表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴミスキルと呼ばれた少女は無限を手にする  作者: 森のカフェしっぽっぽ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/23

第23話 黒扉の向こう側と世界の中枢

 白い空間が砕け、消えたあと――


 三人の前に残されたのは、ただ一つ。


 巨大な黒の扉。


 それは“存在している”というより、“そこにあると認識させられている”ような奇妙な違和感を伴っていた。


 輪郭ははっきりしているのに、視線を外すと形が曖昧になる。


 近づこうとすれば距離感が狂い、遠ざかれば逆に近づいたように感じる。


 まるで、空間そのものが歪んでいるかのようだった。



「……気持ち悪ぃな」


 ガルドが顔をしかめる。


 盾を構えたまま、一歩踏み出そうとして――止まる。


「距離感がおかしい」



「うん」


 アイリスも同じ感覚を共有していた。


(これ、単純な物理じゃない)


 座標そのものがねじれている。


 “扉”という見た目をしているが、実際には――


(空間の接続点)



「触れるなよ」


 ガルドが念を押す。


「普通じゃねぇ」



「分かってる」


 アイリスは軽く頷いた。



 リーナが静かに前へ出る。


「確認する」



「待って」


 即座に制止。



「ここは慎重に」



 リーナは一瞬だけアイリスを見る。


 そして、わずかに頷いて下がった。



「……どうする?」


 ガルドが問う。



 アイリスは扉を見つめる。


 そして、ゆっくりと息を吐いた。



(普通に触ったらアウト)


(でも――)



「バグで触る」



「は?」


 ガルドが固まる。



「そのままの意味」



 アイテムボックスを開く。



 手を入れる。



 出す。


 戻す。



 繰り返す。



 だが今回は、今までとは違う。



 対象は“物”ではない。



(空間そのものをズラす)



 意識を集中する。



 アイテムボックスの内部。


 外部。



 その境界を曖昧にする。



「……おい、それ」



「黙ってて」



 集中を切らさない。



 出し入れ。


 出し入れ。



 やがて――



 “手”がブレる。



 実体が二重になる。



「……よし」



「何がよしだ」



「触れる」



 アイリスはそのまま、黒い扉に手を伸ばす。



 本来なら、触れた瞬間に何が起こるか分からない。


 消滅するかもしれない。


 転移するかもしれない。



 だが――



 ブレた手が、扉に“重なる”。



 そして――



 何も起きない。



「……通れる」



「マジかよ……」


 ガルドが呆然とする。



「多分、“認識トリガー”を回避してる」



「つまり?」



「普通に触ると発動する処理を、ズラして無効化してる」



「……分かるようで分からん」



「気にしなくていい」



 アイリスは一歩踏み出す。



 そのまま――



 黒い扉の中へ。



 リーナが続く。


 ガルドも覚悟を決めて踏み込む。



 そして――



 世界が変わる。



 次に視界が開けた時。



 三人は、“空”に立っていた。



「……は?」


 ガルドが間の抜けた声を出す。



 足元には何もない。


 だが、落ちない。



 周囲には、無数の“光”。



 それは点のようであり、線のようでもある。



 流れている。


 絶えず、動いている。



「……これ」



 アイリスの目が細くなる。



(見覚えがある)



 ゲーム時代、開発者向けに流出した資料。


 そこにあったイメージ。



「……データ層」



「データ?」


 ガルドが首を傾げる。



「世界の裏側」



 簡単に言う。



 リーナが周囲を見渡す。


「敵は?」



「……いる」



 アイリスの視線の先。



 そこに――


 “それ”はあった。



 巨大な構造体。



 結晶でも、機械でもない。



 だが、どちらにも見える。



 絶えず形を変えながら、光を放っている。



「……あれが」



「中枢」



 確信だった。



(全部の原因)



 その瞬間。



 構造体が反応する。



 光が収束する。



 そして――



『……異常侵入者……検知』



 今までとは違う声。



 より明確で、より“上位”。



 空間が震える。



「……来るね」


 アイリスが静かに言う。



 ガルドが笑った。


「ここまで来たら、やるしかねぇな」



 リーナも構える。



 三人の視線が交差する。



 ゴミスキルと呼ばれた力。


 それは、世界の中枢へと到達する。



 そして少女は――


 “この世界そのもの”と対峙する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ