走馬灯(前編)
柳瀬凌駕。
彼は武術都市を敵に回し闇に立ち向かった者。
しかし、勝てなかった。
そして、死んだ。
武術都市の闇は、また当然のように犠牲者を増やしたのだった。
凌駕は死んだ後、走馬灯を見た。
昔の俺は早くに母親を交通事故で亡くし父親に育てられてきた。
父親の名前は、柳瀬 刄。
閃光ノ剣と謳われ、武術都市最強の剣士だったのだ。
『父さん!俺も大きくなったら父さんみたいに強くなれるかな!』
『なれるさ!お前は俺の子供なんだからな!』
『うんっ!』
子供の頃に父さんに聞いた一言は今でも頭の中に蘇っていたほど思い出なのかもしれない。
『凌駕、お前に言わなければならないことがあるんだ。父さん、死ぬかもしれない』
十五歳の誕生日前日に突然言われた一言。冗談だろと言い返そうとするも父さんの顔は暗く本当のことだと言っているようなそんな気がした。
十五歳の誕生日。
凌駕の父親は死んだ。
無残にも身体を複数のビームで撃ち抜かれ頭を槌でトマトのように潰されていた。
TBVの人は、調査を続けると言いながら凌駕に父親の剣を渡した。
それ以来、凌駕は父親の仇を討つために誰が敵かも知れず、剣術をひたすら練習したのだ。
その時、一人の男が闇夜で笑っていたことに気づくこともなく。