110.翼人
「ラーマとは、ヴァラーハだけが結婚するのではないのですよ」
さすがに見かねたのかシーターはウォシュボード家の話に割り込むように口を出してきました。
「一人娘の旦那様になるラーマは当然時期国王候補となります。そして、このお腹のラーマの子も」
シーターは慈しむようにお腹に手をやります。
何言っているんですか? 時期国王候補とかお腹の子とか何ですか? シーターに突っ込みたいです。早く2回戦目を始めたいです。気持ちよかったです。4人とも本当に気持ちよかったです。今まで我慢してたのは勿体なかったです。そうじゃないです。視線が痛いです。みんなの視線が集まっています。
「ラーマ、動きました。お腹の子が動きましたよ!」
シーターがコンボを繋げてきました。大技連発です。ボクのHPゲージがガシガシ削られていきます。
「ラーマ大公様、お心当たりは?」
心当たりは・・・、ありますけど。ほんの1時間前のことですよ。そんなに早く子供が出来る訳ないじゃないですか。そんなの常識じゃ・・・。あーーーここは、ボクの常識が通用する世界じゃなかったです。さすがにすぐ子供は出来ないと思いますが、万が一ということもあります。
そして、何の前触れもなく禍々しい気配がいきなり現れました。
「ほほう、エルフの加護、いや、ハイエルフの加護か。純情そうに見えても、もう男をくわえ込んだのか」
エルフとかハイエルフ加護って何ですか? そもそも、この翼の生えた女の人は誰ですか? こんな近く来ていたなんて全く気付きませんでした。他のことに気を取られすぎたました。
なんか、ヤバそうな感じの女の人です。胸が大きいです。大きすぎます。話題の声優さん以上です。メロンとかスイカとかビーチボールサイズじゃないです。バランスボールです。小さいバランスボールくらいの大きさです。生活するのに大変そうな大きさです。トップは丸出しです。聖衣は隠すのを諦めたみたいです。数字の8の形になっているのがたぶん聖衣です。2つの穴から胸がでている感じです。さすがに聖衣でも、これだけの質量は支えきれないのでしょう。
この女の人はどうやって来たのでしょう? 猫、いや虎のシキガミが反応していないということは、表や裏の出入り口を使用していません。それ以外は結界があるから入れないはずですが・・・。
信じられません、結界が消えています。かなり高度な結界破りがあれば別なのですが、ボクに気付かせずに結界を消すなんて考えられません。シンやティコアたちの話から憶測すると、この世界に結界破りがあるわけがないのです。
もしかして、本当にやばい状況ですか?




