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【武器世界物語】  作者: ezelu
第1章 武術都市の闇
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雷ヶ峰終

『えーっと…つまり、今日来てた。終って奴の部屋がないから俺の部屋へ?何で俺の部屋?』


『いや、ちゃんと他の部屋もありますのよ?でも、凌駕君の部屋がいいと聞かないんですの。一時的なものらしいので今回はお願いを聞いて欲しいんですのよ。』


『一時的?』


『えぇ、彼はこの武闘演戯に出るだけの生徒らしいので武闘演戯が終わり次第。学園をやめるそうですの』


『んで、彼奴は今どこに?』


終は今、ロビーに居ると聞き。

ロビーへと向かう。


言われた通り、ロビーの椅子に座りながら待つ終の姿がそこにあった。


『君が終ってヤツだよな?』


『あァ、俺は雷ヶ峰 終ってんだァ。あんたの今日の武闘見てて話してェと思ってよ〜、いいかァ?』


『それで同じ部屋って、まあ…いいや。荷物はもう部屋にあるから取り敢えず先に部屋に戻っててくれないかな?』


『同じ部屋を許可してくれたってことかァ、サンキューなァ。んで、あんたはどっか行くのかァ?』


『ちょっと武闘場へ、練習の途中だったからさ』


凌駕は淡々と告げる。

終の顔つきが"武闘場"で反応したのか笑顔が見えた。余程、戦闘が好きなのだろう。


『俺も行かせてくんねェ?』


『分かった、行こうか』


二人で武闘場へと向かう。

向かう途中の廊下。


『君は、一回戦で5秒で相手を倒したんだよな、確か』


『よく覚えてんねェ』


『俺の名前は…』


『わーってるぜェ、剣術の第1位、雷光ノ剣。柳瀬 凌駕さんよォ』


その話をしていた時、武闘場へ到着する。


『おかえり、続きやろ?』


『あぁ、その前に紹介したいヤツが居てな』


歩美が凌駕が帰ってくるのを見るとこちらへ走って来てそう言った。


『雷ヶ峰 終だ。よろしくなァ』


『黒神 歩美よ。よろしくね』


二人の顔合わせが終了すると、終がこう言った。


『あー、早速だけど、凌駕と歩美の力見てェから俺に二人でかかってきてくんねェ?』


『『えっ?』』


二人同時に言ってしまった。


『仲良いなァ、お前ら付き合ってんのかよォ』


終が馬鹿にしたような目で二人を見る。


『違うわよ、単に幼馴染ってだけ!誰がこんなヤツと!』


『そんなにこっぴどく嫌がらなくても良いだろ…』


凌駕の目から一雫くらいの涙が零れ落ちる。


『あ…いや、そういうことじゃなくてね』


歩美が必死に訂正しようとする。


『ブフォwwww』


終は思わず吹き出した。


『お前ら漫才師かよ、笑わせてくれるぜェw』


終はその場で爆笑し笑い転げている。しかし、笑いも冷めたのか口を開いた。


『あァっと、やろうぜェ?』


『分かった』


凌駕が返事をし二人は剣を構えた。

矛先を終に向けて。


終は二人の顔を見るなりニヤリと笑みを零しナイフを手から放つ。


『ナイフ!?』


ナイフは雷を纏っているのか、途轍もない速さで凌駕へと向かう。


『おっと…?』


凌駕はナイフを剣で叩き落す。

しかし、ナイフは地面に落ちるもすぐに宙に浮いてお次は足に目掛けて飛んでいく。


『雷系のスキルかなんかなのか…?』


疑問を頭に浮かべながらも空高く舞い上がる。して、剣を振り回しながら回転しナイフへ向けて剣を振り下ろした。その後は、何度もその繰り返しの攻防が続いた。


凌駕とナイフが闘っている最中、歩美は風の如く凄まじいスピードで終に向かって斬りかかる。


『歩美ィ、これじゃまだ駄目だぜェ?』


終が嘲笑いながら口を開くと、何もない場所から雷を纏う剣を創り出し、歩美の剣を弾いて矛先を振り下ろす寸前で止めた。


弾かれた剣は回転し歩美の真後ろに突き刺さる。


凌駕の鋭い剣戟を決め込まれたナイフは回転し制御を失った機械のように終へと戻っていった。


『あァ、二人の力量は分かったぜェ、ありがとなァ。俺は先に戻ってるわァ』


終はそう告げると武闘場から出て行った。


『傷…傷一つ…』


『歩美?どうかしたか?』


『傷一つ…付けられなかった!』


歩美は涙を流していた。

終が戻った原因はコレだと感じた。


『あぁ、彼奴は強いな…』


『私、もっと強くならないと!凌駕!今日から私と練習だからね!明日もだよ!』


『明日って…わーったよ…ったく、そんな眼してる奴の願い断れるわけねぇだろ』


歩美は剣を地面から抜くと笑顔で走り去っていった。


『何だってんだ…』


取り敢えずとでも言いたげな顔で部屋へと戻る。彼の存在に異形な胸騒ぎを残して。

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