命の儀式
「どう斬牙さん。あれから何か変化あった?」
「いや。変わったことはないな」
甲多と斬牙は、互いの眼を見合う。
「……お前ら……見合うのやめろ」
雁斗が間に入った。
「だって怖いじゃん! いきなり眼の色が変わっちゃうんだよ!」
「だとしても、だ! 学校でも見合うのは止めろ。周りから誤解されっぞ!?」
「誤解? どういう意味だ」
「……ほっ、ぼ……イズ……あああ! 言いたくねえ」
「ボーイズラブがどうしたのよ」
羅阿奈が来た。
「馬鹿野郎! ハッキリ言うなよ!?」
「所詮誤解でしょ。好きに思わせとけばいいんじゃない?」
「お前、そりゃキツイだろ!」
「そう? なんにせよ、関心を持たれないほうがキツイでしょ。どのみち、美加ちゃんと舞莉愛ちゃんが黙ってないけれど」
羅阿奈は、教室に戻っていった。
「どどどどうしよー! 誤解されてたら!?」
「待て。早まるな甲多。ほら、俺達、噂されてるじゃないか、舞莉愛や美加と。だから平気のはずさ」
斬牙が甲多を落ち着かせる。
「……それも……どうかな」
甲多は、困惑している。
「ハッキリさせちゃえば?」
羅阿奈が言う。
「ラー嬢、聞いていたのか」
「私が後押ししてあげないと、だーれも進展しないもの。アノンとの戦いの前に、恋の戦いを終わらせなさいよ」
「恋の戦い!?」
甲多がオドオドする。
「甲多君、色々と遠慮してない? 美加ちゃんを想ってのことだとしたらやめなさい。美加ちゃん、きっと待ってる筈よ……甲多君の気持ちを」
「僕の……気持ち、かあ」
「斬牙君も。花さんだっけ? 斬牙君にアプローチ仕掛けてるみたいだけど、中途半端な優しさは、却って相手を残酷にするものよ。斬牙君が、誰を好きになって選ぼうが勝手だけど、ハッキリさせるなら早いことに越したことはないわよ。恋って、そういうもの」
「ハッキリか」
「……ていうか、男が廊下で雁首揃えて駄弁ってるほうが、よっぽど誤解されるっての」
「あ、先生だよ。教室に入ろう」
三人は、教室に戻った。
※ ※ ※
「人間、食らう」
「駄目って。下手に身体を傷物にしたら、生き返らせれないってば。殺していいのは、抹殺師だけ。お分かり?」
「……抹殺師、食らう……」
「そうそう。理解が早くて結構。ホント頼むよ」
冷獣人を閉じ込めていた檻が、一斉に開いた。
「抹殺師だけだかんねー!」
アノンが大声で伝える。
「儀式をやるのは簡単さぁ。けど、その前に抹殺師を消す。ま、冷獣人等じゃ役不足だろうけど」
街に雨が降り注ぐ。
「儀式日和てか」
アノンは、不敵に口元を緩めた。




