表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
抹殺師  作者: 碧衣玄
48/80

接触

「母さん、ちょっと出掛けてくるよ」


 甲多が靴を履く。


「雁斗君の家に?」


「ううん。レオの様子を見たいんだ」


「そう。あまり遅くなっちゃ駄目よ?」


「はーい」


 甲多は玄関を出ると、レオの家に歩いていく。


※ ※ ※


「……暑いなあ……」


 日除けに帽子を被っていても汗が吹き出している。


「いるかな」


 レオの家に着くなり、犬小屋を覗きこむが、レオの姿が見当たらない。


「家の中かな?」


 甲多が呼鈴を鳴らすも応答がない。


「おっかしいなあー。この時間なら間違いなく居るのに」


「ワン!」


「?」


「ワン! ワン!」


「レオ!?」


 甲多が勢いよく玄関に向かう。


(開いてる!)


 甲多は慎重に扉を開いていく。


(いつもなら、しっかり戸締まりされているのに、鍵が開いたままなんて)


 玄関へと足を踏み出すと、鼻を衝くような臭いが立ち込めている。


「レオ?」


 靴を脱ぐと、静かに足を進めていく。


「ワン!」


 レオが甲多の匂いに気付いて駆けてきた。


「レオ!? あかりさんは?」


 レオは甲多のTシャツの裾をくわえながら引っ張る。


「どうしたの!?」


 レオの動きに従って居間に向かうと、人が倒れていた。


「あ、燈さん!?」


 甲多は血だらけで倒れている女性に駆け寄る。


(脈はある……息もある!)


 甲多は救急車を呼んだ。


※ ※ ※


「慎重にお願いします」


 十分後、燈を乗せた救急車を甲多は見送った。


「ワン!」


「レオ、何があったの?」


「ワン! ワン!」


「お前が話せるわけないよね」


 レオの頭に甲多は触れる。


「見たよ」


「えっ?」


 思わず甲多がレオを見る。


「違う。後ろだ」


「後ろ?」


 甲多が振り向くと、短髪の少年が立っていた。


「この家にマスクをした人が入っていった。五分程で出てきたが」


「どっちに行ったか判らない?」


 甲多が道を指す。


「あっちだ」


「あっちなら、古商店のお婆さんが見ているかも!」


 甲多は靴を履く。


「情報があったら知らせてくれ。警察には、ありのままを話しとく」


「でも僕が発見者だし!?」


「残念ながら、第一発見者は私なんだよ。キミは第二。話なら任せといて」


 少年は腕時計を確認する。


「分かった。僕はお婆さんに訊いてくる!」


「頼んだよ」


 少年は胸ポケットから写真を取り出す。


「迅、待ってろよ」


 写真の迅は笑顔で写っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ