ああ、香しき貴公子達よ。
フォードン第四王子
レデイ公爵令嬢 フォードンの婚約者
ピュア男爵令嬢
「キャー!」
学園内に響く女性の悲鳴。彼女は現在、在学中の貴族子女の中で最も最高位にいる公爵家の令嬢レディ。
「殿下、皆様もお止めください!」
「また、お前か」
レディを煩わし気に見返すのは、婚約者である第4王子フォードン。周りには学友の宰相の息子、騎士団長の息子、魔術師団長の息子、そして男爵令嬢ピュアがいた。彼らは立ち入り禁止区域の芝生の上に座り、寝転ぶ者までいた。
「今すぐ、そこからどいてくださいませ!」
他の生徒も集まり出す中、レディは王子達に呼びかけるが、従う者はいない。
貴族達も屋外でピクニックなどを楽しむ事もあるが、その際はマットを敷き、テーブルと椅子を配置する。地べたに直接座るなどあり得ぬ行為だ。マナー違反どころではない。
第4王子フォードンと公爵令嬢レディは子供の頃からの婚約者であるが、あまり良好とは言えなかった。堅苦しさを嫌悪するフォードンに対し、レディは青き血を持つ者としての格式と義務を求めた。
フォードンの学友である宰相、魔術師団長、騎士団長の息子達も王子同様、貴族の習慣に息苦しさを感じており、彼らは自分達の親や婚約者に反発するようになる。
そんな彼らは、辺境出身の男爵令嬢ピュアを「友人」として傍に置いている。ピュアは成績は優秀だが、のどかな地域で育ったためマナーを知らず、コロコロと表情を変え、大きな声で笑う素直な少女だった。地方では咎められる事はないだろうが、中央貴族の多い学園では眉を顰められた。
レデイはフォードン達にもピュアにも、節度とマナーを守るべきだと何度も注意しているのだが、王子であるフォードンが聞き入れないのだ。ピュア達もそれに倣った。
フォードン王子達とレデイ公爵令嬢の対立が深まっていく。
その日、ピュアは王子達に故郷の暮らしについて話していたのだが、娯楽の話題になり、それはそれは楽しそうに説明した。辺境では直接地面に腰を降ろし、花や草に囲まれながらピクニックをする。大地の香りに包まれ、とても心が安らぐのだという。
それを聞いた王子は今すぐ体験したいと言い出し、昼休みに芝のある校舎裏へとやってきた。立ち入り禁止となっていたが、構うものかと彼らは侵入する。やけに厳重で、魔術で結界が施されてはいたが、魔術師団長の息子がアッサリと解除した。
そこは日当たりも良く、しっかりと手入れされた芝が広がる心地の良い場所であった。腰を降ろせば柔らかな草と土に体を受け止められた。
しかし校舎裏と言っても人通りは多く、王子達を見かけた生徒がレディを呼んだらしい。結果、フォードン達は穏やかな時間を邪魔される事となった。
ただし、生真面目なレディは立ち入り禁止となっている芝の上には入れないようで、校舎の傍から必死に叫んでいる。それは滑稽で酷く愉快な気分にさせた。
「殿下、早く出て来てください!」
どうせ見つかったのだから、レディは無視して授業が始まるまで、ゆっくりと寛ごうと決まった。
「いい加減、諦めてくれればいいのだがな」
フォードンの自由を奪う事も、婚約者の座も。自分に執着するレディには愛想が尽きていた。フォードンはそのまま芝生に倒れ込む。目の前には青い空が広がり、鳥が羽ばたいていく様子が目に入る。
「私も自由に空を飛べたら」
「殿下ー! そこは、立ち入り禁止で御座いますー!」
「ピュアを攫って旅にでも出ようか」
レディの声でフォードンの呟きはかき消されていたのだが、ピュアと目が合うと微笑み返された。ああ、なんて愛らしいのだろうか。
「殿下ー! そこには肥料が撒かれているのですよー!」
まったく、うるさい女だ。肥料くらい撒かれているだろうに。
「それにしても、大地の匂いとは良きものだな。心が洗われるようだ」
「ぎゃああああ! なんて事をおおおお!」
その時、レティとは別の誰かの絶叫が響き渡った。起き上がって振り返れば、教師の男が青い顔で自分達を凝視している。どいつもこいつも大袈裟だ。
「そこの君達! 今すぐ、こちらに来るんだ!」
酷く憤慨した様子で叫んでいる。仕方なく、フォードン達はノロノロと立ち上がり教師の元へと向かった。まあ、少しくらいお小言は甘んじて受けるかと、緩い感情を抱きつつ歩く。
そこには人だかりが出来ており、他の生徒達や教師達が集まって自分達に注目している。もちろん、それは好意的な視線ではない。ヒソヒソと囁き合う生徒達の姿もある。
フォードンは己が異端児である事を自覚しているが、それを恥じてはいない。堂々と教師達の前に立った。
「殿下、ここが立ち入り禁止区域だと知っての行動でしょうか?」
「そうだ」
「さようですか、では、学園長室まで来て頂きますが、宜しいですね」
「良いだろう。まったく芝生に座ったくらいで過剰に騒ぎ過ぎだ」
「あの……私からも宜しいでしょうか?」
レディが図々しくも、しゃしゃり出てきた。黙れと言ってやろうとしたが、教師が許可を出してしまったので仕方なく婚約者に目を向けると、レディは扇子を広げて顔の半分を隠した。
「殿下、貴方方が潰したのは芝生ではありません」
「植物に詳しくなくてすまんな」
フォードンの返事にレディは深いため息を吐き出した。
「魔術薬の研究に使用する貴重な薬草ですわ」
「何?」
「非常に栽培が難しく、専門知識のない生徒が踏み荒らさぬよう立ち入りを制限しているのです」
「なっ。聞いてないぞ!」
「いいえ、学園側から全生徒に通達が御座いました。生徒会にも生徒達が間違っても入らないよう注意喚起を呼びかけるように要請が御座いましたので、ご説明もしましたし、書類もお渡ししたでしょう」
フォードン達とレディは生徒会役員である。しかし、フォードンは身分の高い者が生徒会役員を行うという慣習を嫌って、その業務の殆どをレディに押し付けていたのだ。
「いいや! 絶対に聞いていない! 何故、そんな重要な事をちゃんと報告しなかったのだ!」
「定例会議で、殿下を含めた他の役員の前でご説明しましたよ」
レディは扇子を広げたまま顔をそむける。
「ここからは、私がご説明します」
そう言って教師の男が歩み出ると、レディはフォードン達から距離を置くように、一歩下がる。
「この薬草の栽培が困難な理由に肥料の問題があります。その肥料は入手が非常に難しく、つい最近やっと目途が立ち、昨夜、撒いたばかりなのです。それは……」
ごほんと教師は咳払いを1つすると言った。
「糞尿です」
「は?」
思わず聞き返す。
「夜行性魔獣の糞尿です。それも新鮮であればある程良い」
「え? それは、つまりどういうことだ?」
「昨夜、王宮魔術師、騎士団、ギルドの協力を経て、魔獣をこの区域に放ちました。そして、全ての個体を完全撤収させたのが今朝です」
「では、では……これは」
フォードン達は少々土で汚れていた、その土は、そう……
う〇こである。
誰かが呟いた。
「くっさ」
その後。
フォードン達は研究妨害、器物破損、不法侵入など、その他諸々の行為により、1ケ月の停学。そして、薬草の弁償を求められた。フォードン達は生徒会予算から出そうとしたが「学園への賠償を学園の予算で行うのですか? それは賠償と言えるのですか?」と学園長に笑顔で尋ねられる。それも含めて、彼らは親にしこたま叱られた。
「個人資産から賄うように。民の血税でお前の尻ぬぐいなどさせぬ」
その研究には非公式であるが、多くの組織が関わっているため、弁償額は相当な額になってしまい。令息達の個人資産は大きく減らされた。
そして、フォードンとレディの婚約は公爵家側の申し出により解消となった。
「な、何故です!?」
父王に話を聞かされた時には既に2人は婚約者ではなくなっていた。フォードンの様子に国王は呆れ顔を向ける。
「当たり前だ。やるなと言われた事を行い、多大な損害を発生させる。そんな男、王族だろうが婿に欲しいなど思わんよ」
二人の婚約はフォードンが公爵家の婿となる形で結ばれていた。フォードンは確かに婚約破棄は望んでいたが、自分の有責である事に納得がいかない。
「で、ですが、レディは了承したのですか?」
あの女は自分に執心している。そう簡単に諦めはしないだろう。
「公爵は言わんかったが、どうやらレディ嬢が婚約解消を求めたようだぞ」
父王は、フォードンは王家に残ったとしても国政に関わるには不適格だと分かっていた。だが、それでも、息子なのだ。せめて、まともな家と縁を繋いでやりたいと公爵家に頼み込んで、優秀な後継のレディの婿になる縁談をまとめた。その縁談を諦めきれず、公爵と解消への話し合いの期間中に、影を使って探りを入れたのだ。
なんとか婚約の継続はできないか、レデイがフォードンに少しでも気持ちを残していれば、希望はあるのではないか。
ところが影からの報告されたレディの本心は、その希望を打ち砕くには十分であった。
「フォードン様の傲慢で浅慮で甘えた性格くらいなら、我慢は出来ました。あの方に権限を持たせなければ良いのですもの。それくらいで王家に貸しをつくれるなら安いものです。ですがフォードン様は糞尿を喜んでいたのですよ! 知らなかったから? いいえ、知らずに良い匂いだと感じたのであれば、それは真性です。糞尿好きな男性と夫婦となるなんて! おえ……失礼。もちろん研究者や農耕畜産に携わる方なら関わる事もあるでしょう。彼らを否定するつもりはありません。立派な職務だわ。でも彼らは仕事に必要だから糞尿を扱うのですもの。ですが、フォードン様は好んでいるのですよ? 我が家に糞尿を撒き散らしたらどうするのです? 糞尿好きの息子や娘が生まれたらどうするのです? 嫌です! 絶対嫌~!」
無理よりの無理となっていた。
しかもレデイはフォードンに一切の好意はなく、王家に貸しをつくるための縁談だと考えていたようだ。
「そんな、馬鹿な!」
「それから、お前が糞尿好きだという噂が流れとるから、今後は、まともな高位貴族令嬢との縁談はありえん。良かったな、親に決められた結婚など嫌だったのだろう」
「い、いえ、私は!」
「もうすぐ学園卒業だが、どうする? 公爵家に婿入りするからと何も勉強しとらんだろう」
「と、突然、言われても」
「そういえば公爵家での領地経営や商いも学んでおらんかったなぁ。私も妃も何度も何度も言っておったのになぁ。いや、せめて学生時代は縛られたくないだったか?」
「その、あの、ですから。レデイが……」
「それから公爵令嬢を呼び捨てにするな。基本的なマナーくらい守れ。愚か者めが」
フォードンはもうすぐ学園卒業だ。他の兄弟達は王家に残る場合は学生時代から何かしらの職務に携わり経験と実績を積んでいる。自分はどうせ公爵家に婿入りするからと、学生時代は自由気ままに生きたいと何もしてこなかった。
あるのは「香しき貴公子」という二つ名のみ。
ちなみに、宰相、魔術師団長、騎士団長の息子達も全員婚約解消となっていた。宰相の息子の婚約者は司法省の重鎮の娘だ。規則を守らない男に嫁がせる訳にはいかないという事だ。そして魔術師団長と騎士団長の息子達は、婚約者の身内が学園の薬草研究へ協力をしていた団体の関係者だった。婚約を解消するには十分な理由だ。
停学が明け、学園に出向くと、他の生徒達はまるで汚物を避けるかのようにフォードン達と距離を置く。おまけにピュアは退学になっていた。
きっとレディが何かしたに違いないと学友達と問い詰めると、レディの説明はフォードン達が思いもよらない内容だった。
「何を仰ってるんです? ピュアさんは此度の賠償の支払いのために退学したのですよ」
学園は平等な5等分の割合でフォードン達全員に賠償請求を行ったのだった。
「男爵家が簡単に支払える額ではありませんから、学園を辞めて、賠償を肩代わりしてくれる方と結婚するそうですよ」
「なっ! 何故、助けてやらなかった!」
思わずフォードンが叫ぶと、レディから侮蔑を含んだ視線を向けられた。
「ピュアさんの人生を壊した殿下にそのような事を言う権利があるのですか?」
「な、何だと」
「貴方方は多少の問題を起こしても、生活がままならなくなる事はないでしょうが、ピュアさんは下位貴族です。己の行いの報いは、殿下や高位貴族令息のそれとは比べ物になりません」
下位貴族達は学園への学費の支払いでさえ、故郷の家族が苦労して捻出しているのだ。
「ピュアさんは地方出身で中央貴族社会に疎い方でした。そんな方が最上位の方が良いと言ったら、非常識な振る舞いも問題はないと勘違いしてもおかしくはないでしょう。故郷を盛り立てようと熱心に勉強していた令嬢を、浅慮な行為に巻き込んで、彼女の可能性を潰したのは貴方方です」
「違う、私は、私達はそんなつもりは……」
「第一、ピュアさんにも賠償が行われたのはご存じだったはず。私に助けろと言う前に、何故、ご自分達が行動を起こさなかったのですか? 彼女は“ご友人”なのでしょう?」
違う、ピュアはフォードンにとって、特別な少女だった。
彼女はフォードンの自由への憧れの象徴。
真実の愛の……
「殿下が全ての責任を取り、全額賠償を負う事も、皆様でピュアさんの賠償を等分する提案も出来たはずです。何故“ご友人”の窮地を見過ごしたのです?」
愛しい少女が学園を去った停学期間中、フォードンは理不尽な目にあっていると不貞腐れていただけだった。
「自由を貴ぶ事は素晴らしい。ですが私は、立場には、それに見合った責任が伴うと考えます。殿下や皆様とは相いれません。婚約も解消となった事ですし、個人としては、貴方方とは二度と関わるつもりは御座いませんので、今後は私に構われませんようお願い申し上げます」
レディは美しいカーテシーを披露し去ってゆく。彼女を呼び止める事は出来なかった。
フォードンは今更ながら痛感する、レディにとって自分は政略の相手でしかなかった事を。個人的感情は一切なかった。
また、フォードン達は度重なる素行不良により、生徒会活動の無期限の停止処分も下されていた。その間、生徒会長代理としてレディは運営をこなし、婚約解消の瑕疵など感じさせる事もなく卒業する。その1年後、他国の王弟との婚約を発表。結婚と同時に公爵代理として辣腕を振るう。
一方、フォードン達は、う〇こまみれ事件が尾を引いていた。
「殿下のような破天荒な方は我が部署には勿体のうございます」
王宮のどの部署でもフォードンを受け入れなかった。何か公務を始めようとしても10歳以下の幼い王族が行うようなものばかり回ってくる。
「お前は外交の経験はないだろう、未経験の人間に重要な交渉事など任せられるか」
外務官として働く次兄に何かないかと聞いたら、冷たく突き放された。
宰相、魔術師団長、騎士団長の息子達も同様で、王宮の組織に入る事は出来なかった。
王宮ニート化しつつある日、父王に呼び出され「特殊支援団」に任命された。それは、国内の各地を回り貴族平民問わず、問題解決に従事する組織とのこと。現在、国際情勢は落ち着いている。平時における英雄となれということだろう。
素晴らしい、これそフォードンが求めていた職務。さすが、我が父。しかも、他の団員は学友である宰相、魔術師団長、騎士団長の息子達だ。
フォードンは親友達を引きつれ、辺境の地へと向かう。
すると、奇跡の再会が待っていた。
「ピュア!」
「あら、殿下。お久しぶりです」
なんと二度と会えないと思っていた愛しい少女がそこにいた。
「どうして? 意に添わぬ結婚を強いられたと聞いたが」
「ええ、実は……」
ピュアの説明にフォードンは驚愕する。
「何だって!?」
「そうなんです、レディ様が賠償を肩代わりすると言ってくださったんです!」
ピュアはニコニコとしながら語った事はフォードン達を打ちのめした。
貴族としては豊かとは言えない田舎貴族であったピュアの家は、ピュアが学園を辞めたとしても多額の借金が残る。そんな負債を背負っては領地経営が危ぶまれる。ピュアは自分の浅はかな行動を反省し、40歳近く年上の商家の元当主の後妻となる事を決めた。ところが、そこに待ったをかけたのは、自分に厳しく当たっていたレデイだった。
「王族と下位貴族が同等の責任を負うなど、疑問を感じます。ピュアさんは殿下の思想に巻き込まれただけですから。また私は殿下の行動を止められなかった。故に私にも責任があります」
そう言って賠償の殆どを肩代わりしてくれたのだ。
「なら学園を辞める事はなかったのではないか?」
「それじゃあ、あまりにも図々しいでしょう? 立ち入り禁止の場所に入るという行動をしたのは、私がいけないのですもの。けじめは付けなきゃって思ったんです」
支払うはずだったピュアの学費と合わせ、男爵家で出せるだけの額は支払い、残りの賠償をお願いした。それでもレディは学園に残って学ぶべきだとピュアに勧めてきたのだが断った。なら、せめてと言って、レディは自分の使っていた教科書と、領地経営や農耕技術についての書物を贈ってくれたのだった。新品でないのはピュアが気を遣うだろうと判断したからだった。
学園卒業の肩書を得る事は出来なくなったが、勉強は続けられる。
「私、レデイ様は怖い人で、自分は嫌われてるって思ってたんです。でも、私が困ってる時に助けてくれたのはレデイ様だけでした」
よくよく思い返してみればレディは厳しい物言いであったが、意地の悪い言動はしなかった。田舎者の自分を遠巻きにする生徒が殆どだったが、注意をしてくれたのはレディだけだった。
「そうか」
フォードンは自分を差し置いてレディがピュアに恩を売っていた事は業腹であったが、考え方を変えれば、これは幸運かもしれないと思い直した。
今のフォードンはほんの少しだが、落ちぶれている。男爵令嬢のピュアを娶る事も可能かもしれない。ここで再会したのも運命なのだ。やはり、二人は真実の愛で結ばれた者同士だと確信した。学園では伝えられなかった思いを告げたらピュアも泣いて喜ぶだろう。
「良かったな、ピュア」
「はい、レデイ様は大恩人です! あの方のおかげで、大好きな人と結婚できました!」
は?
「おーい、ピュアー」
「ビッグ、ここだよー」
その時、のしのしと熊のような巨大な男が現れた。フォードンよりも30cm以上は背が高い。
「幼馴染で夫のビッグです! ビッグ、こちら学園時代のお友達の殿下」
「ピュアがお世話になりました!」
岩山のような筋肉男が、人が好さそうな笑顔で頭を下げた。
「ピュア、ちびすけが探してるぞ」
「大変、早く戻らなきゃ。殿下、ごめんなさい、上の子が待ってるので、私帰りますね」
「上の子?」
「息子ですよ、今、お腹にもう一人いるんですけどね。ふふっ」
走ると危ないからと言って、ピュアの夫は妻を右肩に担ぎ上げると、再びのしのしと歩いていく。
「は?」
その後。
「ほら~王子さん達~。しっかりやってけれ~」
フォードン達は、肥溜めのくみ上げ作業に従事していた。
「何で、私がこんな事」
「納得いかない」
「おかしい、絶対おかしい」
「うう、帰りたい。母様ぁ」
特殊支援団。
主に農村の人手不足解消を担う若者の一団である。
国王自ら任命する名誉ある職務であるため拒否権はない。
【特殊支援団について】
働かないなら体を使って国に貢献しろという王様の考えてつくられました。監督官がついているので、権力振りかざしたり、逃げたりしたら、すぐに王宮に報告がいきます。そうなれば、それ相応の結果が待っているのですが、フォードン達は分かってません。
【ピュアについて】
辺境のイケメンはモリモリ筋肉の大男なのです。
ピュアはフォードンの事をガチンコで友達としか思ってませんでした。
いわゆる友達としか思えない枠です。
ビッグ「いやあ、たまげた。王子さん、その辺の娘っ子より美人だな」
ピュア「でしょう、私の方が逞しいくらいだよ」
【薬草につい】
正体は水虫の特効薬です。
開発を邪魔されて偉いオジサマ激オコ。
※王様含む




