偽悪者(フェイク)
十人の成功体は、人間の先の存在として研究者に謳われた。
私は、その存在が羨ましかった。
理由は簡単だ、外に出て自由な活動ができるということ。
私にとって自由はどんなに頑張っても掴み取れないものだった。
直ぐ近くにありそうで無い。
そんな存在。
自由とは、大きなものだ。
私は、戦争に参加することに決定した。出来損ないの兵士は、成功者の盾となる。
鉄則のように決まっていた。
戦争の結果は、日本の圧勝。
そして、私の勝利。
自分の能力を使いこなすのは難しいようでどんなに頑張っても上手くいかない。
火は出ない、風を巻き起こすこともできなければ水を操ることも出来ない。
私は戦争中、ある計画の実行だけに身体を動かした。
その計画とは…。
"自由奪回計画"。
自分の中のストーリーの始まりでもある計画。
能力は主な属性だけではない。
不思議な力を使える能力など、種類は様々。
自分の能力は"偽悪者"という力。
見た能力を一瞬で記憶し自分で使うことのできる力。
また、能力使用者の顔や姿に自分の身体を変えられるのだ。
私はこの力で、空吹楓となった。
今の名前は、空吹楓。
昔の名前は…柳瀬薫。
私は自分の兄の人生を作っただけ。嬉しかった。
凌駕の必死さに惚れそうで、父親を憎んで。
父親の名は、柳瀬刄。
刄は、凌駕を育てることを決意し薫を能力者実験体にと研究所へと提供したのだ。
小さい頃は、刄に対する憎しみを持っていたが。今では何もない。
寧ろ、自分で人生を彩れるようにしてくれたのだから。逆に感謝をしているくらいだ。
私が今まで殺してきた人は多い。
その人達のために、私は自分の人生に最後の仕上げをしようと思う。
私の…私達の本当の目的のために。