それぞれの戦争
昔の戦争。
能力者が生み出され、初めて世に出された戦争の物語。
『日本を潰して領土を手に入れる!』
『そうだ!私達が日本を潰すんだ!』
各国が手を組み、日本を潰して領土を奪い取ろうという計画を立てていた頃。彼らは生み出された。
何故、彼らなのか。
能力者になった人物らは、選ばれたのではない。自ら、人間という概念を捨て力のためだけに名乗り出たのである。
中には、柳瀬薫のように親に強制的に実験体にされた人も居るが…。
そんな人々は、柳瀬薫を除けば。
極数人に限られてしまうのだ。
能力者になった時、彼らは不老不死となる。能力者開発実験を行った時から彼らの寿命と成長は止まってしまった。
そのため、能力者開発実験によって能力者になった人物の年齢は現在となると異なってしまう。
そんな副作用も、彼らは力として捉えた。坂上駿のような人物はその哀しみも全て受け止め覚悟を決めたに違いはない。
アメリカの部隊の一人の声が録音された時から数分後、戦争は終わりを告げた。
それぞれの能力者たちの戦いは終わりを告げたのだ。柳瀬薫の計画成功、日本の戦争の勝利。
全てが良い方向に進んだ戦争によって日本に笑いが訪れた。
しかし、相手側の視点から見てみよう。全てが失敗に終わった戦争は、これからの自分達の生活に平和を失った瞬間でもあったのだ。
日本を除いた全人類が涙を流し絶望と恐怖に陥れられた。
世界の全ての終わりが告げられたようなそんな音がして、何かが始まる音が鳴り響いて世界は変わった。
戦争が終わり、自分達の力に溺れた能力者は次々と無差別に人を殺めて全人類の頂点となった。
その瞬間から一部能力者は消えた。
自身の能力を使い十人の成功者の一人、空吹楓になりきった柳瀬薫を含んだ、後にアトリビュートと呼ばれる者達…。
あと一人、その場から消えていた能力者が一人…。
能力者実験の一番最初の実験体で、失敗作として見られた…存在。
能力名は、操縦者。
名前は、MS…。勿論、本名ではない。何故か公表されていない唯一の能力者で、TBVでは最終兵器と呼ばれており最強の能力者とされている。
しかし、その姿を見た者は居ないという。
戦争の結末は…まだ謎に隠されたものばかり…。
それが正式に公表される日は…きっと来ない。




