仲間の仇
『んで、これからどうするんだ?』
目的地に着き、中へ入ると椅子に座る。
山小屋のような場所で、壁も天井もギシギシと音を立てている。
『武術都市にもこんなところがあったんだなー…』
『いえ、私が作りました…』
赤面し顔を隠そうとする楓。
それを見て突っ込まずにいられなかった凌駕は。
『もっと真面目に作れよ!!!』
『申し訳ありません。私、こういうの苦手で…崩れないのは風で抑えているからであって…』
『あー…しゃあない…もう寝るよ』
『おやすみなさい』
部屋を軽く灯していた電気を消し眠りについた。
朝目覚めるも足音とガサゴソという音が聞こえる。
『まさか…!!』
素早く剣を手に取り構えようとすると。
『あんたら、ここで何をしとるんじゃ?』
見るとそこにはお爺さんが立っていて、ニッコリと笑顔を浮かべていた。悪意のある笑顔を。
『ホーム…レス?』
『いやいや、まさかここで指名手配犯に会えるとはなぁ〜。んで、あんたをわしは通報すればお金釜たんまり入るってことやな。』
『その場合は誰であろうと斬るしかねぇな…』
『早まるな早まるな、ワシ全員電話を持っておらん。金もないから公衆電話も使えん。それに、ワシはお前さんを見殺しにすることはできないんじゃよ』
お爺さんは優しい顔で携帯電話を手にしていた。
『嘘かよ!?』
その瞬間だった。
雷のプラズマがその場に落とされ地面を削り付近の電気機器を使用不可にしたのは。
『何故じゃ!ワシの携帯が使えんだと!?』
『なっ…!?まさか!』
『よォ、こんなところで何やってんだァ?』
空中で両掌にプラズマを乗せている終の姿があった。
『お前、腕がある!?』
『俺ら能力者の再生力を舐めんなよォ?』
『能力者に勝つ必勝法は私との共闘です。よろしいですか?』
『あぁ、行くぞ!』
凌駕は剣に手をかけ体勢を低くし剣を鞘から抜かぬ状態で構える。
『お前らなんてなァ?大したことねェんだよ!』
プラズマが凌駕を襲う。
しかし、凌駕には届かずプラズマは弾かれ空中で消えた。
『あァ?』
『お前には俺らを殺すっていう善もある。だけどな!俺には俺の悪があるんだよ!』
『笑わせんなァッッ!!!』
二個目のプラズマをも弾く。
弾いたプラズマは終の元へと向かっていく。
『お前、馬鹿じゃねェ?』
終はプラズマをもう一度自分のものへと変えようとする。
が、変わらず終に直撃する。
『何故…だァ…ッ!!!!』
凌駕は、プラズマが終へめり込んでいる最中。空中にいた。
そして、終の頭上に刃をチラつかせると真下に向かって振り下ろす。
『まさかァ…俺が負けるなんてなァ…』
終は最後にそう呟くと、真っ二つに裂かれ赤い液体を噴出しながら地面へ落ちる。
『お前の善は俺の悪に勝てなかったってだけだよ』
その瞬間、頭に激痛が走り頭の中に直接声が聞こえるように感じる。
『お前が柳瀬 凌駕だな?お前の今の状況は武術都市を完全に敵に回している。諦めろ、雷ヶ峰 終を倒したくらいで粋がるなよ。お前の死は決定している』
『なんだよ…今のは…』
『無属性の能力者の仕業ですよ。無論、今の声は彼の声ではありませんが。終さんを倒して次にぶつかる相手が決まってしまったようです。』
『無属性能力者ってことか?』
『はい。無属性能力者の磨崖 狂という人物です。』
『ソイツは武器のスキルには無いような…』
『はい、だから無属性なのです。』
『成る程ね…』
『取り敢えずですが、移動します。行きますよ』
『あぁ、今度はマシな家だと良いぜ』
凌駕等はその場から移動し別の目的地へと足を運んだ。




