boo life
フロアのいちばん前、
青く揺れる髪が、ステージのライトを跳ね返していた。
好奇心むき出しの目。
笑えば、ライブハウスの空気ごとふわっと軽くなるsmile。
優は心の中でつぶやく。
――やっぱり、booはqueenじゃな
モニターから返ってくるビートは、
地球君が組んだ「boo life」のラフミックス。
キックの隙間に、あの日ノートに走り書きしたラインが浮かんでくる。
> 好奇心旺盛のbooはqueen
> deepなblueな髪がflowして
> cuteなsmileがfloorを照らす――
言葉は少しずつ形を変えながら、
ステージ上の優の舌の上でリリックに変換されていく。
フロアの真ん中。
道端のflowerみたいに、
人ごみの中でひときわ自然体なbooがいる。
メイクもファッションも決めてるのに、
どこか土の匂いがするような、
「生きるpower」をそのまま纏ってるcolor。
keep ya coolなLIFEのまま、
MOSHしても、笑っても、泣いても、
いつだって彼女は「booのまま」。
Rock starみたいにブレないその姿は、
優にとって永遠のhookだった。
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ライブが終わり、
終電ギリギリの時間、二人はいつもの店にいた。
「二人で会う時はさ、やっぱバーキンやんな」
「間違いないね!!チーズのJrに、チリポテトは3。」
booが指を三本立てて笑う。
店員が「オレンジジュースと、オニオンリングと、シーザーサラダですね」と復唱する。
ストローとフォークをトレーに乗せながら、優は心の中でリリックを更新する。
> 二人で会う時 食べるバーキン
> チーズのJrとチリポテ3
> オレンジにオニオンにシーザー
> 小さな日常がverseになる…
紙コップを軽く鳴らして“cheers”。
booはフルーツの入ったジュースをひと口飲んで、
「これ、freshすぎてヤバい」と笑う。
――この何でもない夜を、
俺は一生忘れれんのんじゃろうなぁ
優はそう確信していた。
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別の日。
公園のベンチに並んで座る二人の頭上では、
風で揺れる木々とflowerが、
ささやくようにざわめいている。
booがふいに、遠くの空を見つめながら言った。
「昔さ、めっちゃlonelyやったときあってん。
あの頃のpain思い出したら、今でもちょっと涙出そうになる。」
優は何も言わず、
コンビニのビニール袋から小さな箱を取り出した。
「これ、今日な、道端で見つたんで。」
booが不思議そうに箱を開けると、
中から小さな木の笛――バードコールが顔を出した。
「それ、回したらさ、ちっちゃい鳥の声みたいなんよ。
お前の中の“little bird”が、いつでも自由に歌えるように。」
ぎゅっと唇を噛んだbooの目に、
秋空みたいな透明な涙が光る。
優はそっと、彼女の青い髪をなでる。
> どんな事だって乗り越えてきたboo
> 胸の奥で風が吹く
> LIFE OF LOVE
> boo are so sweet
> 自然の空気が 今を包む…
声に出さなくても、
心の中ではずっとそのラインが鳴っていた。
バードコールを回すと、
小さな鳥の声がlove songみたいに響く。
――the lil bird sing for love.
booが笑うたび、
優の潜在意識のどこか深い場所が、
静かにアップデートされていく。
自分を責めていた声が少しずつ小さくなり、
代わりに「それでも生きてええよ」という
優しい風が吹き込んでくる。
それは、地球君がずっと送り続けていたシグナルと
ぴったり同じ周波数だった。
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季節はAutumn。
楓の葉が舞い落ちる並木道を、
booの青い髪と、空のblueがシンクロしながら歩いていく。
「見て、この楓。魔法みたいやろ?」
booが一枚の赤い葉っぱを、
優の手のひらにそっと乗せる。
「あの頃の私にはさ、
この景色すら見えてなかったかもしれん。
でも今は――
なんか、全部ありがたいって思える。」
優はbooの横顔を見つめる。
painも、lonelyも、涙も、
ぜんぶ通り抜けたあとに立っている「今」のboo。
> 風で揺れる木々やflower
> 奇跡のhour 感じたまま
> 胸の奥で優しく風が吹く
> そう、booはまるでnirvāṇa…
地球君の視点から見れば、
この瞬間は銀河のど真ん中みたいに輝いていた。
優のDharma of ugly。
「醜さごと愛する」って決めた道。
その真ん中に、booの存在が大きな灯台みたいに立っている。
笑わせてくれるワードセンス。
スピリチュアルな直感。
それでもどこまでも人間臭くて、温かいsix sense。
優は心の中で、小さく呟く。
――i love you. boo like an Angel.
楓みたいなAutumn’s magicを、
俺の人生に連れてきてくれて、ありがとう。
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帰り道。
駅のホームで電車を待ちながら、
booがふいに真剣な目で優を見る。
「ねぇ、優。
“boo life”みたいな優しい曲も大好きやけどさ。
あんたの中にまだ、
『あの闘い』のまま止まってるビート、あるやろ?」
優の胸の奥で、
「麻薬のネズミ編」と呼んでいる過去がざわめく。
booは続ける。
「逃げんと、それもちゃんと歌ってきて。
私、いちばん前で聴いてるから。
あんたがDharma of uglyをLIVEでかます姿、
ちゃんとこの目で見たいねん。」
電車のライトがトンネルの奥から近づいてくる。
風が吹き抜け、booのblueが揺れる。
優は深く息を吸い込んで、
ゆっくりと頷いた。
「…わかった。
次は、“我等の闘争”じゃな。」
地球君のどこかで、
新しいトラックのタイムラインが静かに開く。




