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12分  作者: 杏樹
4/5

第1章 4

 そうして迎えた去年のコンクールは、ダメ金。嫌がりながらも真面目に取り組んでいたから悔しいと思ったが、終わって良かった、というほっとした気持ちの方が大きかった。結果発表後、会場外の公園で、先輩たちが悔しさに号泣し、同期が来年度への抱負を口々にする中で美果は、輪の一歩外で何も言わずに街灯を眺めていた。

「美果は、コンクール好きじゃないんだ」

突然声を掛けられ、我に返る。いつの間にか榊原が隣に立って美果と同じ方向を眺めていた。

「正直、あまり好きではないです…」

「なぜ?」

「その団体が、どんな環境でどんな背景で練習してきたのか、という過程を無視して、たった十二分間でその音楽を点数化出来るとは思えないからです」

思うところを正直に述べる。

「なるほどねぇ。それでも、出てくれたのね」

「好きではないですが、悪いとは思ってませんから」

「それはまた、なぜ?」

「自分の技量と向き合う良いきっかけになるからです。技術は点数と違ってコンクールの後まで自分のものとして残るものですから」

「自分のものとして残る、ね…」

榊原はそう呟いて輪の方に戻っていった。

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