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抹殺師  作者: 碧衣玄
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冴える2人

【ダイスキダ。アイシテル】


(……こんにゃろ……)


「お風呂の時間になってるのに!?」


「入浴時間は九十分。部屋に居ても不思議じゃねえ」


「そんな!」


「女子の風呂は長いんだろ? とりあえず俺に任せて行ってきな」


「頼んだのはこっちなのに」


「気にすんな。俺も正体を暴きたいしな」


「すまないよ! あとで合流するから」


 女子は浴場に向かった。


「うんじゃま、三階に行くか」


 雁斗は三階への階段をかけ上がる。


「雁斗さん!」


「とっ! よう、甲多」


「どうしたの? そんなに急いで」


「訳はあとで話す。ゆっくり風呂入ってきな」


「うん!?」


 首を傾げる甲多を尻目に雁斗は走り去る。


「よっと!」


「ん? 誰?」


 部屋から眼鏡の男子が出てきた。


「三組の桜庭だ。なあ、変な電話なかったか?」


「鳴りはしたが出ていない。どうせ面白半分に内線電話を掛けて誰かが遊んでるんだ」


「そうか。一組の各部屋にも不審な電話があったんだ。念のため気い付けな」


「用心する」


 雁斗は次の部屋に行く。


「不審な電話?」


「あったか訊いて回ってんだ」


「特にないけど?」


「ならいいんだ。まあ念のため注意してな」


 雁斗は他の部屋も訊いていく。


※ ※ ※


「ごめんなさい! 付いてきてもらっちゃって」


「気にしないでくれ。ゆっくり出来たかい?」


「はい。いい湯でした」


 斬牙と女子は部屋に戻っていく。


「ありゃ?」


 斬牙の視線の先に雁斗が居た。


「斬牙じゃねえか。二組の階で何やってんだ?」


「そう言うお前は何してる?」


「犯人捜しだ」


「犯人? 何の事だ?」


「話すと長くなる。そんなことより、隣に居るのは?」


「わたしは花です。無理言って紅君にボディーガードをしてもらってます」


「ボディーガード!? 命でも狙われてんのか?」


「違うの。ホテルに着いてから、部屋の電話が変で……線は抜いてあるけど、やっぱり怖いですから」


「もしかしてよ……ダイスキダとかアイシテルとか?」


「そうです!」


「妙に詳しいな。事情を話せ、雁斗」


「おう」


 雁斗は斬牙に事情を話した。


「そんなに電話が鳴ったのか!?」


「わたし以外にも!?」


「そういうこった。次は四階、俺達のクラスだ」


「分かった。こんなこと早く止めさせよう」


 三人は四階に上がる。


「お! やっと戻ってきたかあ!」


「すまねえイッチ。変な電話なかったか?」


「あっただよ。気持ち悪くて切っちまったけど」


「分かったぜ。風呂は先に行っててくれ」


「お? 桜庭と紅は?」


「俺達は、その電話の主を見つけたら行く」


「そか。桜庭が言うなら仕方ないか。頑張って捜してくれな!」


 イッチは浴場に向かった。


「さてと」


 三人は他の部屋も訊きに回った。


「……あとは五階と六階だな」


「あの……これで両方有りだったとして、どうやって電話の主を捜すんですか?」


「なに……勝手に出てくるさ」


「紅君?」


「その為にも上に行くか」


 三人は五階、六階と、立て続けに訊きに回った。


※ ※ ※


「……結局、有り。でしたね」


「でも電話線は抜いたんだ。直に尻尾を出すさ」


「紅君、それってどういうことなの?」


「俺達は別に内線なんか使えなくたって困らない」


「そうですが」


「困るのは今回の犯人くらいさ」


 斬牙は自信ありげに答えた。


「んじゃ、風呂行くか!」


「そうだな。そろそろ終わってしまう」


「ごめんなさい。色々と」


「気にすんなって。斬牙は、お人好しなだけだ」


「花さんは部屋に居てくれ。あとで行くから」


「分かりました」


 雁斗と斬牙は、花を三階に送ると、一階の浴場に行った。


※ ※ ※


「どんなのが尻尾を出すのか楽しみだぜ」


「雁斗。お前、人が悪いぞ」


「知ったことかよ」


「もうすぐ入浴時間、終了ですよ」


 男湯の監視担当の先生が二人に声を掛ける。


「二十ー時半からの集まりまで三十分。おそらく電話の主は、この三十分の間にアクションを起こす」


「警戒することに越したことはない。花さんの部屋に行くぞ」


 雁斗と斬牙は浴場を出ると、花の部屋に行った。


※ ※ ※


「あ、お二人共!」


「少しの間だったが変わりなかったかい?」


「はい! ほかの部屋も何もないみたいです」


「それはよかった」


 斬牙は安堵した。


(そろそろ、だな)


「おーい! 全部屋の電話が通じないと、ホテルから苦情が来てるんだけど!」


「そりゃあ、俺達が抜いたんですから」


 雁斗が担任に答える。


「はあ!? 雁斗君、何を考えてるの!」


「だって不審な電話が相次いでるんで」


「なんだそれ……先生、聞いてないよ?」


「まあまあ……これで犯人の目星は付いたから」


 雁斗が担任を抑える。


「先生、このホテルの電話係の人を呼んでほしいんですが……」


「斬牙君まで……呼ぶのは構わないけれど、失礼のないようによ?」


「分かってる」


 雁斗が担任と一階に降りた。


「あの……電話係りの人が何か?」


「下に行けば判るさ」


 斬牙は花達と共に一階に向かった。

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