表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【武器世界物語】  作者: ezelu
第二章 5年後の武術都市
45/65

宣戦布告

『君は…まさか!?あの黒神歩美君かね?』


『はい。MAC所属の黒神歩美と申します。こちらに任務遂行のために伺いました。余計な話は時間のロスですし…任務を開始します…』


歩美の言葉が終わるか否かくらいの時だろう。声を発していた人間と思わしき男の首から上の頭と呼ばれる部位は風船が割れるような音を放ち周囲に血液を飛び散らせ、残された身体は手から放たれた人形のように崩れ落ちた。


MAC本部から少し放たれた位置に属する元TBV幹部の家で彼女の任務は遂行され、無事に終わった。


額に違和感を感じ、違和感のある部分を指先で触れてみると赤く染まった液体が付いていた。


どうやら、破裂した男の頭から飛び散った血液が顔に付着したようだ。ポケットの中に入っている、白いハンカチを取り出すと掬い取るように拭き取って彼女はふと呟いた。


『任務終了…これから始まる戦争が終わって全部が元に戻れば…凌駕はまた、笑ってくれる…はず…』


任務終了の声と共に発されたのは彼女の本心。確信が持てるほどに自信があるわけではない。


あの日から凌駕は笑わなくなった。仲間を目の前で殺された、五年前の武闘演戯の二日目の朝から。


彼の瞳からは光が消えたよう真っ暗なまま。以前のように無邪気に笑う彼の姿はもう無い。


でも、凌駕は言った。自分の望む世界が作れたのだとしたら、昔みたいな平凡が待っているのならこの戦争には負けられないと…。


『凌駕………ッッ!?!?』


突然、爆発音が聞こえて人の気配がしたと察すると視界の中に入ったのは見慣れた人物。


ソイツは歩美を見るなり、瞬時に跳び上がると歩美の顔面へ膝を食い込ませ吹っ飛ばすと着地し自らの口元を歪めてニッコリと微笑んだ。


『痛った…い…!』


『やぁ、歩美。久しぶり?元気してたかな…?まぁ、もう化け物だし昔の歩美じゃないんだよね』


『昔の私?何で…?あの朝…死んだはずじゃない…どういうこと?瑞貴…答えてよ!』


床に座り込んだ状態で、蹴られた顔を抑え自分を蹴り飛ばした相手の方を向き返答する、少し涙混じりの声で。


『それなら凌駕も君も一度死んでるじゃないか、俺はとある任務で歩美を殺さなきゃいけないんだよね〜』


『任務って…瑞貴…』


『俺がどうかした?俺はもう歩美達の仲間にはなれないってことだよっ!』


瑞貴の言葉が発された時には、歩美の頭に銃弾が撃ち込まれていた。当たり前だが、瑞貴の手には拳銃が握られている。


『何で…瑞貴は生きてるって…ことは…能力者なの…?』


『いや、俺は化け物じゃないよ?俺は、人間じゃないってだけさ』


『どういうこと……ぁぁ……何で、傷が治らないっ…』


頭から血を流し、再生を試みるも失敗。自分の頭から銃弾を引き抜こうとするが銃弾を触れた瞬間。歩美の手が爆発し粉々に消し飛んだのだ。


『俺は能力者を超えちゃったってだけ、神になったって方が近いかな。けど、この世から能力者を消したら俺は自分で自害するつもりだけどね〜。治らない理由?この銃弾は俺の能力が込められてるから…かな?』


『神…ぁぁぁぁぁっっ……私は神なんか知らないよ…瑞貴どうしちゃったの…?』


『化け物に興味は無い。俺は昔の歩美が好きだったよ、じゃあね』


風船の割れるような音が連続して鳴り響き、歩美の身体が粉砕していく。数分後には、原型をとどめてはいなかった。


『神なんか知らない?まぁ、全部ハッタリだしね…俺は無能力者、人間と無能力者の境目で能力の無い能力者って感じかな!さっきの能力は、銃弾に凌駕の能力が込められてるだけだっての』


自信満々の顔でハッタリをかまし終わると瑞貴は堂々と玄関のドアから出て行った。


『俺はこの世界から能力者全部消して死ぬんだよ、俺がたとえ死ななくてもな!』


と言い残して。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ