表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【武器世界物語】  作者: ezelu
第二章 5年後の武術都市
43/65

慈水の想い

『凌駕…俺はお前を護ってみせる!』


黒いローブを頭から被った人物がそう言った。声からして男だろう。


『なんだお前は!!!!』


MAC東支部に現れたソイツは、銃口を自分に向けられても全く動揺せず歩みを止めない。


『手を挙げろ!』


『全く…雑魚が…見苦しいぞ?』


瞬間、空気を斬る音と何かを貫く音が聞こえた。その場にいたMACの男達は腹部を矢で貫かれ、鮮明にも血液を地面に流していた。


『あーぁ、君らじゃ無理だよ…』


東支部は、あっという間に壊滅した。僅か五分という短さで。


その場にいた男が死ぬ寸前に撮った録音にはこう残されていた。


『何で…何で…矢がどこから来るのか分からないんだ!!!!!』


『何故か…?君らが低脳なだけさ』


この録音はMAC本部中に流され、声の人物が誰なのかわかったのは凌駕のみ。


当時の剣城学園に通っていた人物で凌駕以外にもMACに所属している人はいるが、慈水のことを詳しく知るものは彼だけだった。


天使殺し(エンジェルキラー)。天獄慈水…彼奴はあの時死んだはずじゃ…』


『どうしたの?凌駕?』


『歩美か、いや…何でもない』


凌駕は、歩美の問いに対しそっと避けたように返答すると外の世界へと消えていった。


『凌駕が最近おかしいのよね〜…』


歩美は悩んでいるようだ。しかし、悩んでいても何も始まることはない。そう考えると、すぐさま歩美も外へと消えた。


『陵駕ァ、お前ェさっきの放送に心当たりがあるんだろォ?』


『お前もよく知ってる人物だよ…天獄慈水…分かるだろ?』


『天獄慈水っていやァ、あの弓矢使いかァ?ソイツなら俺が殺しちまってるぜェ?』


『分かってるけど…絶対あれは慈水だ…』


『へェ…お前がそこまで言い張るのは意外と珍しいかもなァ?じゃあ、ちょっくら任務でもするかァ?天獄慈水を見つけるための任務ってなァ?』


『終…ありがとう…お前の言葉に甘えて行こう!彼奴は東を潰したんだよな?だったら、東に証拠があるかも知んねーし、東に行くぞ!』


終と陵駕はMAC東支部へ向かうためにその場から消えた。


昔、慈水と二人きりで話したことがあった。


『陵駕、能力者ってどう思う?』


『能力者ー?あー、強い力を持ってるだろうから俺は戦ってみてぇな!」


『そうか、じゃあ仮に…仮にだぞ?お前の友達が能力者だったらどうする?』


『ん?どうもしねーよ、どんな力を持っていてもソイツはソイツだろ?関係ねーよ!』


『そ…そうか。ありがとう、俺はもう寝るよ。おやすみ』


陵駕はその時、何故そんな質問をしたかさえもどうでもよかった。


しかし、今は違う。慈水の質問の意味。自分自身が能力者だから聞いたということに辿り着かないか?


移動しながら必死に考え、何かに気づくと思わず目を見開いた。


『そうか…慈水…分かったぜ…終!能力者に付いてる基本的な力って分かるか?』


『基本的な力ァ?死なねェってことと瞬間移動くらいじゃねーの?後はそれぞれの力で出来てるってもんだろォ?何でそんなこと聞くんだァ?』


『サンキュー!じゃあ、さっさと急ごうぜ!』


陵駕は終の返答を聞けば移動速度を上げてその場から消えてしまった。


『はァ!?ちょ、待てって!くっそ…後で聞き出してやるしィ!』


やや呆れ顔で後を追う終。


その時、真隣で終を射止めようとしていた影が居た。終はそのことにまだ、気づいていないようだ。


『陵駕の隣にいるってことは…どういうことだ?取り敢えず、潰しておくしかないようだな…ってか、あっちは東支部か…今から帰るのはおかしい…仕方ない…後で潰そう』


眼鏡をカチャリと自らの手で上へと上げればニヤリと微笑んで影はどこかへ消えた。


『おー…ここが東支部かぁ…来たことは前に一度だけあったっけ〜…』


『あァ?ここって結構セキュリティ高けェとこじゃねェの?なのに、入られてんじゃ意味ねェなァ』


『いや、セキュリティは完璧。空気ですら焼き切るレーザーが張られていたんだからなー…侵入した慈水がすげーんだよ』


『はァ?』


『レーザー光が出ている穴の横にとても小さな穴ような場所があるんだ、そこに専用の棒を突き刺せばセキュリティ解除。そういう仕組みだと彼奴は分かってたのか…しかし、棒が使われた痕跡がない。ってことは、矢を使ったんだ…』


『成る程なァ…』


二人は壊れたゲートを見た後、そのまま中へと歩んでいった。


『中もボロボロだな…生存者は居なかったらしいし、凄い壊れようだ』


『あァ…んで、証拠ってのがあのゲートでわかったんならもう良いだろォ?』


『そうだけど…ちょっと待ってなー…あの場所に…アレがあるはず…』


陵駕は走りある場所で止まる。この辺りだと言いながら壁に手を当てて。


『なんだァ?』


当てたと同時に何かが壊れる音がして壁だったはずのその場所に一つの部屋へと繋がる穴が出来上がる。


『隠し扉かァ。それも陵駕しか開けられねェじゃねェかこんな作りじゃ…よォ』


『あー、そうだよ。ここは俺が生き返った場所だからな…』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ