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【武器世界物語】  作者: ezelu
第1章 武術都市の闇
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アトリビュート。

『はぁ…退屈だなぁ〜…あれから凌駕も行方不明で歩美まで消えるなんて、どうしたんだろう〜』


彼らの元いたクラスで、独りでに呟く坂上駿の姿があった。


『まぁ、本当は知ってんだけどね〜…彼奴らもこの都市と闇に触れるからこうなるんだよ〜…馬鹿なもんだね〜』


彼は、鞄を手に持つと教室から出て外へと出る。


『駿、行くぞォ?』


『分かった分かった、じゃあ行こうか』


学園の外で駿を待つのは、八人の影。その中に雷ヶ峰終の姿があったのは誰もが明確に分かることだっただろう。


彼らは、その場から無音で消えた。


『坂上駿…やっぱり…アトリビュートの仲間だったのね…』


学園の木陰に隠れて彼らを見ていた少女が一人。微かだが黒神歩美に似ているように見えたのだろう。


『んで、終はどうしたいの〜?』


『どうしたいってェ?取り敢えず、目的のために幾つかの条件を満たさなきゃいけねェわけだろォ?』


『うん、少なくともその中に…危険者(デンジャー)を殺さないといけないかな?』


真っ黒な部屋で七人のメンバーは椅子に座り話している。


部屋には何の装飾品もなければ、テレビも無い。生活するには少し難しいようなスペースだ。


人数の割に部屋が狭いようにも思える。しかし、彼らは何も不満が無いように。むしろ不満などあり得無いかのようにそれぞれが寛いでいる。


喋っているのは、駿と終で間違い無いだろう。しかし、その間を破って言葉を発す人物が現れる。


『何故、僕が君らの手伝いを?面倒だ…』


『まだ言うかァ?』


『何故、この僕。水泡魁斗(すいほうかいと)が君らの手伝いをしなければならないんだい?』


『まァ、お前弱いからなァ?逃げたくなるってのは分かんねェこともねェがァ?』


『なっ!?じゃあ、その危険者を僕が殺してくる!この任務は、アトリビュートの任務ではない。僕の任務だ!良いかい?リーダー。』


リーダーと呼ばれたのは駿、駿は深く頷き。ニヤリと微笑んだ。


魁斗は、部屋から一目散に出て行くと任務へと向かっていった。


『んで、リーダーはお前で良いのか〜?駿。この磨崖狂様も流石にお前の腕は認めるし俺じゃ勝てないのは分かってるけどよ、お前。リーダー面って感じじゃねぇよな〜?』


『いいんだよ、形だけリーダーなんだから。俺らアトリビュートは、都市の闇を彷徨う集団なんだしさ?俺らは闇で生まれたんだ、闇の中に留まり続けんのは当たり前だろ?』


『そうだな〜…てか、魁斗で勝てんのか〜?危険者って相当な腕らしいじゃねぇか』


『問題ないよ、犠牲者の一人や二人。俺には関係ない。』


駿の言葉に、その場に居た全員が恐怖を感じた。部屋の空気が真っ赤に染まったようなそんな気がした。


その頃、元TBV本部。


壊滅状態の本部は、生臭い匂いと共に包まれ廃墟と化していた。


廊下の電気は、消えていて真っ暗なこの場所に一つだけ赤く光る部屋が存在する。


そこが、危険者の保管されている場所。魁斗はその場所に向かった。


『え?何だこれは…』


魁斗が目にした光景、それは。

無残に大きな穴の空いた扉の姿だった。


赤い光が漏れて、魁斗の後ろからもう一つの影が蠢きだす。


『よぉ。君、誰?』


ドォンっと音が鳴って魁斗の姿はそこから消えた。厳密には消えたのではなく一瞬で肉片になったのだ。


『またか…また俺の目の前で誰かが死んだ…』


赤い目をした男は、肉片となった魁斗を上から見下ろし踏みにじって本部から出て行った。


最悪が都市に放たれた瞬間だった。


『あー、魁斗君。殺られちゃったね〜…んで君が危険者かな?』


駿が、外へ出ると目の前に赤い目をした男が立っていた。


『俺の目の前に立たないほうが…』


『どうして?君はこんなに弱いのに…さっ?』


駿が男に触れると、瞬間的に男は消滅した。言葉を最後まで言い切ることなく。


『君はまだ死なないのは知ってるよ、でもね?君はもう俺に逆らえないよっw』


消滅直後、駿の足元に男の顔が現れた。して、駿は男の顔を思い切り踏みにじりそう言った。


『これが…アトリビュート創設者…無敵(アンビータブル)の力…!』


男は、駿の靴の下で駿の強さを確信し完敗と心に呟いた。


『此奴、監獄の中に入れとけ』


『わーったよォ』


駿が足を地面へ下ろすと、終は駿の言葉に返事をして男を能力封じの檻へと入れる。


して、二人は部屋の中へと消えた。


『此奴が、危険者か〜?殺すんじゃなかったのかよ〜』


『その予定だったんだけどね、此奴。かなり使えそうだからさ〜?』


『駿も馬鹿だよなぁ…俺は殺しといた方がいいと思うんだけど』


『大丈夫、僕に逆らわないような従順なペットに成り代わってると思うよ?』


駿は、そう言うと監獄の一部分を自分の足元に出現させる。


して、中から赤目の男の姿が現れる。男の瞳に光はなく、恐怖に支配されたように体を震わせている。


『ほら…ね?』


駿の言葉に唖然とした顔で見つめる一同。


監獄は、何処かへ消えた。


『俺の言う通りに動かないと、君らもああなるよ。ま、脅しみたいになってるけど…マジだからねっ?』


駿の解き放つ言葉が全て恐怖へと変換され全員の心を破壊していく。そんな風に見える。


それは、まるで仕方のないことかのように時間は過ぎていく。


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