失敗作。
あの日からどれくらい経っただろう。未だにヤツには見つかっていない。当たり前といえば当たり前なのかもしれない。
自分にはやるべきことがある、その目的を達成するためならば、自分の中の全てを壊しても死ねない身体を殺しても構わない。
昔、そう心に決めたのだから。
私の本職は殺し屋。
自分の能力で人を殺すことを買われ殺し屋になったが、今では創作意欲の方が職を続けるに当たってのやり甲斐となっている気がする。
創作意欲、何の?だろうか。
私の考えはこう、人間は死んだ時、死ぬ前の人生を忘れてしまう。
忘れてしまうのだから、私がどんなに悪役になっていても味方になっていても人間から見れば意味はない。
しかし、ストーリーを自らが演出し自らが楽しみながら人を殺すことができたらさぞ楽しいだろう。私のしていることは、たったこれだけ。
私が彼らのストーリーを作り出している。それだけで一つの快楽に変わっていた。
私だけが出来ること。
私だけが人間を作れるのだとそう確信していった結果の答えが今。
軍事用能力者の実験体に選ばれた時もだった。絶対に失敗しないという事実。
その事実が偽りだと思い込んで、自らを地獄へと陥れていく者達。
能力者の成功体は、十人と世では言われているが、私は実際は異なること知っている。
何故?
それは私が失敗作だったからである。