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抹殺師  作者: 碧衣玄
19/80

砂漠の迷宮

「何にもえ。よりによって何で砂漠なんだ」


「おい雁斗。迂闊に飛び込むな。何があるか分からんぞ」


「知るかよ。だいたい、どうやって砂漠までワープしたのかも解らねえんだ。俺達を乗せてきた物体は冷房が効いているわけじゃねえ。中にいれば蒸し焼きになっちまう。だったら少しでも可能性のある方を選ぶ……俺は」


「それなら日が落ちてからでも良い筈だ」


「待ってられっかよ。俺が暑いのが嫌いなの知ってるだろ?」


 斬牙の言うことに耳を貸さずに雁斗は歩きだす。


「どうするの斬牙さん?」


「……仕方ない。甲多と美加は中で待機してくれ。どのみちその足じゃ満足に動けないだろう?」


「でも暑いんでしょ!? あたし堪えられないわよ」


「安心しな。ちゃんと有ったよ」


「それなら平気だけど」


「美加。甲多と留守番、頼んだ」


 斬牙も砂漠に降り立つと、雁斗の元に駆け寄る。


「結局、追ってきたのかよ」


「砂漠での単独行動は危険だぞ」


「んなもん、砂漠に限ったことじゃねえよ」


 しばらく砂漠を歩くが、何も見当たらない。


「……」


「雁斗!?」


 雁斗は暑さのあまりに倒れこむ。


「……アッチーーー!!」


 が、砂の熱さで飛び起きた。


「面白いように汗が絞れる」


「アホか~斬牙ぁぁ~。それだけ身体中の水分が持ってかれてるってことだぜぇぇ~」


 雁斗も着ていた服を脱いで絞る。


「お前のほうが重症じゃないか!」


「言ったろ……暑いのは嫌いだってよ……」


「馬鹿か! さっきので懲りたろ!」


 倒れた雁斗を斬牙が起こそうとする。


「ちからが……入らねえ!?」


「どうなっている!? ……このままじゃ」


「「!?」」


 抵抗むなしく、二人は砂に飲み込まれた。


※ ※ ※


「……くっ! ……ってー!」


 雁斗が意識を取り戻す。


「……って冷てー!?」


 身体中に伝わる冷たさに飛び上がる。


「なんで水が溜まってんだ?」


 訳が分からず辺りを見渡す。


「……斬牙!!」


 雁斗は斬牙を見つけて駆け寄る。


「おい……おい!!」


「うっ!!」


 斬牙が目を覚ます。


「……くたばってなくて上出来だ!」


「そもそも、お前が砂漠で倒れなきゃ、こうはならなかった……って水だと!?」


 斬牙も水が溜まっていることに驚く。


「……どう見ても人為的に造られた空間だ。砂漠とは、似つかない岩壁に足首までの水だ」


「そうだとして、ここは何なんだ?」


 斬牙が天井を見る。


「どうしたんだ?」


「雁斗。見てるようで見てないな? 砂漠から落ちたなら、天井は少なくとも砂で出来ててもいいはずだ」


「単に天井に仕掛けがあるだけだろ?」


「まあ、どのみち早いとこ出たほうがいいに越したことはない。進むぞ」


 それから二人は、道なりに進んでいく。


「斬牙。あっちはどうだ」


「雁斗。こっちに進もう」


「……どうなってやがる! 行く道行く道、結局最初の場所に戻ってきちまう!」


「階段や扉は見当たらなかった。念のためと壁や天井も確かめたが何もなかった」


「……気のせいか……水かさが増えてねえか?」


 いつの間にか、水が膝まで増えていることに雁斗は気づく。


「ヤバイぞ。このままでは水で身動きがとれなくなる」


「壊すか。天井」


「冷静になれ雁斗。天井を壊したら、大量の砂に埋まって身動きがとれなくなる。自滅するぞ!?」


「……どうしたらいいんだ! チクショ!」


 雁斗は拳を水に叩きつける。


「熱くなるな雁斗! 少し頭を冷やすんだ」


「……頭どころか身体中が冷えちまってるよ。……おかげで冴えてきたぜ!」


「冴えてきた?」


「水かさが増してるってことは、つまり水が湧いてるってことだ。なら、一か八か水を勢いよく出させて、その勢いで砂を突破するんだ」


「無茶苦茶な提案だが……他に手は無さそうだな」


 斬牙は納得した。


「んじゃ頼んだ。俺は斬る専門だ」


「仕方ないな。いくぞ!」


 斬牙が短剣を力強く突き立てた。


「駄目か。ならば」


 斬牙が長剣を突き立てる。


「そう簡単にはいかないか」


 何度も何度も繰り返し長剣を突き立てる。


「無理そうか? 斬牙」


「……見くびるな」


「え!?」


 次の瞬間、勢いよく水が噴き出した。


※ ※ ※


「ねえ甲多。なんか揺れてない?」


「そう?」


「気になるわね」


 美加が甲多の風で上に登る。


「何かあった?」


「……水が……噴き出してる!」


「えええ!?」


 甲多も登る。


「砂漠に水が湧くなんて凄いわ!」


「でもなんか違和感あるよ」


※ ※ ※


「なんとかなったな!」


 雁斗は横たわる。


「砂は熱いぞ。……というか、しょっぱいな」


「なんで海水が湧くんだ!?」


「地震か!?」


 斬牙は体勢を整える。

 水が噴き出した場所から建物が現れた。


「抹殺師! よくもボクの貯水槽を! 許さない!」


「その声は!?」


「俺達を閉じ込めた罪はデカイぜ?」


 雁斗が言う。


「程度が知れる!」


 建物の周辺に謎の機械が現れた。


「気を付けろよ雁斗。相手は物体をワープさせたり、砂漠に理由は分からんが貯水槽を造って、尚且つ大層な科学力を持っているような奴だからな」


「よく分かんねえが、抹殺師を狙ってるってんなら容赦しねえ!」


 雁斗は抹殺器を呼び出した。

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