そして、開戦
「こりゃまあ、揃いも揃って」
「おじさん。凄い人達が集まったね!」
迅と螺雨の元に、雁斗達が集まっていた。
「む? パーティーでもするのかね?」
「誰がするかよ」
「では、紫。これは、どういうことだ」
「前に話した斬牙が、あんたに会いたがってたんで連れてきたんだ」
「……どうも」
斬牙がレクイエムに挨拶する。
「また野郎か。たまには可愛い娘はいないのかい」
「可愛いは別にして、女子なら居るぜ」
雁斗が指差すやいなや、レクイエムは走っていく。
「やあ、お嬢さんたち。まだ幼さがあるが、あと六年もすれば立派な女性に……」
「おい」
雁斗はレクイエムの首根っこを掴み、引きずっていく。
「紫、邪魔するとは!」
「あんた、実年齢を考えろ! 親父と変わらないんなら、二回りも上だろが!」
「年の差など関係ないよ! 愛さえあれば!」
「冗談じゃねえ」
「う~」
「雁斗、無理に離すのは」
「ほっといたら、舞莉愛にも何するか分からねえぜ?」
「舞莉愛に何かするつもりだったのか!」
レクイエムに斬牙が詰め寄る。
「誤解だよ、白」
「白じゃない!」
斬牙がレクイエムに説教している。
(……さっきからなんなんだ……)
雁斗は周囲を窺う。
(これで隠れてるつもりか?)
「おりゃ!」
雁斗が木を蹴ると、人が落ちてきた。
「バレていたか」
「誰?」
「……秋良だ」
「知らねえ」
雁斗は秋良に背を向けた。
「都心での騒ぎを知らないか」
「……戦ってたのは俺達だけど?」
「やっと見つけた」
秋良が刀を振るってくる。
「……随分と……血の気が多い奴だ!」
雁斗もガントレットで防いだ。
「お前、名は?」
「桜庭雁斗だ」
「雁斗がガントレットを使う、か。面白い」
「シャレのつもりはねえけど」
「こらあああああ!」
コーヒーをすすりながら、女子が叫ぶ。
「あ……」
「何をやっておるのじゃ!」
「燐、これには事情が!?」
「知らぬ! 冷獣討伐の加勢のために来たのじゃぞ? 助ける相手に刀を振ってどうするか!」
燐は腰に手を当てて説教した。
「手荒な真似をすまぬ」
「構わねえよ。手を貸すに値するか確めたんだろ」
「心遣い、感謝するのじゃ」
燐は頭を下げた。
「まあ、なんだ。向こうで纏まった話をするから加わってくれ」
秋良と燐も雁斗達の輪に加わり、斬牙がレクイエムから抹殺師と冷獣の成り立ちを聞いた。
「……元凶の張本人が言うのは、虫が良すぎるだろう。だが、一刻も猶予は許されない。進化した冷獣は、これまでとは次元が違う。一国を守るため、協力してほしい!」
レクイエムが頭を下げた。
「虫が良すぎだ。そして、甘すぎだ。人間、都合よくはいかない」
「これ、アキ!?」
「……だが事情が事情だ。関係のない人達まで巻き込むのは御免だ。レクイエム、オレが尻拭いしてやる」
「感謝する」
「レクイエム。それで、その進化した冷獣は、どこに居る」
迅が訊く。
「まだ、どこにも居ない。現れるのは、おそらく春だろう。それまでにできるだけ冷獣を倒さなければ」
「決まりだな! 冷獣を倒しまくって、進化する冷獣の数を減らさねえとな!」
「口では簡単に宣言できるが、そう上手くいかないのが現実だ」
「おまっ!? せっかくのやる気を削ぐようなことを言うなよ!」
「お前は張り切り過ぎると無茶をするからよ。やる気を少し削いでやったんだ」
「斬牙、そういうお前は少しでも、やる気だせ!」
「雁斗、お前に言われなくても……そのつもりだ!」
斬牙の瞳に決意が宿る。
「僕達なら大丈夫だよ! いっぱい修行したし、こんなに心強い仲間がいるんだもん!」
「あたしだって、抹殺師じゃないけど、きっと助けになれるときがきたら頑張るわ」
美加が決意を口にした。
「背中は私に任せなよ。必ず、命中させるから」
羅阿奈が言う。
「信じてます、皆さんを」
舞莉愛が言う。
「支えてくれる者が居る。それだけで力が湧くものだ」
「兄さん!」
「久しぶりだ、甲多。元気そうだ」
「僕は元気だよ!」
「……レクイエム、我も協力しよう。冷獣そのものが、この夏で強くなっている。一筋縄ではいかない」
「孤高まで加勢するとは……やれやれ、私は罪な男だ」
レクイエムが微笑む。
「もう戦いは始まっている。気を引き締めるぞ!」
「「オー!」」
迅の檄を聞いて、一同が気合いを入れた。




