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貧乳好きの元下着販売員、異世界を救済する  作者: 辛味亭
第00章 プロローグ 出会い
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01.異世界

2015/11/09 主人公の性格を変更、それに伴っていろいろ修正

「坊主、この老いぼれの手伝いをしてくれないか?」


 後ろから声がかかり振り返ると左手で水晶を持ち、右手で水晶に手をかざすローブを着た占い師らしきお爺さんがいました。お爺さんと判断したのは姿からではなく声からでした。ほんの1~2数秒前までそこには誰もいませんでしたし、何もありませんでした。この距離までボクに気配を感じさせずに近づいて来れる人がいるなんて信じられません。目に見えていても本当に実在しているのか判断できません。ボクの目でもこのお爺さんの服の下が人の形をしてるのかも確認することができません。


 こんなことを理由にしたくありませんが、一番怪しいと感じたのは一目でボクを男と認識したことでした。女装をしたことはないですが、ボクを男と認識できた人はいませんでした。


「イヤです!」


 知らない人には女と思われて下心ありでしか声をかけられたことしかありません。男と分かってて声をかけてくるなんてお尻がムズムズしました。やっぱり怪しすぎるので断りのセリフが出ました。


「かわいい女声でつれないのう...。職場を首になって、これから暇になるんじゃろ?」


 ついさっきのことなのに、この人はなぜ知っているんですか?


 やっぱり怪しいです。


 女性の下着売り場に配属になってから2年間、会社の方針かと思ってほとんど休みもなく社畜になって一生懸命がんばりました。2年連続セールストップを飾ったのにいきなり解雇になりました。それも男だという理由です。履歴書に男と書いてあったのに男というのがなぜ解雇の理由になるんですか? 配属先が問題というなら、下心のありそうな笑顔で事あるごとにボクを飲みに誘ってきた人事部長とか人事権のある人たちの不手際じゃないんですか? それでもなぜかボクが割を食った形になりました。裁判を起こさないという一筆を書かされれましたが、本来なら支払われることなかった退職金がそれなりにでたので会社としても悪いと思っているんでしょう。そういう風に考え今回の件は納得することにしました。


「坊主、貧乳と巨乳どちらが好みじゃ?」


「貧乳に決まっているじゃないですか!!」


 いきなり何を聞いてくるんですか? 一つしか答えがないんですから聞くことじゃないでしょう。丸一日かけて貧乳のよさを説明すればいいんですか。というか答えようと思う前に答えてしまっちゃいました。またやっちゃいました。ボクだって男です。おっぱい大好きです。正確には小さい胸だけです。そう貧乳だけです。大きい胸は嫌いです、大嫌いです。この世から無くなってしまえばいのに! 巨乳爆発しやがれです。何回窒息しそうになったか分かりますか? 食べたパンくらいの数ですよ! ほとんどのお客様はボクのこと男だと分かってても更衣室に呼びつけるんです。そしてブラの調子をみたいって言ってボクの顔を胸にくっつけてぎゅーっと埋めるんですよ。本当に息苦しいんです。何回気を失いそうになったか分かりません。本当に巨乳なんて無くなっちゃえばいいのに! だから大好きな貧乳のこととなると考える前に反応してしちゃうんです。でもこれで何回失敗したことか...。


「貧乳が滅亡しそうな世界があるのだが、坊主ならどうする?」


「助けるに決まってるじゃありませんか!!」


 ああ、またやっちゃったような気がしちゃいます。


「よし契約成立じゃ」


 世界が暗転したと思ったら、真っ白な空間に立っていました。そして足元が透けて景色が見えてきました。お爺さんの姿は消え声だけが聞こえてくる。


「下に見えるのが剣と魔法と貧乳が正義の世界フルフラット、これが坊主に救って欲しい世界じゃ」


「ボクにとっても貧乳は正義ですが、ボクは剣も魔法も使えませんよ」


「坊主でもスキルを覚えれば使えるようになるんじゃ。それにちゃんと確認していないが坊主が身に付けている乙女流だけでも充分だと思うがな。じゃ、説明していくぞ、この世界はな…。」


 まず、この世界の特徴である聖衣についての説明がありました。


 この世界の人種や魔物などの生き物は聖衣を身に付けて生まれてくるということです。聖衣とは簡単に言うと下着みたいなものらしいです。ただ、本人の成長に合わせて聖衣も成長する身体の一部とか運命共同体みたいなモノっみたいで、戦士系の最強はビキニアーマー、魔法士系の最強はボンデージに成長するとのこと。男はパンツ、女はブラとパンツ。聖衣を身に付けていると力などのパラメータが上がり、他人の聖衣を着てもパラメータは上がりません。あと、女のほうは2枚付けている分、倍近くパラメータが上がるそうで、そのため男より強い女のほうが多いとのこと。それとなぜか聖衣を目に見えるようにした状態や、聖衣の面積が小さいほうがパラメータが上がりいいらしい。またブラのほうは胸と聖衣の面積の差が大きいほうがパラメータが上がいいので同じ面積なら貧乳より巨乳のほうが強いらしい。それと魔物の聖衣の場合は擬人化の効果のあるということです。戦闘のセオリーとしては、聖衣を剥ぎ、弱らせたところで止めを刺すということらしい。


 次に巨乳神秘教、瘴気に当てられた人種(ひとしゅ)が作った宗教団体というか犯罪集団。


 瘴気に当てられると、女は巨乳に、男は巨乳好きとなるとのこと。人として有るまじきことです。爆発しやがれです。また、犯罪率が高くこの世界の犯罪の9割以上がこの集団が原因であること。ここ最近は村や町を乗っ取って勢力を伸ばしているとのこと。さっさと半島に帰れよっと言いたくなるくらいの集団よりはましですが、かなりひどいらしいです。

 動物が瘴気に当てられると魔物になり、瘴気の強いものに服従する習性があるので巨乳神秘教徒に使役されることが多いらしい。


 最後に貧乳教は、巨乳神秘教にやられて壊滅の危機らしい。どうせ味方をするんじゃから、予備知識なしで判断しろとのこと。


「坊主、ここまででは理解できたかのう?」


「巨乳神秘教を何とかして欲しいってことですか?」


「そうじゃ」


 当たりましたか...。そんな気しかしていませんでした...。


「そうそう、坊主にも聖衣が必要になってくるのう...。男用と女用どちらにするんじゃ?」


 男用と答えるべきでしょうが、少し考えました。女用のほうがパラメータ増加分でかなり有利だからです。ただメンズブラみたいな形でも身に付けるのは抵抗があります。


「スポーツブラみたいな形にできますか? できるならそれとパンツは、スパッツタイプでお願いします」


 このあたりが妥協点です。丈の短いタンクトップだと思えば済むことです。


「わかった」


 すっと、着替えさせられた感じがしました。ここ2年で鍛えられたボクなら着替えさせられたことにも気づかせない自身があります。それは置いておいて聖衣を確認したら、きんいろでした...。


「モザイクいれても、さすがにコレは拙くはありませんか?」


「軽い冗談じゃ」


 軽いどころか本当にたちの悪い悪質な冗談です。


「黒色でおねがいします」


「わかった」


 また着替えさせられた感じがしたので確認しました。指定通りに黒でした。フチにレースが付いているのは我慢です...。


「後は地上に転送するだけじゃが、そのまましても大丈夫かのう? それとも加護の付加を...」


 貧乳に関するとき並みの反応ができました。


「加護をどうかよろしくお願いいたいします」


 そして額を床に擦り付け、美術館に展示をしてもおかしくない見事な土下座をしました。


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