終わりの始まり。
剣城学園学生寮付近にて。
『お前…狂に何したんだァ?』
『何もしてないよ、私はあの人を殺しただけ…』
磨崖狂は地面に倒れ、首を綺麗に斬り落とされている。首から上は何処かへ消えてしまったかのように。
当然、雷ヶ峰終も彼女の言葉を聞いた瞬間。目の前が真っ暗になり、意識は消えた。
『貴方達は弱いのね…戦争を私達が止めなければ…都市は終わる…終わらせるわけにはいかないから、私は戦うのよ』
黒神歩美。彼女の左目は何処にも無い。ただ、元々あった場所は目玉が無いだけで。真っ黒に染まっている。
全ての闇を告げるかのように。
『終と狂の…命が途絶えた…?嘘だろ…何で!』
『歩美、やったのか。さてと…俺はお前をここで殺さなきゃいけねーんだ。素直にやめるならここで聞いてあげてもいいぜ?』
『そんなわけねーだろ!!!』
駿の叫びに合わせて空気の衝撃波が凌駕を襲う。しかし、吹き飛ばされることは無かった。凌駕はただの風として受けたようで。
『何で能力が効かない…』
『ネタバレでもしてやんよ。俺は確かに死んだ…あの後、蘇生させられたんだ。ある組織の一人に…そして、一つの実験を受けた。能力者を殺す力を得るための…そして、俺はその力を得た。自分の右目を犠牲にしてな?だから、俺の力は右半身しか働かない。左半身に攻撃されれば当たるぜ?痛みはねーけどな?』
『痛み…お前はどうして生きているんだ?』
『能力開発のための組織がTBVだとしたならば、武術開発の組織と言えば、この都市の頂点。MAC…マーシャル・アーチャー。俺は能力者として蘇ったんだよ。』
『マーシャル・アーチャー…!?』
『そう、俺らの武器を造ったりしてる会社だ。まぁ、表向きはな?今回、MACの組織全体に下された命令は…"坂上駿を殺せ"なんだよ。まぁ、お前は武術側で能力側の人じゃないと思ってたからな……命令が出た時は驚いたけど、お前が武術都市を本気で消す気なら俺は止めなきゃならねえ!!』
『そっか…。なら、殺しなよ。凌駕に殺されるなら俺は構わない。こんな結末…俺も予想してなかった…まさか……凌駕が生きてるなんてな…』
『あぁ、また会おうぜ!お前は生き返らせるからよ』
凌駕は剣を振り下ろした。
その瞬間から全てが終わったかのように静寂の世界が広がっていった。
『はぁ…任務終了…。』
凌駕の言葉が戦争の終了を告げる。その時、凌駕の額に白くて冷たいものが落ちてくる。
雪だ。真っ白な雪。雪は血に染まった街を白く染め上げていく。
戦争を消そうとしているかのように。約1日で終わった戦争の後は、長い月日が経ったかのような気持ちになる。そんな気がした。
凌駕と歩美は、殺戮に溺れた街。
武術都市の何処かへ消えていった。
暫くして、武術都市の能力者は全員消えた。あれもこれもMACが新たな街を創り出すために行ったもの。
結末は哀しくてもきっとやり直せると凌駕と歩美は前向きに考えていた。
武術都市の闇が晴れることは無いというのに。
5年後。
剣城学園入学式。
新たな生徒を迎え、武術都市は大きく変わった。五年の月日が流れると戦争など無かったかのようなそんな気持ちになる。
『ここが…剣城学園!僕はここで最強になるんだ!』
黒髪の元気いっぱいの一年生が一人。拳を握り、空へと掲げる。
新たな物語の幕開け。
そう記しているかのように、空は途轍もなく青かった…。
ここから5年後という風にしていきたいのですが、瑞貴の過去編もしないと…ということで、次回からは過去編です。では、よろしくです!




