二人目の犠牲者
『ふ〜ん♪ふんふん♪♪』
闇風理一は、家から外に出るとコンビニの裏の路地へと足を運ぶ。
後ろの気配に気づきながらも。
『闇風君、少しお話があります…一度本部に来てもらえますか?』
『神守さん、俺の正体分かってるんでしょ?なら、ここで俺を殺した方が楽じゃないかなぁ…?』
神守蒼梧の姿に、動揺した顔もせずニヤリと微笑みそう呟けば理一は懐からナイフを取り出す。
『これはこれは…私と戦いますか…理一君の捜査官人生に幕が降りる瞬間ですかね…?』
『さぁ…どうだろうね!』
理一はナイフを手から放つ。放たれたナイフは鮮明に神守の首筋へと向かっていく。
『ナイフの狙いは中々です…が?』
カキンッと弾かれたナイフは、宙を回転しながら舞い地面に突き刺さる。
『俺が能力者ってこと分かってんだよなぁ…?』
理一がそう呟くと、神守の足と接している土が形を変え複数の人間の手へと変わっていく。
土の手は、神守の右足を掴むと一瞬で粉々に粉砕する。
『まだ…ですね…』
足の痛みに顔を歪めながらも、懐から拳銃を取り出す。
『我々も君らの仲間の磨崖狂のスキル武器くらい持ってますよ…っと!』
土の手に拳銃を向け引き金を引く。
何故か音は鳴らず、無音で銃弾は土の手へと向かっていく。
銃弾が土の手へと捻じ込まれるかのように当たれば、一瞬で土の手は消えるのだ。
空へと帰っていくかのように、真っ白く輝く蛍のように。
消えていく。
その時、理一の見ている世界は混沌の世界へと堕ちていった。
『任務終了です…。』
血まみれの理一をその場に残し、後を去っていく。無表情で。
『これで残り8人になっちまったなァ?』
『あぁ、だけど問題無いよ。俺は、別にこの組織で一人になっても構わない』
この言葉に思わず、狂も黙ってはいなかった。自分の組織のリーダーが仲間を捨てるような発言したせいだ。
『そりゃあ〜、ちょっと酷いんじゃね〜か?』
『酷い?そんなこと無いよ、俺はお前らのこと心配する必要無いと思ってるだけだから…さっ?』
この時、狂と終は確信した。
この人は変わったと。
何かに取り憑かれるわけでも無いと思うが、きっとそうでなければ本性を現したのだとそう感じたのだ。
『よし、さてと行くよ?狂、終?』
『了解〜』
『わーったよォ…』
三人は部屋から消える。
無音のままに…。




