無属性能力者。
その頃。
『雷ヶ峰 終。お前は奴らに負けたんだ。つまり、任務終了。』
『待ってくれ…父さ…ん…』
パァンッと銃声が鳴り響き、終の人生はそこで幕を閉じた。
肉の塊と化した終を剣城学園、学園長は肩に乗せて運ぶ。
『柳瀬 凌駕。お前はどこまで足掻くんだ。』
独りでにそう呟き、真っ黒に染まった空に視線を向けた。
『んで、前みたいに質問良いか?』
『御意』
目的地に着くといつもの通り結界を貼り中へと入る。
そうして、質問タイムを始めた。
『んと、無属性ってどんな力なんだ?』
『全てを無にする力です。つまり、私達のスキルが効かない力と言えば楽でしょう?』
『スキルが効かないってどうやって勝つんだ!?』
『勿論、貴方の持ち前の剣術で勝つしか手はありません。無理ならば私が闘います』
『無理じゃねぇけど!』
『なら、お願いします。』
変な緊張が凌駕を襲う。
凌駕は自分に言い聞かせた。
"いつもの通りやれば出来る"と。
『んじゃ、その日に向けて俺は寝るよ』
『推測では明日には来るかと…』
『明日!?』
『はい、推測の話ですが。』
凌駕等はその日は眠り楓は夜が明けるのを待った。
ドォーンッと音が鳴り響き、家を守っていた結界及び家は完全に消し飛んだ。凄まじい破壊力で。
『明日って言ったぞ〜?楓〜?』
破壊の中心には、黒髪の男が立っていた。まさにチャラ男のような顔つきをしている。
『まさか…六時に来るなんて…明日って言っても7時がベストじゃ…』
『そんな話、俺は知らね〜よ?さて、凌駕ってヤツを殺しに来たんだよね〜。だから、楓〜?退け!』
『退きません!私の主人なんです!』
その瞬間、男は笑い転げた。
『面白れ〜な、お前はアイツの眷属かよ〜なら、俺の敵だな。死ね!』
楓はその直後、風の力を使って衝撃波を生み出す。触れたものを切り刻む、そんなものを。
『俺にお前らの能力は効かないって知らね〜の?』
衝撃波は軽く弾かれ空中に消える。
『凌駕さん…貴方が起きるまでに私はこの人を…』
『俺を…?どうすんだ〜!!!』
黒い光を纏った拳を楓へと伸ばす。
楓に直撃すると黒い光は楓を纏った。
『もう終わりなんだぜ?お前はもう力を使えないってな〜?そして、ドーンってよ〜』
擬音が言葉に放たれた直後、楓の人体からは臓器、血液、全てが吹き飛び地面を赤く染めていく。
『私は…凌駕…さんを守らないといけないのに…』
それが楓の最後の言葉だった。
『起きろ!』
男の言葉に目が覚める凌駕。
『お前は?』
『俺か〜?お前の敵だよ〜』
直後、仰向けに寝ていた凌駕の腹部に拳をめり込ませ心臓を取り出すと握り潰した。
凌駕はその場で死んだ。
『お前さんは闇に勝てなかった一人の子供だ。分かるな?』
凌駕の意識は闇へと落ちていき、瞬間に何処かへ消えた。




