさっぱりだから難しいかもしれない。
やってみると即ガス欠。UI表示消えた。
ただ、MPは比較する魔法によってバラつきが出たので謎が深まった。
魔石によって得意不得意とか有るのかもしかして。
まあ属性があるのがテンプレではある。
とにかく余裕ができたっぽいので
弾丸のサイズに5ミリ8グラム弾を加えた。
ここまでくるとバレットではなくボルトだと思う。
5-8弾と名づけよう
言葉対策として木札にいろいろ記号や絵を描いたものを用意した
それとロウはないので木枠に粘土を詰めた書字板も用意した。
使わないときは霧を吹いてから蓋をすれば固まることもないだろう。
運搬用に組み立て式の荷車も作った
森の中では使えないが道が見つかれば移動が楽になるかもしれない。
あと左手装備に鉄枠と木で作った小盾も加えた
後は何だ?何がいる?そうだ仮面だ
素顔を知られないための対策が要る。
人種の予想がつかないし、真にリアルなものを作れるわけでもない。
自分の顔の型を取り、表示魔法の上で弄繰り回してみる。
あ、表示魔法のコストを下げる方法はいくつかわかっている。
ペラペラにしたり、テンプレート(本来の意味で)
で近い形の複合で代用する。マッピングの記録はこれで行っている
出来たお面を元に粘土を変形させて出力し硬化させる。
縮む率とかも込み込みで調節する。目の色と肌の色を変えて完成である。
その上に普通に木を削って作った素朴な仮面をつけ
熊皮でつくった上着のフードを目深にかぶる。
まず、普通、仮面を取ったらまた仮面とは思わない。
その上明るい場所でフードの陰のなかの
リアルな仮面を判別するのは難しいはずだ。
良く見ればばればれだろうが短時間なら誤魔化せるかもしれない。
あ、あとジェスチャーの練習もした。
準備はこんなもんだろうか?
土器は割れそうだけど気に入った奴をいくつか持った
温泉が名残惜しいが行くしかない。
蛇に起こされるような生活とおさらば出来るといいな。
森を進みながら思い返すと、
なんども転んだり、とげが刺さって涙目になったり、
腹を壊したり、熱を出したり、皮を上手く剥げなくて駄目にしたり、
槍が折れたり、雑に作った土器が爆発したり、
雨でいろいろカビが生えたり、
小動物に噛まれて病気になって死ぬんだと悲観的になったり、
おいしい草を見つけてご機嫌になったり、
ゴブリンに食わせて大丈夫だと思ったキノコを食べたら、
目の前がチカチカして焦ったり
体作るために必至でオナキンしたり、
オナキンしたり、
オナキンした。
魔法がイメージならレベルアップもイメージが大事だろうと
出来うる限り最強の自分をイメージしつづけた。
文書にまとめたものが魔石に記録してあるが、
半端無く妄想であるため割愛する。
まあ、色々苦労しただけあって、
ずいぶんと鍛えられたんじゃないだろうか?
なんか肌がだいぶ黒くなったし、目も良くなったし
、虫歯も治ったし、歯並びも良くなった。髪の色もなんか変った。息子も元気になった。
どう考えてもおかしいwwwww
いや、確かに少しそういうイメージはしたよ?
禁書には黒に染まれとかふざけて書いたよ?
でもさ、ダンジョンから出て一週間で変りすぎじゃないですかね?
あの程度のモンスターをたくさん倒したからといって
こんなに変るんじゃ、
この世界の人間がどんだけ化け物になってるのか
想像がつかないんですがね?
と○ろ120%みたいなのがギルドに屯してたら、
オッサンチビってまうで。
ダンジョンのあった所を超え、
初めてゴブリンを倒してうずくまった所を超え、
最初に目が覚めた草地の広場についた。
相変わらず草地で特に何も無い。
「視界拡張」で地面を調べてみても何も見つからない。
だがこの場所はダンジョンの有ったところに良く似ている。
丸く森の開けた不思議な空間。
やはりきっと何か有ったのだろうか。
とりあえず用意しておいた石碑を設置する。
出現場所に目印を立てるのは基本だ。
ちゃんと読んでくれてる人なら、
アレ?何で戻ってんの?南に進むんじゃねーの?
と思っているだろう。でも忘れてるわけじゃあないんだ。
普通、森から脱出するなら川沿いを歩く。
しかし川は蛇行しながら南東へと向かい端が見えなかった
南側の森は深すぎるし広すぎるのだ。
山にもなっていて向こうが見えない。
なので高い木に登って確認した、
一番近い森の端に向って移動している。
そこまで行けば街道とか見つかると思われる。
やはり出現地点に恣意的なものを感じるし、
最初に南へ向わされたのも操られた気分だ。でも猫耳は見たい。
あの頃は体力も無くて木に登れなかったのも有る。
黙々と歩いて一月、森に魔物は全然出ない。
食料と補修材料と虫除けの草を採ってはすり潰し、干しては燃やす。
っていうかこの森広すぎるだろ。
お話だと80日で世界一周してたよな?
読んでないからどんな乗り物使ったか知らないけども。
ダンジョンかドラゴンのせいかどっちかわからんけど
もうすぐ森から出るはずなのに人が森に入った気配も無い。
世界に人間俺一人とかじゃねえだろうな?また不安になってきた。