04.種族
2015/11/09 主人公の性格を変更、それに伴っていろいろ修正
「お爺さん、ステータスに種族の欄があるってことは人間以外にも種族かいるんですか?」
何気ないほんの一言、些細な一言、そんな一言がきっかけで人生が大きく変わることがある。ほんの少し気になったことを聞いただけで、ボクの人生が大きく変わることになる。というかボクは人間をやめることになる。
「おうおるぞ。ドワーフ、獣人、エル...」
「エ、エルフ、いるんですか!!」
待てを教えられる前の子犬が目の前にビーフジャーキーを置かれたときのように食いつきました。ありがとう貧乳の神さま。貧乳と言えばエルフ、エルフと言えば貧乳。貧乳好きには憧れの種族。巨乳のエルフなんて邪道です。爆発しやがれです。貧乳イズフォーエバー。テンション上がってきました。
「ねぇねぇねぇハイエルフとかもいるんですか?」
興奮気味にちょっと期待して聞いてみました。『いる』『いない』だけが書かれた運命のルーレットが頭の中で回り出しました。いて欲しいと心から願いました。
「いるはずじゃぞ確か2人...今は3人になっているな。2人は夫婦だったし1人はかなり若いから子供でも産まれたか?」
きやがりましたーーーーーーーーーーです!!!
イエス、イエス、イエス。思わず英語になっちゃいました。
ダメです、ダメです、落ち着くのです。ここまでお膳立てされているんです。聞くことも決まっているんです。聞き方も分かっているんです。あとはちゃんとこなすだけなんです。
「えっとぉ、ハイエルフに種族の変更ってできるのかなぁ?」
両手を顎のあたりで組み、上目遣いでお願いするように確認する。完璧ですっ! パーフェクトですっ! フォルコメンですっ! 今までで一番ウマく出来た気がします。大抵の人はこうするとお願いを聞いてくれるんです、いわゆる生活の知恵ってヤツです。
「うっ…そんな顔をしなくても、まぁその程度なら構わんぞ。設定するのに魔法属性が必要じゃが何にするんだ?」
きやがりましたーーーーーーーーーーです!!!
えっえっ本当にいいのですか? 通ればリーチのつもりが、一発で高目をツモりました。
ダメです、ダメです、落ち着くのです。『諦めたら、そこで...』じゃない『家に帰るまでが遠足です』の状態です。そう種族変更がまだ確定していないのです。まだ終わっていないのです。深呼吸を繰り返し、テンションを下げました。
お爺さんが言うには四大元素、地水火風のどれかに決めろとのこと。生まれたときに決まってしまっているモノだから本来属性は選ぶことができないとのこと。実際、選んだ属性の最上位の魔法が使えるのとプラス効果があって多少有利なことがあるくらいで、選ばなかった属性の魔法が使えないこともないのでどれでもいいぞって感じでした。
少し考えました。そして頭の片隅に残っていた言葉が思い出された。
そう昔の人は言いました『土魔法最強』と…。
「地属性でよろしくお願いします」
深々と頭を下げた。頭を下げるだけで地属性のハイエルフになれるならいくらでも下げてやるです。客に頭を下げるより全然気分がいいです。
「よし設定を変更したぞ」
えっ、なに? そんなに簡単にできるの? そんな気分でした。
少し目線が下がった気がした。じゃなく実際に下がっていた。そして、ステータス画面に表示されていた画像が変わっていました。背は縮んでいるが銀髪のポニーテール、赤い目、女顔、鏡の中で見たことがある数年前のボクです。髪に少し隠れているが耳が長くなっていることくらいしか違いがありません。
「お爺さん、背が縮んだのですが...」
思わず口にでてしまった。爆発しやがれです。
「永遠の寿命を持つハイエルフに種族を変更したから年齢に合わせて成長具合も調整されたんじゃろ。元に戻したほうがいいのか?」
いや、すいません。本当にごめんなさい。クレームとかじゃ無かったんです。確認したかっただけで原因がわかればそれで満足です。せっかくハイエルフになれたのに、元に戻すとかやめてください。
「このままで問題ないです。いや、ハイエルフがいいです...」
ボクはこれで人間やめました。