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貧乳好きの元下着販売員、異世界を救済する  作者: 辛味亭
第02章 冒険者ギルド編
168/377

168.ボクを連れて逃げて、お願い。

インフルエンザにかかってぼーっとしながら書いた原稿を大幅に加筆修正しています。

 カルキのレベルはカンスト、年齢は下8桁が18歳でした。

 年齢は桁があふれてカードには表示し切れていませんでした。


「乙女に年齢なんぞ聞くではない」


 見た目だけは乙女かもしれませんが、8桁で年齢が表せないなんて、生きた化・・・・・・げふんげふんです。


 討伐報告時にカードに記録されていた『白龍王撃退』の情報で冒険者のランク用のポイントをどうするか確認して貰っています。


 受付嬢さんは、上司に『白龍王撃退』の事を聞きに行って、上司がさらにその上の上司にって感じで、受付嬢さんは通常業務に戻っています。


 野うさぎとか倒しやすい敵なら1ポイントといったポイントが設定されていますが、白龍王には設定されていませんでした。

 白龍王にポイントを付けていたとしたら、付けた人は予言者レベルの人です。


 ですから、今はその結果待ちです。


 何気なく、冒険者ギルド内を見回してみると・・・。

 依頼の紙が貼ってあるコーナーがありました。

 偽物防止のためでしょうか、依頼の紙一枚一枚にエンボス加工がされています。

 アナログで対策してるなんて、なんか格好いいです。


「猫の捜索 金貨2枚、隣の街までの護衛 金貨10枚、辛味亭での順番待ち 金貨1枚 ・・・こんなのまで・・・」


 そして、それぞれの依頼にはポイントが設定されています。

 ボクが依頼を見てると受付嬢さんが派手なボードを抱きかかえてやってきました。


「ラーマちゃしゃにゃんしゃちゃしゃにゃん大公しゃまの依頼は、そちらではないです。こちらをご覧下さいね」


 受付嬢さんはボクに見えやすいように、派手なボードを両手でもって位置を調整しました。

 『ラーマちゃんさま専用依頼』『ラーマたんさま専用依頼』と金銀宝石で飾られた派手なボードに所狭しと依頼が貼り付けてありました。


「一緒に食事 金貨100枚、おにいたんと呼ぶ 金貨10枚、一緒にお風呂 金貨1,000枚・・・・・・え゛?」


 依頼料が普通のと全然違うんですが?

 それよりも、依頼内容が・・・・・・勘弁して下さい。


「あの依頼であの依頼料」

「ああ、羨ましいよなぁ」


 ボソボソっと小さい声ですが、陰口っぽいのが聞こえてきました。

 多少は慣れていますが気分の良いモノではありません。


「俺も早く稼げるようになって依頼したいよ!」

「ほんと早く一流の稼げる冒険者になって依頼したいよなぁ」


 そっちでしたか・・・・・・。

 でも、依頼されたとしてもボクは受ける気はサラサラ無いです。


 受付嬢さんは、カウンター内をチラチラ見て何かを警戒しているようです。


「ラーマちゃしゃにゃんしゃちゃしゃにゃん大公しゃま、いい依頼はありましたか? これなんかどうですか? 一緒にお風呂に入るだけで金貨1,000枚ですよ。金貨1,000枚。金貨1,000枚あれば、一生遊んで暮らせますよ! では、こちらの依頼の受諾の手続きをさせて貰いますね」


 金貨1,000枚じゃ一生遊んで暮らせないですし、お尻がムズムズします。

 挙動不審の受付嬢さんと依頼の紙に違和感を感じます。

 あー、依頼の紙にギルドのマークがエンボス加工されていません。

 エンボッサーを使っていないのです。

 それに、よく見ると、これらの依頼には冒険者のランク用のポイントが記載されていませんでした。

 依頼料は払えるけど、冒険者のランク用のポイントが付けられない依頼ですか・・・。


 焦っているというか、切羽詰まっているというか、そんな顔をしながらカウンター内に戻ろうとする受付嬢さんの手の依頼の紙をただのメモ用紙と入れ替えます。


「すいませーん。このギルドのマークがエンボス加工されていない依頼の紙の依頼は正式な依頼ですかぁ?」


 受付嬢さんからスリ取った依頼の紙を大きく振りながら、受付嬢さんの上司に質問しました。

 受付嬢さんの上司はズレた眼鏡の位置を直しながら、こちらに向かって来ています。

 自分の手に持っているメモ用紙とボクの手にある依頼の紙を見比べて、


「あ、あ、ラーマちゃしゃにゃんしゃちゃしゃにゃん大公しゃま、それを、その紙を返して下さ・・・」


 依頼の紙に飛び付いて取り返そうとしたのでしょうが、殺気を全力全開で解放したカルキがボクと受付嬢さんの間に立ちふさがりました。


「わらわのご主人様に危害を加えようとするのか? それなりの覚悟はあるのじゃろうな」


 カルキの殺気に足がガクガクして立っているのが不思議なくらいの受付嬢さん。

 新米の冒険者たちは腰を抜かして・・・後で【浄化魔法】が必要っぽいです。


 ボクの手から依頼の紙が受付嬢さんの上司に渡ると、受付嬢さんはストンと床に座り込んでしまいました。

 ボクの所に来るまでにズレた眼鏡の位置を直して、受付嬢さんの上司は依頼の紙をマジマジと見ました。


「ハル、お前はなんて事をしてくれたんだ。冒険者ギルドを通さないでこういった依頼の仲介をしたらどうなるか分かっているんだろう? 横領だぞ、国庫に流れるはずのお金を掠め取っているのと一緒のことだぞ。どれだけの重罪か分かっているのか? それをラーマちゃんたんきゅんしゃんしゃま大公さま相手にするとは・・・」


 床にしゃがみ込んで俯く受付嬢さん。

 受付嬢さんがやったことに対して、怒り、いえ、情けなくて、涙を流しながら振るえている受付嬢さんの上司。


 なんか話が大きくなってきました。

 ただ、時間つぶしに依頼の紙を見ていただけですよ。

 まぁ、実際には見ていて疑問に思ったことを質問しただけです。


 逃げ出せるのなら、ここから逃げ出したいです。

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