凌駕の決意
「ーーそろそろ戦争が始まるよ。私はココで待機をしているけど、君らは行かなくてはならない。大丈夫、能力も使いこなせているし君達ならどうにかなるはずだ。期待しているよ!」
「はい!」
二人は元気の良い返事をし、MAC本部から勢いよく出て行った。
目的地は武術都市の中心部にある巨大なTBV本部ビル。
坂上駿を始めとするattributeはどうやら、TBV本部を決戦の地としているようだ。
ビルの屋上には、最強の能力者集団。
attributeの姿があった。
光の能力者。
闇の能力者。
雷の能力者。
無の能力者。
そして、無敵。
「凌駕、持ち場に着いたよ」
「嗚呼、俺もだ。最初は恐らく駿は降りてこない。遭遇次第、殺ろう。俺らに残された道はこれしかないからな…!」
「うん!」
戦争は始まる。
ビルの屋上から飛び降りた闇と光の能力者はTBV最強の守護神。神守蒼梧と交戦している。
他の能力者もTBVの兵士との戦闘を開始した。
「凌駕、雷と無属性の能力者が私の近くに!交戦を開始するからマイク切るよ」
「OK、ヘマすんなよ!」
「当たり前じゃん!!」
歩美との回線が途切れたことを確認すると、凌駕は路地裏の小さな小道に姿を隠した。
この場所からなら坂上駿を観察し、彼を仕留めることを容易く可能と告げているからだ。
「降りてこないな……。
歩美は、二人の能力者相手に大丈夫かな」
今は信じるしかない。
凌駕の想いはそれだけだった。
お互いがお互いのことを信頼し、お互いを心配し合っている彼らはきっとこの任務を完遂し、武術都市にさらなる発展を遂げさせてくれるだろう。
彼らを蘇らせた、神田宗一郎の言葉だ。
凌駕は、神田からの絶大な期待を裏切らないようにと、坂上駿を待った。
「さてと……シリスも死んじゃったし、俺が出るかなー。神守蒼梧を道連れにしてくれたのは正直ありがたい、俺が消耗しなくて済むよ。ありがとう、だから眠れ。
お前らTBVは俺が片付けないとな。
何やら、狂と終は二人掛かりで剣を持った女の子に苦戦中みたいだし……。
ん…?待てよ、剣を持った女の子…?
それって歩美……なわけないか。あいつは死んだはずだし、考えているのも面倒。
こいつら殺して確認に行けば良いだけだね、終と狂が負けるわけないし!」
駿はビルの屋上で戦況を瞬時に見極めて、自身が降りることを決意した。
ビルの上から一気に飛び降りる。人間であれば確実に即死モノだが、剣城学園に通っている坂上駿とはまた別人にも見える無敵には容易なことだ。
地面に勢いよく落下してきた駿は、周りのTBVの兵士達を次々に殺していこう。
その荒さはもはや異常。
彼の能力が無敵と呼ばれている以前に、TBVも凌駕もどんな能力なのか。
ハッキリとわかっていなかった。
微妙に分かっていることは、周囲に異常な程の影響を与えることの出来る能力。
または、自分自身に対しての害を殲滅させるに容易な能力ということだけだった。
それだけなら、終の電撃能力も狂の無属性能力も周りに多大な影響と自信に害を成す輩を一撃で仕留めるには余裕の能力だ。
だから、凌駕はココで彼を見ることしかできない。
まだ、能力が分かってない現在では迂闊に手を出して、自分の能力が封じられでもしたらattributeの思い通りになってしまう。
それだけは避けねばならないこと。
凌駕は彼を見続け、残虐に人をアリでも潰していくように殺す彼を見続け、見続け、見続け。彼の能力に基づく、絶対的な意味を知る。
「今は……見ることしかできない!
TBVの人達が能力者を生み出したのかもしれない!でも、それは平和を望んで世界を感服させたかったから。
attributeと名乗っている能力者集団は自分自身の力に頼って惚れ込んで暴走してしまった。
これはどっちが悪いかなんて一目瞭然だよ。
駿、決着をつけよう。
俺がお前を変えてやる…!」
彼は動き出す。
戦争の終焉を告げに。
全てを終わらすための一撃を。
放つためだけに。
遅くてすいません(:3_ヽ)_




