戦争開始!
武術都市の中心ビルにて、ビルの上に立つ坂上駿を武術者全員が見つめ、TBVも武装して少年に拳銃を向ける。
『君らじゃ、俺らアトリビュートは倒せない…よっ?俺らの目的は…武術都市の消滅…一つだけだよ。なぁに、全然難しくないよ。俺らは全員でこれからゲームをしようって話さ。えーとね。簡単に言うと戦争…かなっ…てね!』
『俺は…戦争なんて…』
学生は口々に不満を言い始める。中には泣きじゃくり、気を失うものまで現れた。そんな彼らに冷たい一言らに浴びせられる。
『君らに選択肢はないよ?じゃあ、あと一時間後に俺らは武術者とTBV捜査官全員を敵と見なし、無差別に殺す。ほら、タイムリミットまで準備して来なよ』
駿の背後には四人の能力者達が立っている。それぞれが最強。
アトリビュートの中で…。
この時、神守は心の中で僅かに楽しみを感じた。楽しそうだ。と。
アトリビュートを前にして対等に戦えるのは神守蒼梧のみ。
TBVは、神守蒼梧に全てをかけた。
彼ならやってくれると期待を込めて。期待?いや、全てを賭けて。
戦争開始から15分前。
闇に満ちた路地裏で、二人の少年少女がビルの方へと視線を向けている。
『戦争を…止めるぜ!俺らの力で…止めるしかねぇから!俺らみたいに死んだ奴は痛みを失うけど、彼奴らみたいに生きてる奴に痛みは感じて欲しくねぇからよ!行くぞ、歩美!!!』
その言葉に少女は、深く頷いた。
武術者ではない、一般市民などこの街には居ない。全員がそれぞれの武術を学び極めている。
一部にはゴロツキなどもいるわけだが、彼らも武術をしている。
アトリビュートはこの街を敵に回したのだ。それでも、勝てると言い張って。
戦争時間まで、残り二分。
ビルに侵入し戦争時間前に駿を殺そうとした輩は、全員簡単に返り討ちにされた。
勿論、それが違反だと言って何かをするわけでもない。ただ、ハプニングは戦争に付き物だと彼自身は思ったことだろう。
『つーか、お前らは何で普通なんだァ?この状況で殺伐とした空気なのによォ?』
『いやいや、仕方ねぇじゃん?』
『そうッス!』
『お前らは変わらねェのなァ…闇と光の兄弟とでも言っておくか。
シリス、キネス…』
闇属性能力者、ザラ・キネス。
光属性能力者、ザラ・シリス。
この二人は、双子である。
それぞれ全く違う性格と異なった容姿を持つが…。
『終、狂、シリス、キネス、そろそろ時間だ…楽しんでくれよな』
駿の言葉に全員が頷く。
僅か五人で凄まじい数を相手にするのだ。その数、約1億人は超えるだろう。というレベルだ。
時計の針が頂点に達した瞬間。
アトリビュートは動き出した。
リーダーである坂上駿を残し四人は一気にビルから飛び降りる。
その場に居た100人程のTBV捜査官は一瞬で身体が大破した。
『コレがアトリビュート…能力者実験成功者のみを集めた特別チーム…化け物の集まりだぜ…こりゃあ…』
男の口から次に音が発せられることはなかった。腹部が真っ二つに切断され断面から赤い液体を空中に噴出する。彼の目に輝きはなかった。
まさに、戦争スタートというに相応しい殺し方だった…。
これからの激闘を誰も予想してはいなかったのだろう。




